謝罪
「おはよう。」
声のある方に頭を向ける。
短髪とも長髪とも呼べないような微妙な髪の長さをした男は、ニッコリと微笑んで、こちらを見ていた。
私は、驚き、起き上がろうとして、
「ーーーッ!」
途端、刺すような激痛に悶絶した。
「おいおい!まだ急に動いちゃダメなんだ!
やっとバイタルも落ち着いてきたところなんだ
から、あまり無茶しようとしないでくれよ?」
男は、私をそっと元の体勢に戻し、ため息をつく。
私は、ゆっくりと呼吸をし、息を整えてから、質問を投げかけた。
「あなたは…?」
「あぁ、紹介が遅れたね。私は医者のソーマ。ソーマ・デルピルロだよ。」
ソーマと名乗った男は、私が話を聞ける状態か確認しつつ、ゆっくりと話を続ける。
「君を運んできた僕の知人から、君を救えと頼まれて、治療を終えたところ。少し、話せるかな?君も今の状況が知りたいんだろう?」
「…えぇ。」
それを聞いて、私はベットの上で、ゆっくりと上半身を起こした。
「オーケー。その状態でいいからゆっくり話してくれ。君の名前と出身を教えて貰える?」
私は、一呼吸おいて、質問に答える。
「私はレア。レア・アリア・レスポート。出身はダーナよ。」
…途端、ソーマは、慌てた表情を浮かべ、バタバタと身の回りを確認しつつ、私の方にゆっくりと顔を向けた。
「…やべやべやべやべ。確か…」
ソーマは、頭を抱えたあと、私から距離を置くような仕草をしたあと、指をピンと立て、こちらを
見た。
「分かった。レア・アリア・レスポート。レスポート家のご令嬢だな。こりゃあ、参ったなぁ。」
ハハハッと、ソーマは、乾いた笑いを浮かべていう。
「何故、参るの?」
不思議そうな表情を浮かべる私に、ソーマは、ゆっくりと、こちらを見る。
「…ゴメンな!」
「…えっ?」
……訳が分からないと、私は思った。