第九話 氷モンスター氷魔専科を助けよう! 2
俺は、井戸水をせっせと運び入れた。風呂釜にだ。
どう考えても、風呂釜が一番大きい入れ物だ。
「できたぞ!」
俺は、風呂釜に水をいっぱいに入れると、クマちゃんのボウルの中に入っている氷魔専科を風呂釜に移し入れた。
「良し! これで、水氷の魔法をかける!」
井戸でも良いかと考えたが、それでは水が飲めなくなってしまうので、風呂釜にした。風呂釜なら、凍っても外で洗うだけでも可能だからだ。
『水よ凍れ!』
俺は、水氷の魔法の呪文を唱えた!
すると、水がどんどん凍って行く。……と思いきや、表面だけ凍っただけだった。
「あ、アレ? 全然魔力が足らないぞ! どうすればいいんだ?」
俺は、がらくた市で買った品物を並べた。
◆解決のスクロール3つ
◆倍魔力の巻物1つ
◆高級レッドティ1箱
◆クマちゃんのボウル1つ
◆日記にしか見えない魔導書1冊
◆氷の魔導書1冊
「この中で使えるものは……。そうか! これだ! 倍魔力の巻物だ!」
倍魔力の巻物は、一度しか使えないが、魔法を倍にする効果を発揮する。
「×××××……!」
俺は、倍魔力の巻物を読んだ!
ぎゅんぎゅんぎゅーん!
魔力が倍になった!
そして、俺は、水氷の魔法を唱える!
『水よ凍れ!!』
呪文が何十にも木霊して響き渡る。
すると、風呂釜に入った水が勢いよく凍って行く。
スケートリンクのように完全に凍り付いた。
「快適過ぎませんかデス!」
氷面に顔を出した氷魔専科は、にこにこ顔で目を細めてご機嫌だ。
「よ、よ~し。これで当分大丈夫だろう」
「ありがとうませんかデス!」
「どういたしまして!」
俺は、ジャンティ様の依頼を早々と片付けるため、部屋に戻った。




