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第二章 BLUE-COFFIN  作者: メル・ホワイト・プリンス・ヴェリール
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第二十一節「パンドラ」後編

風の国の王女ROSELUNAを生き写した人形として蘇ったオディエット



その彼女を注文し、引き取りに来た風の国の大臣メテウス



しかし



その背後には、オネイロスら、エリスの魔の手が伸びていた・・・





挿絵(By みてみん)





   第二十一節「パンドラ」後篇





「とにかく、彼女は貰い受けてゆく・・・」



「いや、大臣、お願いです、彼女は・・・」




縋るファイスト。



その姿に、伯爵夫人が黒服の従者と視線を合わせると、やや呆れたように薄く笑みを浮かべた。



そして



その視線をオディエットに切り返すと、見下ろすように微かに二度頷いた。



それはまるで、無言に何かを問いかけるようでもあった。




その瞬間、再びオディエットは悟らされた。



彼女は



縋るファイストの言葉を遮るよう、彼の腕を、袖を強く握りしめ引きとめた。



それは



傍らの伯爵夫人が‘魔の帳の騎士オネイロス’であり



従者の男も‘魔導師ロッドバル’であると知る故であった。



おそらく



このままファイストが拒否し続ければ、最悪、彼の命も危うくなる



そう考えての事だった。




オディエットは哀しげな眼差しを浮かべると、ファイストに小さく首を横に振って見せた。




「そんな・・・、どうして・・・」



「ファイスト、見て、私の顔を、もう私は・・・」



「分かってる・・・、でも・・・」



「ファイスト、もう、一緒にはいられない・・・」



「そんな・・・」




彼女は視線を大臣と伯爵夫人にも合わせると、ファイストをかばって見せるように口を開いた。




「私・・・、一緒に行きます・・・、だから・・・」



「おお、とても物分かりの良い子だ・・・」




その言葉を聞いて打ち崩れるファイスト。



それとは対照的にメテウスは大袈裟に喜んで見せた。



彼はのけ反る様に振り返り、後ろに居る伯爵婦人とも喜んで見せた。



すると



伯爵夫人は再び従者の男に視線を送ると、何やら手荷物を運ばせた。




「大臣、これを・・・」



「おお・・・」




それは絹織の純白のコットと呼ばれるチュニックと



王女が着るに相応しい色とりどりの刺繍が施されたシュルコと呼ばれる上着であった。




「王城に入るのに、その服装ではな、王女が着ていたのと同じモノを作らせた


全てが注文通りなら、君に合うはずだが・・・」




その真新しく折り畳まれた服を受け取るオディエットに、再び伯爵夫人が着替えを促す笑みを送った。



寝室に入り着替えを始めるオディエット。



すると



その彼女に語り掛けるよう、幾分大きめの声でメテウスが語り始める。




「何も心配する必要はない、王城では何不自由のない生活が待っている


それにな、君の名を用意した


名は‘パンドラ’


今日から君は、私の、いや、この風の国の希望となる・・・」




やがて、着替えを終えたオディエットが、皆の前にゆっくりと姿を現した。



その神々しいまでの美しさは、眠れる王女ROSELUNAの蘇り、復活であった。



そうしてそれは



緻密と狡猾に延々と敷かれた‘マーリン追放’の罠が、本格的に始動する事を意味していた・・・。

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