番外編②農民上がりのギルド長。その名もパーシヴァル。〜僕、ギルドに着きました。〜
番外編。お楽しみください。
ギーッ。
錆びついた蝶番の音がギルド内に響き渡った。
扉に目をやるものはほんの一部だ。一々人がギルドに
入ってくるたびに目を向けていてはキリがない。
今回扉から入ってきたのは、若干15歳。
背は平均よりは少し高く、ギルド内の人たちと比べてもひけをとらない、いや…それ以上に引き締まった肉体。
太陽のように赤い髪、瞳をした少年だった。
彼こそがパーシヴァル。
つい数時間前、住み慣れた村を出て、冒険者への第一歩を踏み出した若く力が満ち溢れた『農民』だった…。
この世界では、身分秩序が厳しい。
農民が努力して作物を育てたとしても、その4割ほどは貴族の取り分となる。
そして、そこから更に3割ほどを町人に安くで買い叩かれ、残るのは最初の4割程…。
これでは、毎日質素に暮らして行くだけで精一杯だ。
しかし、もし反乱でも起こそうものなら中央から、立派な装備を身につけた熟練の兵たちが送り込まれ、捕らえられ、反逆者の烙印を体に焼かれ、村から追放される。
これでは反抗する気も失せてくる。
しかし、こんな世の中でも一つだけ農民が富を手に入れる方法があった。
それは、限られた者だけにしかたどりつけない小さな灯火のような希望だった。
その希望を手にするための方法が、冒険者なのだ。
冒険者は、己の力量によって収入が変化する上、ギルドが国直属の機関であり、収入も安定している。
さらに、農民のように収入の半分を誰かに持っていかれるわけでもなく、全てを自分のものにできる。
まぁ、冒険者のみで食べて行くにはそれなりの力量が求められるのだが…。
さらに、これに加えて、上位の冒険者になるとさまざまな特別な優遇を受けることができるのだ。
そのため、冒険者になって稼ぐことは一部の農民の夢なのだ。
しかし、彼ら農民は家計が厳しいため安い防具しか最初は買うことができない。
そのため、多くの冒険者になった農民はすぐに命を落としてしまうのだ。
それを知っているため、冒険者になろうとする農民はそれほど多くない。
しかしそんな中、勇気があると言うのか、愚か者と言うべきかパーシヴァルは冒険者になることを決意したのだ。
今回は、状況説明回でした。明日も番外編を投稿する予定です。




