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666 その①

 ここは兵庫県神戸市――とは言っても、その外れに位置する田舎町である。

 農業を営むことを念頭に置いた、市街化調整区域の一つであり、農地が地域面積の大半を占めている。

 しかも、鉄道の駅が有るわけでも、自転車で都市部に行ける距離でも無いため、車社会の地域でもある。


 東に山、遠目に映る海、田園風景に(まば)らな家々――そろそろ蝉の声が聞こえつつある季節に、この物語は幕を開ける。



 その男はいつもの若宮神社で仕事の依頼を受けていた。


 ※若宮とは、本宮から分霊された、言わば本家と分家のような存在で、日本各地に点在している。


 寝癖の付いたボサボサの髪に無精ヒゲ、高身長だが猫背で、ジャージのポケットに手を入れたまま顎を突き出し、社の壁にもたれている。

 今、難しい顔のまま大きな欠伸をした。


 22歳の割に老け顔のこの男――名を【紫楠(しくす) 采六(さいろく)】と言う、本編の主人公である。


「采六、次の直しはちと厄介そうなんだが・・・・・・俺様の堕居州(だいす)がどうしてもおめぇを指名したがってるんだよなぁ」


 顔に深い(しわ)と複数の傷をもつ白髪の男が、白い髭の生えた顎をポリポリと掻きながら、6面ダイスを社の石畳に転がした。


 ※堕居州=ダイス。後に説明あり。


 ダイスは転がした勢い以上に転がり続ける。


 俺の仕事は、業種で言うとサービス業で、職種は『魔狩勅(まもりて)』だ。

 ちょっと聞き慣れないし検索しても出てこないけど、歴とした日本の職業だ。

 魔狩勅ってのは、一般人に気付かれない様に悪魔を倒したり、管理したりして、一般人を守る、一般的じゃ無い特殊な訓練を受けてなれる仕事な訳で、『悪魔を倒すだけの簡単なお仕事です。残業無し、有給消化率100%、ボーナス4.5ヶ月分、今なら就職お祝い金が10万円出ますよ』って勧誘に引っ掛かって始めた訳じゃねぇし、正しくは、『悪魔を倒すだけの、この上なく危険なお仕事です。残業あり、有給存在なし、ボーナスは無いけど、給料は無茶苦茶いい』って感じだ。

 俺は好きでこの仕事をしてる訳じゃねぇんだが、家業なんっすよ。

 社長は家族、社員も家族。

 サイコロ振ってるのが(かしら)(社長)で親父。

 俺は(ばん)(平社員)で息子って訳だ。


 親父の振った6面ダイスは【6】を上にして止まった。


「な? 6だろ? こんなこたぁ滅多にないんだがなぁ」


 親父は不思議そうな顔で6面ダイスを拾い上げると、叩いたり、耳に当ててみたりしてるが、海の音でも聞こえるんだろうか?


 この堕居州と呼ばれる6面ダイスは一族の家宝なんだそうだ。

 代々その時代の頭に受け継がれ、今はこの浴衣に雪駄履きの70代じじいのもんだ。

 70代って言っても、その辺に居る年寄りとはかなり違う雰囲気を持ってる。

 何て言うか、180㎝ある俺の身長と負けず劣らずの高さも相まって、鋭い目付きとピンと伸びた背筋、あと、信じられねぇような筋肉量が原因だろうが、威圧感がハンパねぇ。

 言いたくはねぇが、俺より太い腕をしてる、往年のジェロム・レ・バンナみてぇだ。


 親父の名は【閒間(かんま) 飛八(とわ)】。よくは知らねぇけど、ある方面では有名人らしい。日本古来から続く【魔狩勅】の一族、【明鏡衆(みょうきょうしゅう)】の社長さんだ。


 明鏡衆は、指示役の【頭】と実行役の【番】、前代の番で一線は退いたが、番の手伝いと後進の育成をする【外番(そとばん)】で構成されいて、例外を除いて全員の血が繋がってる。

 現在の明鏡衆は、頭が親父で、6人の番が腹違いの兄弟姉妹、7人の外番が叔父叔母で構成されてる。


 頭は代々、【堕居州】の出目に従って番に仕事を依頼するってことになってるから、続けて仕事を受ける時もあれば全く仕事が回って来ねぇ時もある。

 で、今回は6番を指名したもんだから俺って訳。


「で、どう厄介なんだよ?」

「あぁ、これだ」


 親父は浴衣の胸元から6枚の写真を出した。


 受け取った俺は、写真を一枚見ては後ろに回しながら、6枚全部に一瞬だけ目を通し、性別、年齢、背格好がバラバラの人物が写っていることだけ把握した。


「今回の標的は6匹か」

「いや、これが全て同じ個体だという話だ」

「へ~、姿を変える能力って奴か――」

「ああ、だがどうやらその姿以外にはなれねぇみたいでな」

「なら話は早えじゃねぇか、6種類のどれかを()れば良いんだろ?」

「まぁそうなんだろうが・・・・・・」

「楽勝じゃねぇか」

「だが問題があってな」

「なんだよ?」

「数が多いんだ」

「あぁん? でもそいつ一体を殺せばいいんだろ?」

「ああ、でもな――見分けがつかねぇんだよ」


 いつもは『殺せば終わる』みたいにシレッと言う親父がどういう訳か警戒している。配下の悪魔がいくら多くても、そいつ1匹殺せば済む話なんだが。


「はは~ん、頭も耄碌(もうろく)されましたなぁ~」

「ぁあ?」

「6種類の姿も覚えれねぇなんてよ、わかりまちゅか~? むっちゅでちゅよ? むっちゅ~」


 俺はゆび6本を立て、唇を突き出して挑発した。


「ハッ! 俺様はまだまだ現役だ――よっと!」


 親父は額に青筋を立て、歯を食いしばったままそう言うと、いつの間にか俺の背後に回り、首に左腕が巻き付いていた。


「んっぐっ」


 親父のレ・バンナが俺の首を超圧迫する。生命の危機を感じる程に。

 脱出方法はこうだ。肘の部分を両手で押し上げて、その隙間から首を抜く。

 俺は藻掻きながらも必死に肘を押し上げた――だが、親父のレ・バンナはビクともせず、更に締め付けを増した。


「あら~、甘ちゃん坊や~、いい子でちゅねぇ~、え? おちりでちゅか? あ、おちりが痒いんでちゅか~? 掻いてあげまちゅねぇ~、えいっえいっえいっ♥」


 殺人に快楽を感じている輩と同じ目をした親父が、右手のクナイで俺のケツを何度も刺した。まるで鶏肉の皮を包丁で刺して縮むのを防ぐかの様に。


「いてっ! 痛っ! 痛っ! わかったっ! わかった、ギブ! 降参! 降参!」


 俺はレ・バンナを素早く連続タップすると、締め付けが少し緩んだ。


「プファッ! プフォゥ!」


 酸素! 酸素が美味い。


 だが、呼吸は得たものの、首元の腕は離れていなかった。


「んふふふ~、わかればいいのよっと!」

「痛ぇぇっ!」


 親父は最後にもう一突きしてから、俺を突き飛ばした。

 俺は地面で無様に転がると、苦しむ海老の様にピチピチと跳ねた。


「まだまだ鍛錬が足りねぇぞ~? 采六ぅ~ムッフッフ~」


 悔しいがここで反抗した所で傷が増えるだけだ。ここは引き下がることにする。だが見てろよ、てめぇだってその内老いるんだ! 老いてきたらその腕だって細~く貧弱になる・・・・・・ビジョンが見えないのは――なんでだろうか。 


「ハァ~・・・・・・んで? 何をそんなに心配してんだ?」

「言葉の通りだ、数が多いんだよ」

「だから~、この写真の奴を見つけて倒せばいいだけだろ?」


 俺はしゃがんで、地面に一枚ずつ写真を若い順に並べて置いてみた。


 1枚目。

 学年に1人は居そうな、大人しそうで可憐な雰囲気を持つ【小学生くらいの少女】。フリルのあしらわれた、純白のワンピースを着ている。

 お人形さん見たいな雰囲気だ。これを大人が着たらゴスロリ系って感じだな。多分同学年からモテるタイプだな。だが、油断させておいてブスリなんてあり得るパターンだし気を付けねぇとな。


 2枚目。

 眼鏡を掛けて理知的だが、幼さの残る顔立ちの【中学生くらいの男子】。

 なぜか生意気な印象を受ける。

 眼鏡を触りながら、『采六さん、それはブリではありません、ハマチですよ』的な、どっちでもいい情報を、悪を懲らしめるように言ってくる気がする。

 逆に『暗黒神、ギガン・フリーディアスよ、我が命により目覚めよ! そしてこの男に裁きの黒雷を!』って言ってくる中二病かもしれないが。


 3枚目

 街中の交差点で撮った物だろうか? 人混みの中から、頭が2,3飛び出ている人物にピントが合っている。背の高さもさることながら、鋭い目つきが印象的な、【20代くらいの女】。


『ヤベェ奴』って目付きで分かると言うが、正にそうだと感じる。

 ――逆らう者は皆殺し的な目つきだ、俺には分かる。

 経験上、メチャクチャな手数とノーガードでこっちの攻撃を躱しながら迫るって感じだ。『南海の黒豹』とでも名付けようか。

 しかし、こいつは――この感覚は――誰かに似てる――誰かに・・・・・・


 写真を見てる俺を側で見下ろしてる人物をチラッと見ると目が合った。


「あ? なんだよ」


 親父が鬱陶しそうにそう言った――次。


 4枚目。

 見るからに何でも食べそうな年齢不詳の【肥満体型の男】。

 常に何かを食べてるタイプだ。

 動きも鈍そうだし楽勝な感じがする。


 5枚目。

 ある程度年を経て、組織を束ねているような雰囲気を持つ【大企業のCEOっぽい貫禄のある女】。

 これこそが真の姿だと思う。人間のフリをする悪魔ってのは、紳士淑女って相場が決まってるからな。そうだ、そうに違いねぇ。


 6枚目。

 この歳になると男か女の区別が付きにくい【腰の曲がった年寄り】。

 これも油断を誘うあれだ、『(いたわ)ってちょうだいね』って感じで近付いてガブリって奴に違いない。

 だが俺は年寄りに対しては、引かぬ! 媚びぬ! 労らぬ! 

 いつもジジイ&ババアに手加減無しでやられっぱなしだからな。

 だからこいつも楽勝だ。寧(むし)ろこの姿で現れてくれたら日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らせるかもな。


「こんだけ特徴があれば、どんだけ手下に囲まれようと分かるだろ? しかもこの背の高ぇ女なんて頭が飛び出てるじゃねぇか」

「だ~か~ら~、そいつら6人の格好した奴がウジャウジャ居るんだよっ! 分かんねぇ奴だな」


 6種類の同じ悪魔が大勢居て、それが全て同一悪魔だと言うことか。


「いや、それこそ好都合じゃねぇか、いっぱい居るんだったら、そのどれかを(やっ)ちまえば全部がポンッって消えるんじゃねぇか?」

「そんな簡単じゃねぇよ」

「そうなの?」

「ああ、しかも幻じゃねぇぞ、全部実体でどれか1体が本体だ」

「おいおい冗談じゃねぇぞ! どうやって見分けるんだよ! ってゆーか、本当に本体は1体なんだろうな!」

「ああ、そりゃ本当だ」

「どこ情報だよそれ!」

「堕居州だよ」


 出たな【堕居州】。

 家宝であり、宇宙の意志やら運命を知ってるとかって聞くけど、ただの6面ダイスにしか見えねぇんだよなぁ。

 だけど時々普通ではない動きをする。そう、まるで生き物のような。


 よく似てるなって思うのは、【こっくりさん】って遊びだ。

 確か狐の霊を5円玉に降霊させて色々答えさせる遊びだった筈だ


 ◆采六のイメージ開始


 放課後、木造の小学校の教室。

 窓からは西日が差し込み、教室内は逢魔が時を演出。

 一つの机の4辺を、4人の少女が囲んで立ち、机の上に広げている、50音と鳥居の絵が書かれた用紙を見下ろしている。

 鳥居の上には5円玉。

 全員の人差し指が5円玉に乗っていた。


「じゃあ始めるよ」


 1人の少女がそう言うと、3人が頷いた。


「こっくりさんこっくりさん、私の将来の結婚相手を教えてください」


 4人は将来の結婚相手を聞くために集まっていた。


 しばらく動かなかった5円玉だったが、ゆっくり動き出すと、自然に文字をなぞり始めた――た・な・か・け・ん・と。


「田中健人! 6年3組の? ええ~!」


 そう言いながら、満更でも無い表情で身悶える少女。

 周りの少女達も口々に感想を言いながら盛り上がっている。


「え~嘘~」「次、私!」――と、順番に示される名前に一喜一憂する少女達。

 しかし、示される名前が全て同じ小学校の生徒であることに疑問は無かった。


 采六のイメージ終わり◆


 これってただの告白だろ! あ、だからこっくりさん? 告る→告りってこと?

 そんなことはどうでもいいんだが、堕居州ってそんな感じのイメージが拭えない。

 見た目、どこにでもあるような普通の6面ダイスに運命を(ゆだ)ねる一族って・・・・・・何だかなぁ~って思う。

 何でこんな家に生まれたんだろうかって、ちょっと思うよね。


「ま、何とかしてその本体を探して殺せばいいんだろ?」

「ああ。でもそんな姿(なり)はしてても悪魔だからな、油断するんじゃねぇぞ!」

「わ~ってるよ」

「おめぇはす~ぐ油断するからな――分かっちゃいるとは思うが、人間は殺すな! きちんと見分けろよ」


 実際そこがとても難しい。

 悪魔っぽい人間、人間っぽい悪魔って居るので。

 しかも前者を殺せば多分殺人で逮捕される。

 人間社会のためにに命がけで働いてるのに、間違えて人間を殺した時点で人間社会から裁かれる。当然と言えば当然だが釈然としない。

 最悪、確信が持てなければ、トドメを刺す前に確認しろって言うけど、倒せる時に倒しておかないと、こっちが殺されても――ねぇ?


「わ~ってるよ、けど、この姿してる奴は悪魔なんだろ?」

「ああ、ま、頑張れや」

「お? おぉ」

「でもな、こんな(いわ)く付きの直しだ、それを駆け出しのおめぇにやらせるのもな~って、優しい俺様は思ってんだよ、もしかしたら間違いかもしれねぇ、そう思って何回も振るんだけどな、それでもお前にやらせろとしか出ねぇんだわ」


 何回堕居州を振っても6しか出ないって言われてもなぁ、常識敵に見てもイカサマ以外そんなことあるわきゃ無いし。


「ん~、もう一回、もう一回だけ転がしてみてくれよ、なっ、な?」

「あ? わぁった、よ~く見てろよ・・・・・・次っのなっおしっは♫ 誰だっろなっ!」


 親父はリズミカルに6面ダイスを転がした。

 ダイスは6を上にして止まり、俺の右眉が上がった。


「・・・・・・」

「な? こうなるだろ?」


 俺の反応を見て面白がってるのか? もしかして。

 数が多いというだけで面倒の2文字が頭に浮かぶ。

 俺の兄ちゃんか姉ちゃんが手伝ってくれないだろうか?


「あ~、じゃあ次は俺にサポートで付く番をやってくれ」

「ヘイヘイ、いくぞブラザー! テゴっの(ば~ん)は♫ 誰だっろなっ!」


 テゴ。中国地方の方言で『手伝い』って意味だったな。

 時々親父の口を突いて出るんだが、中国地方に住んでたんだろうか?

 親父は堕居州をポイッと投げるが、地面に着く前にフッと姿を消した。


『なぁ?』と言って、親父は浴衣の袖から堕居州を取り出した。


 今までも何度か見たことがある消える堕居州。

 この手品だけはどーやっても見抜けねぇ。


「はいはい、わぁったよ」

「外番は何人か連れて行けよ」


 外番っていうのは親父の兄弟姉妹で、俺の叔父、叔母だ。

 親父が一番下だから、全員アラセブなんだが、現役を退いたってだけで、衰えを感じられない程動けるし、教育係を兼任してるから凄く鬱陶しい存在だ。


「いいよ、俺だけで十分だ」

「あっそう? 特別に外番決定ダイスも振っちゃう?」


 普段、主になる番決めにしか堕居州を使わない親父だが、やけに乗り気でニヤニヤしていて気持ち悪い。


 正直『やめろっ!』って叫びたい衝動はあるが、いじめっ子の法則その①、反応が過敏であるほどもっと虐めたくなる。に該当するから、その衝動は抑えよう。


「どうせそれも消えて現れるんだろ?」

「そうかもな――まぁなんだ、こいつが6しか出さねぇってことには、何か意味があるんだろうよ」

「どんな意味だよ」


 1人で行く、外番と行く。どちらも嫌だけど、俺は前者を選択した。


「例えばな、てめぇが直しに失敗して左腕を失うが、何かスゲぇ~科学技術で作られた武器を装備して、精神力をビームにして打ち出せるようになるとかな――葉巻咥えて」


 親父は眉間に皺を寄せ、深く頷きながら、遙か彼方に想いを馳せている。


「おいおいっ! (ろく)でもねぇこと言うなよ! 前提として俺の左腕無くなってるじゃねぇかっ!」

「でも明鏡衆としちゃぁ最高だぜ? 超兵器が体に内蔵されてりゃ直しが楽だからな。あと乗り物も要るか、【亀号(タートルごう)】って名前で――」


 親父は聖人のように穏やかな笑顔を(たた)えた。


「もうええわ!」


 この親父は時々とんでもないことを言う。

 大体こんな突拍子も無いことを言う時は、マンガを読むかアニメを見始めた時だ。

 今回のは察しがつく。


 前は、『采六! おめぇ両手両足を切ってみねぇか? ちょっと思いついたことがあってよ。その切った両手両足にチョチョッと細工してな、でっけぇ機械の真ん中に()えて動かすんだよ。【サイコ番】って兵器だ。そうなりゃおめぇは無敵だぜ?』って言ってた。


『てめぇがサイコだよ! サイコザクの丸パクリじゃねぇかっ! って、サイコ繋がりかよっ! 親父が夢中になるわけだ!』と、心の中で叫んでおこう。 

 しかし――何で俺の手か足を切ることが前提なんだろう。


「わかったわかった、もしそうなった時は考えるよ」

「お? 物わかりが良いじゃねぇか。そのための予算組みしといてやるからな、左腕な! 右だと偽物になっからよ」

「予算いくらだよ!」


 そこで親父はふぅ~と息を吐いた。


「まぁ何だ、兎に角油断だけはするな。躊躇(ちゅうちょ)無く殺せ」

「わぁってるよ」


 分かってる――分かってるんだ。

 躊躇なんかしねぇ、相手は悪魔なんだ。


 ――なんてことを3日前には思ってたんだがな。

 ・・・・・・俺は今迷ってる。


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