第四話 がらくた市で買い物をしよう!
俺は考えを巡らせながら、自分のアパートまで帰ってきた。
郵便受けに、がらくた市のチラシが入っていた。
がらくた市か。行ってみる価値はある。
俺は、クロッシュタウンのはずれのがらくた市まで足を延ばした。
晴天の下、露店が連ねている。
見た感じ、フリーマーケットの装いだった。
アイテムを売っている姿が散見している。
アイテムは、やはり無名のものや贋作が多い。
これは、素人では偽物をつかまされてしまうことだろう。
「ん? これは!」
武器や防具を売っている露店が目に留まった。
「安いよ! 安いよ! この鎧がたった1,000G!」
俺は、目を疑った。確かに、これはレアなアイテムだ。
しかも本物だ。しかし……。
「おい、お前! 汚い商売してんじゃないぞ!」
その店主に、いちゃもんを付けているひとがいた。
「なんだ、お前! こんなお買い得商品なんてないぞ! 俺のどこが汚いっていうんだ!?」
ガラの悪い店主が、その人に食い掛っている。
その人はひるまずに、言い放った。
「これは、確かにレアなアイテムだが、これはダンジョンの罠の自虐の鎧じゃないか! こんなもん身に着けたらえらい目に遭うぞ!」
「うるせーよ! だから、1,000Gなんだろうがよ! 俺はさっさと処分してーんだよ!」
確かに、あんな鎧を買う人はいないだろう。
喧嘩をしている店主と客をしり目に、俺は鼻歌交じりに他の露店を回っていた。
魔法のアイテムを安く売っている露店があった。
「どうかな? がらくただけど、綺麗でしょこれ?」
「ああ、そうですね……!?」
こ、これは……!?
俺は、ニヤリと微笑んだ。
「これ、いくらですか?」
「んー、1,000G?」
……。……。
俺は、素知らぬ顔で、1,000Gを差し出す。
「はい」
「まいど!」
これとあれがあれば、あるいは――。
再び、俺は喧噪な露店の前まで歩いてきた。
まだ、店主とあの人が舌戦をやりあっていた。
「お前、買っていけよォ! 俺は、これを処分したくてここに来たんだよォ!」
「他人様に迷惑かけずに、普通に捨てろよォ!」
「普通に捨てれたらこんなところ来る分けねーだろォ!」
二人はガンをつけあっている。軍警沙汰になりそうな勢いだ。
「すいません」
俺は涼しい顔をして、二人に話しかけた。
「その自虐の鎧、俺が買ってもいいですか?」
俺が、1,000Gを見せると、店主とその人は唖然となっていた。




