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俺が恋愛をする理由なんかない!  作者: 怜刻
暗闇の過去
6/10

音華 月寧(おとはな つきね)

音華(おとはな) 月寧(つきね)

私は、幼稚園最初の1年間をこばみ、年中から外にでた。見た事の無い広い世界が広がる外は、感動的なものだった。

小学校に入ってすぐ、私は彼に出会った。

彼はとっても元気の良い少年で、運動が出来て、そこそこ頭も良かった。

彼が廊下を歩いていると、彼のハンカチが落ちた。

「ねえ君。」

「ん?」

音華の呼びかけに、彼は反応した。

「ハンカチ、落としたわよ。」

音華がハンカチを差し出す。しかし、彼は私のことを見たまま、じっとしていた。そして、しばらくして、彼は口を開いた。

「お前、可愛いね。」

「!?」

彼の口から出た言葉を、一時たりとも忘れたことは無い。あまりにも衝撃的だったその言葉を。

それから、私は彼を気に止めるようになった。小学校の6年間、私はずっと彼を思い続けていた。今となっては、バカバカしいことだ。

彼は、幼稚園の時にも何度か見かけたことがあった。最初の方は、1人で絵を描いていたのに、ある日、少年が声をかけてから、楽しそうに笑うようになっていた。

いつからだろう、彼が変わったのは。

私がバカバカしいと思ったのは他でもない、彼の変わりようだ。中学に入ってからだろうか、彼の周りから人が消えたのは。居るのはいつも同じ人、しかも1人。何が彼を縛ったのか、私には分からない。

「月寧、部活行こ。」

友達の誘いに、首を縦に降った。今はそんな事はしてられない、私は部活でも、良い成績は残せていて、落ちこぼれに手を差し伸べる余裕も無かった。

中学2年の最後の大会、全国に繋がる大会で、友達の方は自信満々だった。でも私は違った。ピリピリした感情があり、少しのミスでもキレて、友達と殴り合いの喧嘩になった。こんなことをすると、女の私でも思う。

女って怖い。

部活は、両方が退部、私も、3年生に進級して、晴れて落ちこぼれの仲間入り。そこで私は、彼に出会い、あの縛りを解くため、部を設立したのだった。



「おい、また忘れたな!?」

大翔(ひろと)が音華にキレる。

「あんたが何も連絡しないのが悪いんでしょ!?大体、なんで私があんた達のエサを買って来なくちゃなんないのよ!」

「おま、エサって…。」

大翔たちのお菓子をエサ呼ばわりされ、大翔が落ち込む。

「安心したまえ、子狐君、そんなことだろうと思って、用意しておいた。さぁ!食べたまえ!」

椿(つばき)が両手を広げた。それを見向きもせず、大翔はお菓子を食べ始めた。

私は何が好きでこんな連中と部活やってんのかしら。元気かな。美絢(みひろ)…。

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