第三話 1000? 31? ○○と○○で難関を突破せよ!
占い師はどこからともなく現れ、俺の隣の席に腰掛けて、ひらひらの服の袖をテーブルの上に垂らし、透明な水晶に手をかざした。
「俺たちこのメモの?の部分を教えて欲しいんですが」
占い師は息を吐き出して、怪しく水晶に手をかざした。
「見えます! 見えます! このメモの?は1000ということです!」
「1000ですか!」
「つまり、?はダンジョンの1000階!? ええっ!?」
いきなり、頓挫して戸惑っている俺だったが、ルミネとピピディアは、占い師の即答に「「おお~!」」と、感心しきりだ。
しかし、俺は困り果てた。ダンジョンの1000階に行くためには、レベル上げをするために何日も時間をロスしてしまう。ロンギヌスの槍(模造品)を使っても、1000階の敵にこてんぱんにされる可能性がある。そうこうしている間に、ペローゼの木の花は見頃を過ぎてしまう。しかも、天候は悪いままだから、お花見はおじゃんになる。依頼を断っても良いが、1,000,000Gなので、逃がした魚は大きい気分になる。
「……1000階の様子を見せて貰えませんか」
俺は、依頼をクリアできるヒントを探していた。俺は、鑑定スキルがあるから大丈夫というジャンティ様のお言葉に賭けるしかない。
占い師は、「はぁああ!」と手を翳して、ダンジョン1000階の様子を水晶に映し出した。
俺たちは一斉に水晶を覗き込んだ。ダンジョンの1000階はコンクリートのような白い平らな土地が広がっていた。良く見ると、平地には傘が数十本収まっている。その周りには四角いくぼみが無数にある。そして、ダンジョン1000階にも相変わらずの霧雨が降っている。
「これが、メモにある抜けない傘だな!」
「この抜けない傘は晴れ間の傘だな。確かに珍しいアイテムだ」
「鑑定できるなんて、流石デュエルさんですね!」
「だな~!」
占い師が去って行ったあと、俺たちは注文した料理を分けて平らげた。
「とにかく何とかして1000階に行って、晴れ間の傘を手に入れるしかないか」
手分けして料理を食べているときに、他の席から噂話が聞こえてきた。
「なあ、知っているか?」
魔法使い風の二人組が談笑しているのが聞こえた。
「晴れ間の傘を手に入れるために、1000階に直行してもダメらしいぞ!」
「なんでだ?」
「さぁ? でも、直行しても晴れ間の傘は手に入らないらしいぞ」
噂話を聞いても、俺の頭の中では疑問符が浮かぶばかりだ。
どういうことだ? せっかくレベル上げして1000階に到達しても、晴れ間の傘は手に入らないのか?
聞き耳を立てて料理を食べていたが、それ以上の噂話はなかった。
俺は、魔術師ガルディルのメモを確認した。
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① ダンジョン?階の抜けない傘を全て抜け。
② ダンジョン31階の謎を解け。
③ ダンジョン?階の次の階でその傘を全て使え。
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この中で、俺のレベルでもできそうな物は……。
②のダンジョン31階の謎を解けか。
「まずは、ダンジョン31階にでも行ってみるか」
俺のつぶやきに、ルミネとピピディアは微笑み合った。
「頑張ってください、デュエルさん」
「デュエル、頑張れ~」
俺は曖昧に微笑んだ。
なんとなく、今回の依頼はリタイアしそうな気がするが。
俺は、フェアリーシェフズ料理店で1,500G支払ってから、帰宅したのだった。




