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短編集 冬花火

ラムネ色の海

作者: 春風 月葉

 カラン、コロンと浮き上がる白い泡に遊ばれて、瓶の中でビー玉が声を出す。

 私の心情に反して、ラムネの青は透き通っていた。

 私は小さく狭い心の檻に閉じ籠もっているのに、海は果てしなく広く大きかった。

 カラン、コロン。

 陽の光は眩しすぎるくらいに明るいのに、私の命の日は今にも消えてしまいそうなほど弱々しくちかちかと光っているだけだ。

 余命一年半。

 死の宣告から既に一年が経過した。

 後に来たる死を待つだけなのならば、できる限り早くこの恐怖から逃れたかった。

 私は瓶の中の青いラムネを喉の奥へと流し込んだ。

 まだ、命の火はちかちかと弱く光っている。

 カラン、コロンと瓶の中で引っ掛かっている。ビー玉は落ちてきてそうで落ちてこない。

 また一日、生き長らえたようだ。

 カラン、コロン。

 カラン、コロン。

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