第一話 不思議の鏡と魔法店
今日はがらくた市に行って、掘り出し物を安く手に入れる予定だ。郵便受けを見ると、がらくた市のチラシが入っていた。
俺の脳天に衝撃が走った。
「た、高い……!」
がらくた市なのに、どれもチラシには30,000G以上の品が載っていた。
俺は、鑑定士だ。だから、どの商品も鑑定することができる。値段は分かる者も分からないものもあるが。それは、俺がまだ未熟だから仕方ない。
「うーん、がらくた市は、見てみるだけで良いような……。でも、掘り出し物があった時のために、ダンジョンの一階でモンスターの卵を集めて、換金しよう!」
俺は、いつものようにダンジョンの扉を開けた。そして、中に入っていった。
一時間後、モンスター卵の収穫はまったくなかった。ようやく宝箱から回復薬を発見した。それもそればかりが、五十個も。
「いったい、何なんだ? 誰かを助けろとでも言っているのか?」
俺は、早速回復薬を五十個持って出かけた。
「これは、魔法薬だから魔法店でしか売れないかもな」
クロッシュタウンには、魔法店は一軒しかなかった。
俺は、マジカル☆魔法店の店に訪れた。
「なんとなく、アニメグッズを売ってそうな気がするが――」
ドアをくぐってそれが勘違いだと分かった。
店の中には、魔法グッズが所狭しと置かれてあった。ごく普通の魔法店だ。
水晶に、タリスマン、魔法陣の絨毯に、ろうそく……エトセトラ、エトセトラ。
「お兄さん、私の鏡を買ってい・か・な・い?」
えっ、なんだ!?
俺は、店員に声をかけられたと思って振り返った。怪しい店なのかと思ったが、勘違いだったようだ。店員ではなく、姿見の鏡だった。
その鏡には、俺は映っていない。
十代ぐらいのツインテールの黒髪を持った子が映っている。
ほう。これは、アーティファクトの不思議の鏡だ。不思議の鏡とは、何でもよく知っている鏡のことだ。不思議の鏡の中にいるのは真実の娘だな。
……。……。
「いかない。持ち合わせがないんでね!」
「ああっ、そんな~! 断ってんじゃねーよ! ピュアすぎんだよ、天使か、ちみぃ!」
「間に合っているんで。ところで、店員さんは?」
「チィイ! まあいいよ。店主は私だよ」
どうやら、不思議の鏡は、マジカル☆魔法店の店主だったようだ。




