第五話 がらくた市で買い物をしよう! 2
「確かに、1,000G頂きましたぁ! へっへっへ、まいどあり!」
俺は、1,000Gを払ってレアなアイテムの鎧を手に入れた。
唐突に、ズシンと俺の体が重くなる。
「……!」
これは、自虐の鎧のせいだろうか。
顔をしかめたが代金を支払ってしまったので、もう簡単には捨てることができない。
俺は、心なしか気分が悪くなりうつむいた。
「お、おい……! 大丈夫か?」
さっきの人が心配そうに俺を覗き込んでいる。
「やった~! 俺は自由だ~! るんたった! るんたった!」
身軽になった店主は、スキップしながら帰っていった。
「ふ、ふう……!」
俺は、その鎧を手に、息を吐きながら上体を起こした。
「お、おい……?」
さっきの人が、心配そうに俺を覗き込んでいる。
「なあ、大丈夫か!」
「……何が?」
俺は、不敵に笑って見せた。
けれど、さっきの人は尋常じゃないぐらい心配している。
「何が、じゃねーよ! 自虐の鎧は絶対に着るな! でないと、俺は助けられないからな!」
「やけに心配してくれるんだな? 心配してくれるのはありがたいが、俺には俺の考えがあるんでね」
さっきの人は、ぐっと文句を飲み込んでいた。
「そう、だけど……!」
「残念ながら、この鎧は今から行くところで着るんでね」
「なっ……!?」
どうやら、二の句が継げない様子だった。
「じゃあな」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
やれやれ。余計なことを言ってしまったか。
さっきの人は俺を止めるためか、ものすごい形相で後をついてくる。
俺は素知らぬ顔をして、あの場所に歩みを進めた。




