第十章 因果応報
怨念は暴風を呼ぶ。
狼が集まる。
黒い空。
終末の景色。
悟空は如意棒を構えた。
「八戒!」
「おう!」
「沙悟浄!」
「任せろ!」
三蔵は読経を始める。
その時。
悟空は気づく。
風は火に弱い。
火は村の鍛冶屋にあった。
長年使われなかった巨大な炉。
火の精が眠っている。
悟空は術で炎を解放した。
轟炎。
巨大な火柱。
風と激突する。
暴風は燃える。
怨念は苦しむ。
「なぜだ!」
悟空は答えた。
「お前は復讐しか見ていない。」
「だが罪は裁かれる。」
村人たちは泣きながら土下座した。
真実を認める。
罪を告白する。
奪った金を供養する。
旅人の墓を建てる。
その瞬間。
怨念の姿が崩れた。
怒りが消える。
黒い霧は光へ変わる。
旅人は微笑んだ。
「ようやく……。」
魂は空へ昇る。
蛍たちも光になった。
無数の魂。
夜空いっぱいに広がる。
まるで星の海。
翌朝。
川は澄んでいた。
水は再び流れる。
蛍も戻ってきた。
村長は涙を流す。
「ありがとうございました。」
悟空は肩をすくめる。
「礼なら三蔵に言え。」
三蔵は微笑む。
「過ちは誰にもあります。」
「大切なのは償うことです。」
村人たちはうなずいた。
そして旅立ちの日。
蛍たちは道を照らした。
金色の光が続いている。
悟空たちは西へ向かう。
まだ見ぬ天竺へ。
その背中を。
無数の蛍が見送っていた。
教訓――
汚れた水はやがて自分へ返る。
隠した罪もまた、因果となって戻ってくる。
しかし、真実を認め償うならば、再び光は戻る。
――完――




