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第七話 アイテムを魔法機で加工しよう! 5

「さて、合成してアイテムを作ろうか……!」


 いつもなら楽しく感じるアイテムの合成も、厄介な事件に巻き込まれたせいで、今は気が重い。奮起して材料のアイテムを床に並べた。


「おっと! レベルカード、レベルカード!」


 まずは、レベルカードをポケットから取り出して、HPとMPを確認する。万が一、HPとMPが少なかった場合、ゲームオーバーという事態に陥るからだ。しかし、本当にはゲームオーバーにはならない。白魔法の回服を身につけているからだ。


【名前:デュエル 職業:魔法使い見習い レベル20 HP350 MP350】

【装備:白魔法の回服・☆攻撃反射の腕輪・☆浄化の革靴】


「よし、HPもMPも満タンだ!」


 段々と楽しくなってきた。やはり、合成は心躍る作業だ。


「まずは、懇願の杖の合成からだ!」


 リュシオルが届けてくれた呪文吸収の玉を紙袋から取り出した。

 俺の拳ほどの球体で、一見水晶と見間違いそうだ。しかし、透明な球体の中には、雲のような物が渦巻いて見える。これも、レアなアイテムであり、お目にかかることも滅多にない。これを持っているなんて、流石はジャンティ様だ。それを、魔法機の中にそっと投入する。ゴトンと音がした。


 続いて、偽物のパズルドと、THE・戦闘屋の店主のグラッセさんが用意してくれた雷の刃と長杖を魔法のショルダーバッグから取り出した。

 それも、魔法機の中に次々と放り込む。アイテムが中で転がる音がした。


 ダイヤルを右に全開で回した。すると、ゴウンゴウンと音がして魔法機が縦横に伸縮する。そして、魔法機が落ち着くと、アイテムが取り出し口に転がり出てきた。

 俺は、ドキドキしながら出来立てほやほやのアイテムを取り出した。


「よ、よし! 黄泉の杖にはならなかったぞ!」


 教えてくれた不思議の鏡には心から感謝したいところだ。完成したアイテムには、長い木の杖の先に透明な球体が付いている。それを稲妻のような飾りがぐるぐると巻き付いている。


「確かに、これは懇願の杖だな!」


 アヴリルお嬢様と一緒に鑑定した際に見せて頂いたことがあるのだ。綺麗にできたアイテムを、俺は満足して細部まで眺めた。完璧だ。寸分の狂いもない。


「やあ!」


 懇願の杖をお遊びで振ってみた。何も起こらないが、一応魔法使い見習いの職業なので、様にはなっているはずだ。俺は、ニンマリして、出来立てほやほやのアイテムを床に置いた。


「おっと! レベルカード、レベルカード! MPの消費の確認は必須だからな!」


【名前:デュエル 職業:魔法使い見習い レベル20 HP350 MP350/250】

【装備:白魔法の回服・☆攻撃反射の腕輪・☆浄化の革靴】


「MPは100の消費か。思ったより消費が少なかったな」


 黄泉の杖の合成はマンドラゴラの根と雷の刃のせいで、MPの消費が多いと推考していた。しかし、黄泉の杖を合成してしまえば、どちらにせよ確認した途端に気絶という悲惨な結果になる。しかしながら、懇願の杖の合成は取り越し苦労だったようだ。MPの100の消費なら余裕綽々だ。


「さて! 次は、石鏡の合成だ! でも、待てよ?」


 俺は、ジャンティ様の手紙を再度確認する。


☆*★*☆*★*☆*★*☆*★☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆★*☆*★*☆★*☆*★*☆

 親愛なるデュエル


 しばらくぶりだな! デュエルは元気そうで安心したぞ。

 パズルドには魔導士コルヴォの復活を阻止するために、私が任務を言い渡したのだ。

 しかし、私が探すように命令したアイテムが二つ? 変だな。

 私が探すように命令したアイテムは懇願の杖だけだぞ?

 ともあれ、アイテムはデュエルが合成できるなら話が早い!

 念のために真実の石も呪文吸収の玉と一緒に材料として届けさせよう!

 パズルドを救い出し、魔導士コルヴォをついでに倒しておいてくれ! 頼んだぞ!


☆*★*☆*★*☆*★*☆*★☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆★*☆*★*☆★*☆*★*☆


「ジャンティ様の命令では、石鏡は無用か……」


 ジャンティ様は俺の頼みだからと真実の石を届けてくれた。

 されど、この石鏡の依頼は、偽物のパズルドの依頼だから、不要ではないか?


「この合成はやめておこうかな。偽物のパズルドの頼みだし」


 俺は、違和感を覚えた。何だろう。

 何か大切なことを忘れているような違和感が胸にわだかまっている。


「ま、まあ良いか~」


 楽観視しようとしたものの、いつまでも消えない違和感に、俺は魔法機の前で暫く考え込んだのだった。

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