第一話 アップルムースの実のケーキが食べたい!?
フェアリーシェフズ料理店で外食しようと、俺は今日も街に出かけた。
今日は晴天で、見上げると澄んだ空が広がっている。
クロッシュタウンは、今日も人でにぎわっている。
途中、ピピディアに出会った。
ピピディアは、異世界風の服にタイトなズボンを身に着けている。
仕事着じゃないということは、今日は仕事が休みなのだろうか。
「よう、ピピディア」
「あ、デュエルさん、ちょうどよかった!」
ん? ちょうどよかった……?
俺は、目をぱちくりさせた。
「デュエルさんは、アップルムースの実がどこにあるかわかりませんか?」
「えっ? アップルムースの実……? それって、結構な値が張る果物じゃないか?」
アップルムースの実は、食べたことがないが、この間ミミミ食料店で見かけたときは、一個10,000,000Gを下らなかった。
「それが、何か?」
「ソレイユ侯爵様がそれを食べてみたいと言っているのですが、どこにあるか知ってますか?」
「ああ、この間、ミミミ食料店で……」
「既に売り切れていました……」
「えっ、そうなの?」
一体誰なのだろう?
大金持ちか、はたまた屈強な冒険者か。
思考を巡らせていても、見ず知らずの人の顔など思い浮かぶはずがない。
「私、メイド長に見つけてくるって豪語したんですけど、どこにもなくて……」
「ふーん……」
「デュエルさん、良かったら探してくれませんか? ちゃんとアップルムースの実の代金は支払いますし、それに」
「それに?」
「料理長が、アップルムースの実のケーキを焼いてくれるそうです! 料理長は、かつてレインハルト国王の料理長を勤めていたという経歴を持つ方です! なので、それは滅茶苦茶美味しいはずです!」
な、なんだって~!
料理のプロ中のプロが、めちゃ高級な材料を使ってお菓子を作るだと……!?
ものすごく食べてみたいなぁ……!
俺はアップルムースの実のケーキを想像して、生唾を飲んだ。
キラキラと輝き見果てぬ香りを放つケーキが、脳裏に浮かんだ。
これは、絶対に美味しいに違いない!
「分かった。俺も探してみるよ」
そうして、俺はピピディアと手を振って別れた。
そういえば、朝食がまだだった。
フェアリーシェフズ料理店で、モーニングを食べよう!
そして、情報を集めなくては!
俺は、いそいそとフェアリーシェフズ料理店に向かったのだった。




