第六話 魔法植物を植えて心を癒してください!?
俺は、ホクホク気分で商店街を歩いていた。しかし、周りの視線が俺に集中していることに気づいた。
俺に気づいたひとたちが、タックルのように俺に押しかけてきた。
「貴方のお名前教えてくださ~い!」
「キャーキャーキャー!」
「ワシと一緒に昆布茶飲まんかの!」
「俺と一緒にダンジョンで汗を流さないか!」
「わんわんわん!」
「う、うおー!? どういうことだ!? そ、そうか! 猛烈チャームの魔法がまだ続いているのか!」
俺の周りは、もはやコンサート会場と化していた。
押し合いへし合いしながら、俺は前にも後ろにも進めなくなっていた。
この事態は収拾が付かないぞ!
「はいは~い! 軍警で~す! 街中で猛烈チャームの魔法を使ったので、迷惑防止条例違反で連行しま~す!」
あっという間に俺は、軍警に捕まったのだった。
流石、レベルの高い軍警だ。猛烈チャームの魔法が全く効かないらしい。
俺は、猛烈チャームの魔法を解かされた。
魔導書を持っていたのが不幸中の幸いだった。
しかし、それだけでは終わらなかった。
「罰金で全額没収致しますので~!」
「そ、そんな~!?」
軍警は容赦なかった! 警察ではあり得ないほどの罰金だ。
罰金で有り金を全部持って行かれてしまったのだった。
「俺はどうすれば良いんですか!」
「まあ、この魔法植物の種をさしあげますので、植えて心を癒やしてください」
「鬼ですか!?」
魔法植物を植えても、俺の懐は潤わないと思うのだが!
俺はとぼとぼと帰宅の途に就いていた。
「ん? ちょっと待てよ? そういえば、フェアリーシェフズ料理店で」
「魔法植物を植えると滅茶苦茶凄い果実が取れるらしいぞ!」
「滅茶苦茶凄い果実?」
「ああ、すごくおいしくて価値のある果実らしい」
「それはすごいな!」
「でも、魔法植物は、ダンジョンで植えたほうが良いらしい」
「なんでだ?」
「何か知らんが、良いことがあるらしいぞ!」
「と、言っていたな! 魔法植物ならあるじゃないか!」
自宅に着いた俺は、ダンジョンに直行した。
「確か、ダンジョンの中で植えなければならないって言っていたな!」
身支度を整える。
「うおー! なんか良いことある気がしてきたぞ!」
そして、心躍らせながらダンジョンの中に、魔法植物を植えに入って行ったのだった。




