石板2
そう。宝の部屋には何もなかったのだ。
中央の石板を除いて。
「ヒロ、またあの石板に手をかざせばいいんじゃないか?」
「そうです。ヒロさんならどうにかできるはずです。」
ふむ。それは多分できると思う。てか、やっぱり宝の匂いってのは嘘だったのか?
「今、宝の匂いはするか?」
「うーん。なんか、俺たちの周りにあるのに周りにないっていうか…。とにかく、俺たちの周り全体から宝の匂いがするぜ。」
ふむ。どうやら、宝はあるようだ。まぁ、グランを信用すれば、だが。
「よし。じゃあとりあえず手をかざしてみよう。」
俺は石板にゆっくりと歩み寄る。
石板は部屋の中心にある石柱の側面に貼り付けられている。いや、貼り付けられているという表現には誤りがあるな。もはや、それは石板ではなく石柱の一部となっているのだから。つまり、石柱の側面に刻まれているのだ。
やはり、そこには文字が刻まれていた。
〈これは、フェニクシャ文字ですね。〉
やはりそうなのか。読んでくれるか?
〈かしこまりました。
……………………………………………………………
汝は、何者か。ここは、私の宝物の部屋である。
しかし、私に残された時間は残り僅か。
私はこの世界ではもう何もしないべきだ。
あぁ。愛しの君よ。私は世界を救わねばならない。
ここにある宝は、もう必要ない。
いつかまた、我と同じような運命の者がここにたどり着いた時、手をかざすがよい。
その時は、ここにある宝を、授けよう。
あぁ。世界には、何故終わりという概念が存在するのだろうか…。
我、ここに記す。
……………………………………………………………
と書かれています。〉
なるほど。ほとんど同じような言葉だな。
まぁ、あとで解析をしてみたほうがいいかもな。
〈わかりました。では、私が記憶しておきます。ちなみに、先ほどの石板も記憶しておきました。〉
「じゃあ、手をかざすからグランとヘスもこっちに来い。」
「わかったぜ、ヒロ。」
「わかりました、ヒロさん。」
手をかざしたら何が起こるかわからない。
俺から離れてたら、不測の事態に対応できないからな。
「いくぞ。」
俺はゆっくりと石板に手をかざす。
前の石板もそうだったが、やはり魔力を吸い取られるような感覚がある。
「ヒロさん、魔法陣が浮かび上がりました。」
「本当だな。一応戦闘準備はしとけよ。魔物が出てくる可能性もあるからな。」
俺がそう言っていると、
ピカッ。
俺たちは、突然の光に目を閉じた。




