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2-2 文化祭準備②

 カナタのクラスの出店内容が決まった数日後の5・6時間目の学活の時間から正式に準備が始まった。絵が上手な佐藤さんの書いたコンセプトアートと飾りの設計図をもとに作業は進む。


「青のテープは窓の縦幅より少し長いくらいで」


「サメはこのくらいの大きさで良いの?」「うん。ちょうどいいサイズだよ」


「小魚もっと量産してー」「海藻とかサンゴもいるくね?」


 各々、周りと連携を取り合って作業を進めているようだ。無論、カナタ達6班も作業に徹している。


「タコさんりんご飴...カメロンパン...たい焼き...あとなんかある?」


 カナタはタブレットでメニュー表を作りながら他の班員に聞いた。


「チンアナゴチョコバナナとか?」


 エイタがニヤつきながら提案した。


「チン...バナナ...却下」


「無難にブルーハワイソーダとかで良いんじゃない? カキ氷用シロップを炭酸で割れば簡単に作れるし」


 今度は佐藤さんが提案した。


「よし採用」


「クラゲまんとかどうでしょうか...肉まんの上に丸い焼き印をクローバー型になるように押せばそれっぽくなると思います...」


 次に提案したのは班長だ。


「お、良いねそれ。甘い物ばっかだったし、採用っと」


 自分の案が採用されて、彼もどこかうれしそうだ。


「進行状況はどう?」


 その時、先生が様子を見に来た


「それがまだ5種類しか決まってなくて...」


「そうか。でもそれくらいで良いんじゃない? いっぱいつくって売れなくてもダメだし、そもそもそこまで予算ないし。ま、決まったらこっちに送信して」


「確かにそうだよな...じゃあ、みんなこれで良い?」


「うん」「はい...」「おう」「アレがダメだったのがちょっと不服だけど、いいぜ」

「じゃあ、これで」


 カナタはメニュー表のデータを先生へ向けて送信した。



 ――――放課後



 放課後になった。カナタとチハヤは今日も何気ない会話をしながら並んで帰っている。


「ねね、カナタのクラスは何やるの?文化祭」


「『海底カフェ』って名前で海洋生物の形したりんご飴とかメロンパン売る」


「へぇ~そっちは面白そうでいいな~。私のクラスなんかクソ教師鬼怒川のせいでSDGsの研究発表になっちゃった」


「あー、うちの担任から聞いた。残念だったね。でも来年もあるから、その時はやりたい事をやればいいじゃん」


「うん! 絶対やる! やってやろうじゃん!」


 そう話しながら交差点を超え、コンビニ前を通り過ぎ、電車の高架下を通る頃、また話しが始まった。


「そういえばさ、飯沼のおばあちゃんって今も元気にしてる?」


 飯沼のおばあちゃんとは、カナタたちに優しくしてくれていた近所のおばあちゃんである。


「うん、こないだも道端で会ったけど90歳とは思えない程ピンピンしてた」


「あ〜良かった。小5の時に引っ越して以来、ずっと会ってないから気になってたんだ。今度会いに行かせてもらお」


「じゃあ俺も一緒に」


「そうしよっか。あ、私こっちだから。また来週ね!」


「おう」


 チハヤと別れたカナタは、国道に沿って自転車を走らせる。ファミレスやガソリンスタンドの立ち並ぶエリアを過ぎ、川を越えると自宅がある不動台の入り口にあるキツイ坂の前に着いた。春の日差しに照らされながらも、カナタは止まることなく立ち漕ぎで坂を登る。

 その途中、サユコの運転する車に会った。


「母さんこれから買い物?」


「いえ、ちょっと柳高に用事があるの」


 柳高とは、学校法人柳葉学園が運営する私立の中高一貫校のことである。


「一体何の…」


 詳しく聞こうとしたカナタの目に後部座席に座るマキナの姿が見えた。


「ごめんちょっと俺も行く」


 カナタは歩道の端のちょっとした空きスペースに自転車を停めて車に乗り込んだ。


「あれじゃ自転車盗まれそうだけど大丈夫?」


「大丈夫でしょ。前1ヶ月ぐらい放置されてるの見たし」


「ほんとに大丈夫かしら」


 サユコは心配しながらも車を発進させた。

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