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人狼少年

ギー

俺たちは冒険者ギルドを後にした。


出る時冒険者たちから、恨めしそうな目線を感じたのは気のせいだと思っておこう。



俺たちは、あの後アイリーンさんから冒険者としての話を聞いた。


ここでは、話を要約して話そう。


まず、冒険者は依頼をこなすことでお金を手に入れる。


そしてその依頼は、AランクからHランクに分けられており、それぞれAランクがレベル81以上の冒険者推奨のクエスト。Bランクがレベル71以上のクエスト。というように、ギルドカードの色で推奨クエストがわかるそうだ。


基本的に誰でも、どのレベルのクエストでも受けれるようになっているが、推奨レベル以上のクエストを受けて負傷した場合は、ギルドは保証しないらしい。


俺の場合は、レベル80相当のステータスがあるが、レベル1で新人冒険者のため、CやDランクのクエストを勧められた。


うん、レベル1でレベル50や60のクエストをするとは。

普通の人が聞いたら自殺志願者かと思うだろう。


また、クエストで要求されている素材以外のものでも、ギルドが買い取ってくれることもあるらしい。


他には、ポーションの使い方などを教えてもらった。


アイリーンさんの説明はとても優しく、時々上目遣いで見つめてくるのでドギマギしてしまった。


本当にアイリーンさんは美人だ。


恐らく、男性冒険者のファンも多いのだろう。


もしかして、これが先ほどの冒険者たちの冷たい目線につながったのか…?



そして今、俺たちはギルドに紹介された宿に向かっている。


『夕焼けの湖』というなんともロマンチックな名前の宿だ。


とにかく、飯が美味いところを探してもらったら、ここが見つかった。


どうやら、マツサカ牛という聞き覚えのある牛のステーキが美味いと評判らしい。


「マツサカ牛早く食べたいな。ヘス。」


「はい。そうですね。」


ヘスがにこりと笑う。

ヘスは、表情の起伏が少ないから笑顔はとてもレアだ。


しかし、とても可愛い。


普段から笑っていれば…。



おっと、マップ上を二つの点が移動してくる。


「こら。待てー!」


大きな声が響く。


前を走っているのは、15歳くらいの男の子だ。


銀色の髪をしていて、少し今は顔や服が汚れておりわかりにくいが、美青年と呼べる風貌をしている。


そして、なんといっても頭の上にある狼のような耳だ。


獣人発見!


今まで見なかったから、この世界にはいないのかと思っていた。


そして、それを追いかけるのは、人族の男。


「スリだ。あいつを捕まえろ!」


人族の男が叫ぶ。


どうやら、人狼少年はスリに手を出してしまったらしい。


人族の男が、人狼少年に追いつきかけている。


グー

人狼少年のお腹が大きく鳴る。

どうやら人狼少年は空腹で力が出ないようだ。


そして、ついに追いつかれてしまった。


ドカン。

人族の男が、人狼少年を地面に倒した。

そして、その上に乗る。


「獣人が。人様のものを取るとはいい度胸だな。」


男が、今にも殴ろうと手を振り上げたその時…。


「辞めなさい。」


ヘスが、男を投げ飛ばした。


手加減はしたようで、男はすぐに起き上がったが、ヘス。投げ飛ばすのはやりすぎだ。


ほら、男の顔が赤くなり怒りマークがつきそうなくらい怒っている。


恐らく、殴る邪魔をされた怒りと、女に投げ飛ばされた恥ずかしさからくるのだろう。


このままでは、大きないざこざが勃発しそうだったので、俺が動こう。


「申し訳ありません。私の仲間があなた様のような男らしさが溢れる素晴らしい男性に迷惑をおかけしまして。」


俺は素早く人狼少年から、男の財布を取り返す。

そしてそれと、一枚の金貨を男に握らせる。


「どうか、許していただけないでしょうか。」

男は金貨をみて、ニヤリとした後、


「いいだろう。次はないからな。」

と言って去っていった。


なんとも、モブキャラらしいセリフだ。



俺は男を見送った後、人狼少年に向き直る。


「君。名前は?」

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