落胆
俺は、落胆した。
異世界に転生して、活躍できると思っていたのに。
そのために、最初からレベルが240くらいあると思っていたのに…。
そう俺のギルドカードの色は白色。
レベルが1だったのだ。
心なしか、ギルド内の人々も期待を裏切られたような顔をしている。
いや、ライバルが一人消えて嬉しそうにしている人の方が多いか…。
まぁ、でもそんな烏合の衆のことはどうでもいい。
悲しいのは、アイリーンさんが受付カウンターの中で落胆していることだ。
もう、これで彼女と話すことはないかもしれない。
その一方でヘスは、平然としている。
ヘスはいいよな。
顔がいい上に、強くて。
どちらか、片方でも分けて欲しいよ。
てか、今気づいたけど俺って今どんな顔してんの?
死んだ時のままかな?
まぁ死んだ時の記憶も曖昧だし、記憶の整理ついでに後で確認するか。
閑話休題
「では、確認します。」
アイリーンさんの声が心持ち暗い。
そんなに俺に期待していたのだろうか。
うん。そんなことを考えるな。
俺は、冷静にいるべきだ。
異世界に来た時も冷静だったじゃないか。
こんなことで取り乱すな。
俺はなるべくアイリーンさんの方を見ないようにしてそんなことを考えていた。
「ヒ、ヒロさん…。」
アイリーンさんの声がする。
しかも、声が震えている。
そんなに俺が雑魚かったのだろうか。
アイリーンさんの顔が見たくない。
おそらく、俺を心の中では馬鹿にしているに違いない。
しかし、顔を上げなければ。
俺は、重い顔を上げた。
しかし、そこにあったのは落胆しているアイリーンさんの顔ではなく、希望に満ちた顔だった。
「素晴らしいです。」
俺にはなにが素晴らしいのか、理解できていない。
俺はレベル1なのですよ。
とにかく、アイリーンさんが俺にもう一度ギルドカードを見るように言ってきたのでみてみよう。
「レベル1 ヒロ
HP4600 ATK4600 MP6400」
へ?
あれ?一桁間違えたかな?
「素晴らしいです。」
再度アイリーンさんが言う。
「レベル1でこんなにステータスが高い人は、歴史上でも確認できません。」
「おそらくこのステータスは、レベル80並みでしょう。」
おー。
いきなりすぎて、また脳みそが付いて行かなくなりかけた。
我ながらチートだ。
やはり転生者には、チートステータスが備わっているらしい。
とにかくよかった。
ヘスより強くて。
これで主神の面目が保てる。
ていうか待てよ、ワイバーン、逃げずに俺が倒せたんじゃ…。
ヘスにかっこ悪いところ見せてしまった。
でも、これで異世界ハーレムライフが始められる。
では、ここでどこかで聞いたセリフを。
「ハーレム王に、俺はなる!」
あっ。もちろん心の中でしか言ってないよ。