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異世界転移

「ただいま!」


 元気な声が玄関に響く。


「おかえりー!」


 ただいまの声にこだまするように、母からおかえりの声が廊下に響いた。

 春晴カナタ、アニメと映画を愛する中学2年生。そんな彼がイチオシするのは「ファンタジーワールド」

 剣と魔法がテーマのThe王道な深夜アニメだ。


 アニメのポスターが壁に貼られ、ベッドにはキャラクターのぬいぐるみ、本棚には数多くのDVD、大きなテレビ、そんな部屋にも彼は帰ってきた。


「やっと買えた〜」


 ウキウキな彼の手には「火山×人食い鮫 衝撃の展開を見逃すな!」と書かれたDVDのパッケージがあった。


「なにそれ?」


 謎の少女の声がカナタの耳に入る。だが、すっかり舞い上がってしまったカナタは声の正体を疑うことも無く説明を始めてしまった。


「え、これ? これは火山から吹き出てきたサメが人を襲う話でさ、どこの店にも置いてないしレンタルもサブスクも無かったから超探したんだよね! そんでもって今日やっと駅前のレコードショップで見つけたんだよ!」


「ふーん。変なの」


 一通り解説すると部屋の電気を消し、コーラとミニサイズのポップコーンを片手につい寝てしまうぐらいふかふかな座椅子で鑑賞を始めた。



――――100分後



 エンドロールも終わる頃、カナタの耳にご飯ができたことを知らせる声が届いた。


「はーい今行くー」


 そう言って部屋の電気をつけた次の瞬間、カナタの目に思いもよらぬものが飛び込んできた。


「あ、どうも」


 そう言ったのは西洋騎士の格好をした青年。周りには魔法使いの格好をした少女、屈強な男、教会の司祭の格好をした女もいた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 今まで発したこともない声でカナタは叫び、棚にしまっていたDVDのほとんどが落ちるほどの勢いで後ろに転んだ。そして30秒もたたぬ内に叫び声を聞いた母が部屋に飛び込んできた。


「どうしたのそんな声出して、って」


 次の瞬間には母の甲高い叫び声が部屋に響いた。


「お父さん! 不審者! 不審者がカナタの部屋に!」


「ちょっ、僕達不審者じゃ…」


 騒ぎになった部屋の中でカナタはアニメ「ファンタジーワールド」のメインビジュアルが描かれたポスターにうつる4人の姿と部屋にいる謎の集団を交互に見た。


「え、もしかして。いやそんなまさか」


 カナタは思い切って話しかけた。


「あの、あなた達ってもしかして…」


 その頃リビングでは固定電話の前で母が慌てた様子で父に訴えかけていた。


「変なコスプレ集団がカナタの部屋にいたのよ! 早く警察に…」


「待て待て、ちょっと落ち着け…」


「あなたがかけないなら私がかけるから!」


 ちょっとしたパニックになっている母は受話器を取り1、1と押した。あとは0さえ押せば警察に電話が行く。0ボタンに指が届く寸前、カナタは母の腕を掴んだ。


「ちょっと待って、心当たりが」

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