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夏の日 good end

作者: ほぐらしか
掲載日:2017/02/06

眩しい日差しが顔に当たる。

その瞬間、視界が暗くなり周りの認識がおぼつかなくなる。

僕は、それが嫌いだ。

だって、その瞬間に何が起こるかわからなくなるから。

身の危険があっても可笑しくないから。




ある日のことを思い出す。

夏の日、僕は駄菓子屋の外にあるベンチでかき氷を食べいた。

甘いシロップに冷たい氷は、夏の暑さを消し去ってくれるようだった。

今はアイスが好きだけど。

食べている時、隣に女の子が来て、隣に座ってもいいか聞いてきた。

僕は、いいよと言った。

女の子もかき氷を買っていたようで一緒に食べている形になった。

それで、女の子から話をしてきて僕はそれを答えるだけだった。

その日はそれだけで、また会ったら一緒に食べようって約束をした。

この時の僕は何も思わなかった。


幾日かになってまた女の子はやってきた。

この時の僕はかき氷ではなくアイスキャンディを舐めていた。

女の子は相変わらずのかき氷。

女の子は、僕のアイスの感想を聞いてきて、僕は美味しいよと答えた。

そしたら、女の子は興味を持ったようで、今度食べてみようかなと言った。

そして、また与太話。

内心、それが楽しかった。

僕は、また話したいなと思った。

その気持ちが顔に現れたようで、女の子はにこやかになっていた。

僕は下を向いた。


また幾日か経った日、女の子はやってきた。

今度はアイスキャンディを買って来た。

そして、女の子は笑って話しかけてきた。

だから、僕も笑って話した。

その日はいつもより楽しかった。

楽しくて仕方がなかった。

この時からだろうか、少しずつだったが密かに気になり始めたのは。

僕は、女の子を見るたびに心臓の鼓動が早くなっていった。

鼓動が早くなったのが見透かされたのか、女の子は僕の手を握った。

そして、笑いながら言った。

「君の手、暖かいね」

僕は言葉が出なかったから、頭で返事をした。

僕も同じ事を思ったから、何も言えなかった。

それ以外、言葉が浮かばなかった。

また女の子は笑った。

この時、女の子の顔は赤くなっていた。

僕の鼓動は更に早まった。


それから何回も同じことの繰り返し。

会って、話しをして、冷たいものを食べて。

それがただ楽しくて、仕方がなくて、嬉しかった。

女の子の笑う姿が、ただ好きだった。

でも、夏は過ぎてしまう。

僕は、心からこの夏が続けばいいのにと思った。


だけど、突然夏は終わった。

ある日、いつものように駄菓子屋へ向かっていた。

なんも変哲もない道を歩いていた。

だけど、眩しい日差しが僕に降りかかった時、僕は事故に遭った。



意識不明の日々。

家族はただ泣いていた。

皆、泣いていた。

笑顔がなかった。

ただひたすら、悲しみだけが病室に満ち溢れていた。


日にちが経つにつれて、体が衰退していった。

だけど、僕は目を覚まさない。

身体も、頭も、何もかも動かない。

この時、僕は夢を見ていたのかもしれない。

あの夏の日々を見ていたのかもしれない。


この状態が何年続いたのだろうか。


ある日、僕は身体の熱が覚めていく感覚があった。

何故か、その時意識が戻った。

今、自分はどこにいるのか不安になった。

だから、声を、微かな声を出した。

喉から、お腹から、とにかく出した。

すると、手に何か触れた。

暖かくて優しさに溢れた感触だった。

僕は声を失った。

自然と涙が出た。

その涙を拭き取る手。

思い出す。

あのときの感覚だ。

この時、横から声がした。

湿った声が聞こえた。

「おかえり」

と、言う言葉が聞こえた。

僕は出来る限りの力で手を握った。



僕は、奇跡的に退院することができた。

不思議と、僕の身の回りであった出来事が断片的だけど浮かび上がった。

だから、今までの事を思い出せた。

人間って不思議だなと思った。


今は彼女と共に道を歩いている。

眩しい日差しが水田の水面を反して輝いている。

怖いけど、嫌いだけど、今は大丈夫だと思える。

彼女と共に歩く道には、きっといいことがある。

そう信じて。




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