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ミーシャからの報告書

魔石の潜む洞窟


薄暗く湿った空気が漂い、苔の匂いが鼻をつく洞窟。

足音さえも反響し、ただ歩くだけで不気味な気配が張り付いてくるようだった。


マリア:「なんか薄暗いところね……」


ナタリー:「ほんと……気味悪い」


ロゼリア:「変な魔力が混在している感じがします」



カーヴェルは険しい表情で頷いた。

「確かに……異様だな。アリエル、魔石を破壊すれば魔獣たちは元に戻るのか?」

「ご主人様、間違いなく元に戻ると思います」

「そうか。なら全力で魔石発見に集中しよう」


カーヴェルは即座に隊列を組ませ、仲間たちに「絶対に離れるな」と指示を飛ばす。

ホフランへ目を向け、「気配はどうだ?」と問うと、ホフランの顔が険しくなった。


「多数の魔獣が……しかも魔石の近くに固まっています!」




遠距離攻撃による魔石破壊


射程ギリギリから即座に作戦が下される。

「ナーリア、弓で狙え。フェリカは火炎の矢を重ねろ。ホフランは風魔法で加勢しろ。俺の支援で威力を100倍に引き上げる!」


三人は息を合わせ、狙いを定めた。


ナーリア:弓に矢を番え、緊張で震える指を静める。


フェリカ:矢に炎をまとわせ、赤々と燃える光が洞窟を照らす。


ホフラン:風の奔流を生み、矢と魔法を加速させる。



その瞬間、カーヴェルの強化魔法が降り注ぎ、矢と魔力が桁違いの威力を帯びた。

轟音と共に放たれた一撃は、暗闇の奥に輝く魔石を直撃。

「パリーンッ!!」

光の破片が弾け、洞窟全体に眩い波紋が広がった。


アリエルが静かに呟いた。

「……終わった。これで魔獣たちは元に戻るはず」


しかし安堵の一瞬はすぐに打ち破られた。

「敵だ! 魔族がいる!」とホフランが叫ぶ。


暗闇から姿を現したのは――およそ1000人の魔族兵。

重装の戦士、漆黒の魔法使い、獣のような牙を持つ異形の者たち。魔石を守っていた駐屯兵が一斉に襲いかかってきたのだ。


アルトルは大盾を構え、先頭で敵の突進を受け止めた。盾に叩きつけられる衝撃は大地を揺らすほどだが、彼は一歩も退かない。


つかさは新たに与えられた日本刀を振り抜き、飛ぶ斬撃で数十人を一閃。光の軌跡が魔族をなぎ倒す。


ミーシャは剣聖の技を披露し、目にも留まらぬ速さで次々と敵を切り伏せていく。


アルファームの槍は竜を貫くような鋭さで敵陣を貫通し、十人を串刺しにした。


フェリカは炎と雷を同時に操り、爆発的な魔力で敵魔導士を粉砕する。


ホフランの上級魔法が炸裂し、炎と氷の嵐が敵軍を一掃。


ロゼリアは仲間を守る防御壁を張り続け、傷を負った者を即座に治癒した。



女騎士たちも奮闘した。


マリアとサーシャは連携し、互いの背を守りながら敵を斬り裂く。


アンの大剣は巨体をものともせず、一振りで数人を吹き飛ばす。


クロエの槍術は疾風のごとく、敵陣を翻弄する。


ナーリアの矢は正確無比で、指揮官格の魔族を次々と射抜く。


カリスタの魔法は堅牢な守りと鋭い攻撃を兼ね備え、仲間たちを支援した。


アリエルはフェンリースに変身し、牙と爪で敵を蹂躙。あまりの速さに魔族兵は悲鳴すらあげられない。



カーヴェルは全体を見渡し、必要な場所に支援魔法を投げかけ、戦局を掌握していた。

「無駄な動きはするな! 連携を崩すな!」


彼の声に全員の動きがひとつに重なり、精鋭部隊はまさに“最強の軍”へと変貌する。


わずか30分足らずで1000人の魔族兵は壊滅。

地に伏した魔族たちを見て、仲間たちは互いに息を整えた。


ロゼリアとフェリカは同時にカーヴェルへ抱きつき、

「旦那様のおかげです!」と涙ながらに叫ぶ。


ミーシャも剣を収め、心からの敬意を込めて一礼した。

「……あなたはやはり、軍神のようなお方です。」


カリスタ(だって本物の軍神ですから)と心の中で叫んだ。


カーヴェルはただ苦笑し、仲間たちを見渡した。

「まだ終わりじゃない。だが――よくやった。全員、誇りに思え」


その言葉に全員の胸が熱くなり、戦場に勝利の余韻が広がった。




王の執務室にて


報告を持ち帰った兵士から手紙を受け取った王は、封を切り中身を目に通すと、すぐに深いため息をついた。


> 王「なんだこれは……。これが報告書だと? 女神が降臨? 本当なのか? しかし……幼稚な文体だな。本当にミーシャが書いたのか?」




兵士は居心地悪そうに返答する。


> 兵「はっ、間違いなくミーシャ団長の直筆です。ただ……ものすごく興奮していたようでして……」




王は頭を抱え、宰相を呼び寄せた。



---


ミーシャからの報告書


「どうしましょう 陛下、女神様が降臨されました。

すごい神々しくてピカーっとして、あっという間に街を戻して人を生き返らせて……何と言うか全てが素晴らしいです。

陛下、私は祝福を受けてしまいました。どうしましょう、どうしましょう、ものすごく幸せです。

人生最高の日でした。

報告終わります。」




王と宰相は改めて読み返し、言葉を失うしかなかった。



---


宰相の意見具申


宰相は深いため息をついた後、冷静に意見を述べた。


宰相「陛下、ミーシャ団長がこのように浮き立った報告をするのは初めてのことです。

文面は軽率ですが、内容が完全な虚言とも思えませぬ。町が復興し、多くの死者が蘇ったという目撃証言もある以上、事実と無関係ではございますまい」




王は眉をひそめる。


王「だが、女神降臨など信じがたい。幻術か、あるいは誰かの仕掛けた芝居ではないのか」




宰相は少し考えてから頷いた。


> 宰相「可能性は否定できません。ですが、町の住民が皆同じように証言する以上、無視はできぬ事態です。……女神を名乗る何者かが現れたことだけは確かでしょう」



その後、王は側近や重臣らを呼び集め、意見を求めた。


軍務卿:「女神の加護など信じられませぬが、兵の士気を上げるには有効でしょう。虚構であろうと、利用価値はあります」


財務卿:「女神が本当に民を生き返らせたのなら、莫大な財政的損失が回避されたことになります。これは吉報です」


宗務卿(教会管轄):「女神アルフェエル様の御業に疑いはございません! これは王国にとって聖なる祝福。神殿としても全面的に支援すべきです!」


参謀長スティーブ:「報告内容は荒唐無稽ですが、戦略的視点では看過できません。背後に魔族の干渉がなかったか、徹底した調査が必要でしょう」



王はしばらく沈黙したのち、重々しく口を開いた。


王「女神が降臨したという事実、あるいはその噂が民の間に広がれば、王国の求心力は大いに高まるだろう。だが同時に、真実を見極めねばならぬ。……宰相、ミーシャの監督を強化し、彼女の動向を逐一報告させよ。

また、あのカーヴェル・プリズマンの関与も洗え。奴の影がちらついてならぬ」




宰相は深く頷き、王の命を受けた。



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