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第十二話 フェアリーシェフズ料理店にて! 12

 ジャンティ様の住んでいる宮殿に任務完了のご報告を済ませた後、俺とパズルド・ジュジュナはフェアリーシェフズ料理店に外食しに来ていた。

 フェアリーシェフズ料理店のドアを開けると、料理の良い匂いが漂ってきた。

 パズルドは、感じの良い店内に目を輝かせている。


「おお、うまそーな匂い! デュエル、お前良い店知ってんなー!」

「まあなー」


 パズルドとジュジュナは、口元に笑みを浮かべて店内を見回している。


「ホントね、感じの良い店だわ。妖精の魔法が所々にかかっているようね」

「妖精が経営しているらしいからな。俺もこの店が気に入っているんだ」

「あ、窓際の席が空いているぜ~!」


 パズルドは、軽い足取りで窓際の席に腰掛けた。俺とジュジュナも席に座る。

 パズルドは俺の前の席に座り、俺は反対側の席に座り、ジュジュナは俺の隣に座った。

 俺たちは、日替わり定食Bを注文して食べ始めた。


「うっまー! これが500G! しかも、ブラック茶飲み放題だと!」

「だから、俺は常連なんだよ」

「俺もちょくちょく来よう!」

「私も良い店教えてもらって嬉しいわ」

「そういえば、ジュジュナのことをピピディアが怖がっているんだけど」


 俺は、ジュジュナが味方だと分かったので事の真相が知りたくなっていた。

 パズルドがこちらの動向を見守りながら、口元をもぐもぐさせている。

 ジュジュナは、何事もなかったかのように微笑んだ。


「ああ。まあ、合成機から私が出てきたんじゃあの子も怖がるわね」

「……!?」


 ジュジュナは事も無げに言ったが、俺は改めて驚愕していた。

 ジュジュナのことは警戒していたが、本当はちょっぴりピピディアを信用していなかった。また、ピピディアは操られているのではないかと思っていた。俺はこっそりピピディアに謝った。


「な、なんで、ジュジュナは……?」


 うまく尋ねられない。下手な単語を使えば危うい事態にならないか。

 しかし、ジュジュナは何事もなかったように笑って答えた。


「私はあやふやにしか覚えていないんだけど、どうやらカーバンクルのぬいぐるみに封印されていたみたいね」

「封印!?」


 封印という単語が、嫌な想像を掻き立てる。


「まさか、ジュジュナって魔王かなんか……!?」


 目元をひきつらせる俺に、ジュジュナは慌てて手を振った。


「違う違うよ! 誤解しているようだけど、私の敵は魔導士コルヴォだからね!」

「もしかして、魔導士コルヴォにやられたのか?」

「うん。だから、魔導士コルヴォが復活しないように私も頑張っているの」


 俺は、こっそりと肺の中の空気を吐き出した。

 ジュジュナはやっぱり味方だった。

 パズルドも、安堵したのか笑みを浮かべている。


「そりゃー良かった! ジュジュナは俺の仲間でもあるわけだ!」

「そういうことだな!」

「改めて、よろしくね、デュエル君」

「よろしくな、ジュジュナ!」


 和やかな空気になった。

 今日の夕食は最高に美味い。悩みが一挙に解決したからだろう。

 ナイフで肉のソテーを切っていると、俺の右腕にはまっている腕輪に目が留まった。


「そういえば、この腕輪なんだけど……」

「ああ。ジャンティ様がくださったお前の報酬な!」

「この腕輪、俺の鑑定スキルじゃ鑑定できないんだが……」

「そりゃそうだろ! ジャンティ様が名のある職人に作らせたマジックアイテムなんだから!」

「えっ? マジックアイテム!?」


 俺は、てっきり装飾品の類だと思っていた。マジックアイテムならほとんど鑑定できる。分からないので装飾品だと勘違いしていたのだ。

 だから、金に困った際に売り払って生活費に替えようと目論んでいた。しかし、役に立つならこのマジックアイテムを売り払わずに持っていたい。有名な職人に作って貰ったマジックアイテムなら、換金するのは勿体ない。

 しかし、正体不明のマジックアイテムというものに、俺は一抹の不安を覚えていた。ジャンティ様がくれた物だから、ダンジョンの正体不明のアイテムよりは安全であるはずだ。けれども、鑑定スキルが使えないとこんなにも不安になるものなのか。


「ジャンティ様のことだから、この腕輪に何か嫌な予感がするんだが……!」

「俺、貰わなくてよかったー! ああ、俺幸せ。腕輪なくてもジャンティ様にねぎらいのお言葉を頂いたから」

「俺も幸せ。パズルドは報酬だけだけど、俺は報酬+腕輪だから」


 口元を引きつらせて笑顔になっている俺とパズルドに、ジュジュナが横から助言してきた。


「大丈夫よ。この腕輪に嫌な感じはしないわ。デュエル君を助けてくれるような気がするわ」


 ジュジュナのお陰で俺は胸をなで下ろすことができた。それなら安心だ。


「ジュジュナ、サンキュ!」

「良かったなァ、デュエルー!」


 談笑して盛り上がり、そこでお開きとなった。

 その日の夜。自宅に一人帰ってきた俺は、羽の生えた靴をきれいに洗い、風魔法で乾燥させた。俺の風魔法でも、髪や靴を乾燥させることには役立っている。そして、綺麗になった羽の生えた靴と一緒に枕を高くして眠った。


 そして、深い眠りの中で、俺は夢を見たのだった――。

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