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五月のラピス  作者: やす
3/10

プロローグ 3

馬鹿馬鹿しさが加速する!そしてMIKI編へ・・・


MIKI、ひとしきり笑った後ソファーから降りて

YASUの隣にチョコンと座る

    

MIKI「笑ったらお腹すいた~、YASUヨロシクー」


MIKIの言葉にNONも立ち上がりテーブルの前に座る


YASU、マロニーもう溶けちゃってんじゃねーの?とか思いつつ

カセットコンロに火を点ける

田島、小鉢にポン酢を注ぎお箸と一緒にみんなに渡す

 

KAMIYA「YASU、一味買って来た?」

YASU「買ったよ、田島、悪いお前の足元に有るスーパーの袋に入ってるからKAMIYAに渡して」

  

田島スーパーの袋を探り小瓶を取り出す

  

田島「これ?」

YASU「それそれKAMIYAに渡して」


田島、無言でKAMIYAに渡す、KAMIYAも無言で受け取る

 

NON「YASU!おうどん入れて!おうどん!」


YASU、小分けにしたうどんを投入

  

MIKI「いただきー!」

 

MIKIのこの言葉が号令の様に数分間は、誰一人喋らず

ただひたすら鍋に集中、うまい、まずい、濃い、薄いなどの

感想も無く食べ続ける・・・・・

YASUの部屋に響く下品な音


NON、口に含んだうどんを眉をひそめながら飲み込み

静かに呟く

    

NON「・・・・・最悪・・・・・」


NON大きな音を立てて小鉢をテーブルに置く

田島以外は箸を止めず必死で食べ続けている

田島、箸を置きNONに尋ねる


田島「え?どうしたの?」


NON、YASUを睨む


NON「・・・・・・」


YASU、視線に気付き手を止めNONを見る


YASU「何だよ?」 

NON「・・・冷凍じゃない・・・」

YASU「はー?!」


MIKIも食べるのを止め


MIKI「NON、何言ってんの?」


NONうどんの入った自分の小鉢をMIKIに見せる

  

MIKI「え!?もしかしてうどん冷凍じゃないの?」


NON泣きそうな顔で頷く

田島、鍋を覗き

  

田島「・・・・・これ冷凍じゃないんだ・・・・・」


YASU、3人からの冷凍じゃないんだ攻撃に苛立ち


YASU「冷凍じゃなかったら何だよ!」


KAMIYAは黙々と食べている

NON立ち上がり


NON「何か・・・もういい」


NONテーブルから離れ壁を背に座り携帯を開き

メールを始める

YASU、NONのフテこい態度にムカつき

 

YASU「冷凍も普通のも同じじゃねぇ?」


MIKI、YASUの肩をこ突き


MIKI「全然違うよ」

田島「YASU冷凍食べた事無いの?」


YASU、田島を睨みキッパリと


YASU「ねーよ!」

   

MIKI溜息をつきながら自分の小鉢に鶏肉とえのきを入れる

田島もそれ以上コメントせず食べ始める

YASU、怒りがこみ上げ、立ち上がる

  

YASU「ふざけんなよ!お前ら冷凍うどんって指定しなかった

じゃねぇーかよ!」

  

MIKI鶏肉をハフハフ食べながら

  

MIKI「指定しなくても普通、冷凍っしょ・・・」

  

YASU、何か言おうと口を開けるが怒るだけ無駄と気付き

静かに座る、そして吐き捨てる様に


YASU「・・・・・あっそ、じゃあ食わなきゃいいじゃん俺とKAMIYAで食うから」


KAMIYA、左手を少し挙げ


KAMIYA「あ、俺もパス」

YASU「はー!?」


YASUざるに盛った大量のうどんを見つめ


YASU「このうどん俺一人で食うのかよ!」


全員無視


YASU「・・・そーかよ、よーく解ったよ・・・だったらお前ら

一本たりとも食うなよ!もし自分の小鉢の中に少しでもうどんが入ってんなら鍋に戻すか俺の小鉢に入れろ!」

   

MIKI、KAMIYA、田島それぞれ自分の小鉢に入っていたうどんのかけらをYASUの小鉢に入れてゆく

プチプチに切れたうどんが浮く自分の小鉢を見つめるYASU


YASU「・・・・・・・」


KAMIYA、七味の小瓶を手に取り小鉢に振るが

その手を止め小瓶を見つめYASUに怒鳴る


KAMIYA「YASU!お前ふざけんなよ!」

     

ゆっくりとKAMIYAの方に顔を向けるYASU切れそうな感情を

抑え、あえて穏やかに


YASU「何すか?」

KAMIYA「これ一味じゃ無ぇーじゃん!」

YASU「七味じゃん」

KAMIYA「違ぇーよ!俺、一味つったじゃん!」

YASU「はぁ?・・・同じじゃん?」


KAMIYA、小鉢と箸を置き天を仰ぐ


KAMIYA「マジかよ~・・・全然違ぇーよ・・・」

  

YASU、田島を見て


YASU「同じだよな?」

田島「・・・だと思ってたけど・・・」


KAMIYA、七味の瓶を手に取りYASUの顔の前に近づけ


KAMIYA「・・・あのさ~、一味つぅ~のはオンリー唐辛子で

七味は唐辛子以外の香辛料が入ってて辛味が落ちるん

だよそんな事も知らねぇのかよ~」

    

YASU、七味の瓶を見ながら


YASU「じゃあさ、いつもの七倍入れりゃいいじゃん?」

  

KAMIYA、七味の瓶を後ろに放り投げ叫ぶ


KAMIYA「七倍も入れたらコチュジャンじゃねーかよ!

ざけんな!」

田島「うあ!!!」


KAMIYA、YASU同時に田島を睨み

  

KAMIYA、YASU「はぁー!?」


田島、カセットコンロを見つめ


田島「火・・・・・消えた・・・・・」

YASU「マジ!?」


YASU、コンロの着火部分を見ながら何度もスイッチをひねるが

火は点かない

その様子を見ていたMIKI溜息をついて立ち上がり


MIKI「YASU、ボンベ何処?」


YASU、カセットコンロのボンベ部分を指差し

MIKIに切ない顔を向け


YASU「・・・・・これラスイチ・・・・・」

 

KAMIYA天井を見上げ


KAMIYA「折れた・・・」


MIKI、頭をうな垂れ


MIKI「これキツいわ・・・」


KAMIYA、テーブルを離れドラゴンボールを手に取り

メールをするNONの隣に座る


NON「KAMIYA、可愛そう・・・なでなで」


NON、わざとYASUと目を合わせ、スーパーサイヤ人の様に

ツンツンのKAMIYAの頭をなでてやる

YASU立ち上がりソファー横の机に置いた財布を取る

 

YASU「ドンキ行ってくるわ・・・」


椅子に掛けたジャケットを羽織り携帯をポケットへ入れる

田島、支度をするYASUを見つめ


田島「ホントに買いに行くの?」


KAMIYA、ページをめくりながら


KAMIYA「当然だわな・・・」

  

MIKI、ソファーの上に置いていた鞄を取り

 

MIKI「んじゃ、タバコでも吸ぅーおっと」


YASU、財布の中の現金をチェックしながら


YASU「ついでだから酒も買ってくるわ、何が良い?」


NON、携帯画面から目を離しYASUの背中に向けて


NON「酒なんていいから冷凍うどん買ってきてよ」


YASU、振り向きNONを睨む


YASU「はー?食うのかよ」

NON「冷凍だったらね」


YASU、財布をジャージのポケットに入れ


YASU「・・・・・何個だよ」

NON「五、六玉位有れば良いんじゃない?」

YASU「・・・・・解ったよ・・・」


KAMIYA、ドラゴンボールから目を離さず冷めた口調で


KAMIYA「一味も買って来いよ」


YASU、冷凍うどんを買う事になった時点でKAMIYAの発言は覚悟していた事である


YASU「・・・・・一味な・・・」


MIKI、激しく鞄の中を引っ掻き回しながら怒鳴る

 

MIKI「最悪!たばこ誰かに取られた!!」

 

KAMIYA、呆れた口調で


KAMIYA「取られたじゃなくて自分で吸ったんだろ?」


MIKI、鞄の中から手を出し目を閉じ回想する


MIKI「・・・・・そっか・・・・・吸ったわ」


YASU、ケラケラ笑うMIKIを見て心の中で、後、たばこね・・・

MIKI、四つんばいでKAMIYAに近づき


MIKI「KAMIYA~、一本恵んで~」

  

KAMIYA、カーゴパンツのサイドポケットを探り


KAMIYA「全然良いけどバットだぜ」


MIKI、四つんばいのまま溜息をつき


MIKI「ゴールデンバットって・・・戦前じゃん、とりあえず頂戴」


KAMIYA、箱のままMIKIに渡す

受け取ったMIKI立ち上がり箱書きを読みながらキッチンの

換気扇へ

 

MIKI「嘘!タール18mgのニコチン1.1mgもあんの!?

アスリートがこんなの吸って良い訳?」

 

KAMIYA、自分の右手、肘に残る手術跡を左手で指差し


KAMIYA「元だろ、元」


MIKI、一本抜き取り


MIKI「しかも両切り・・・・・」


ジッポで火を点け一吸い・・・が、眉をひそめ


MIKI「辛!!無理!!」


MIKI舌先でタバコの火を消す、その様子を見ていたYASU


YASU「マイセンの8mgだよな?」


MIKI、KAMIYAにゴールデンバットを返し机横のメタルラックに掛けてたライダースジャケット羽織る


MIKI「YASU私も一緒に行くわ、ちょっち聞いて欲しい事あるし」


MIKI、玄関に向かい靴を履き始める

後に着いて行くYASUの背中に向けてNONが叫ぶ


NON「冷凍うどんは良いけど、ここに有るうどんは割りカンじゃ

無いかんね」

  

KAMIYAもNONの発言に賛同し


KAMIYA「そー、そー、七味もお前の自腹だかんな」


YASUあえて無視して玄関の靴箱の上に置いある小物入れから、鍵を出し、靴を履き始める、が、その手を止め再度立ち上がり、小物入れからキーホルダーも何も付いていない鍵を取り出し田島を見る


YASU「そーだ、田島~この前来た時、自分家の鍵忘れてっただろ?」

  

YASU、田島に向けて鍵を投げようとする

田島、顔を何度も振り


田島「いい!いい!・・・YASU持っといて・・・・・・」


YASU、不思議そうな表情を見せ


YASU「は?・・・何で?」


田島、うつむき


田島「スペア有るし・・・・・・・あげる」

 

YASU、小さく舌打ちをして呟く


YASU「・・・・・・意味解んねー・・・・・」


玄関のドアを開けたまま廊下側に出ているMIKIイラついて


MIKI「もう良いじゃん!貰っときなよ、早く行こ!」

YASU「・・・・・・・・」

   

YASU、田島の鍵を小物入れに戻し出て行く

    



静けさが包む真夜中の道路に出た二人

おそらくニコチンが切れかけているMIKI、

かなり早いペースで歩いている

YASUそんなMIKIの横顔を見ながら


YASU「お前、最近たばこ多くねぇ?」


MIKI、首をかしげ唸った後


MIKI「・・・増えたかも・・・」

YASU「やーさんて、たばこ有りだもんな~」

  

やーさんとは、今、MIKIが付き合っている人である

MIKI、大きく頷き


MIKI「そ~なんだよね~」


YASU、腕を組みニタついて


YASU「そ~いやダッチは、たばこNGだったよな~」

MIKI「無し!無し!だからばれない様に吸うの大変だった~」


ダッチとは、元MIKIと付き合っていた人である


YASU「一緒に居るとき吸いたくなったらど~してたんだよ?」


MIKI、両手をズボンのポケットに突っ込みYASUを見て


MIKI「ダッチん家居る時は、用も無いのにコンビニ行くわつって

コンビニのトイレで裸になって吸ってた」

 

YASU、吹き出し


YASU「必死か!てか何で裸?」


MIKI、当時の事が鮮明に蘇り笑いながら


MIKI「だって服に臭い付くじゃん!やばいっしょ」

YASU「やばいのはトイレん中のお前だろ」


MIKI何度も頷き


MIKI「確かに」


MIKI、片手をポケットから出しYASUの肩を激しく叩いて


MIKI「聞いてよ~そこのトイレ換気扇が天井でさ~、便座の上に立って吸ってたんだよ~、で、吸い終わったら 匂い消す為に歯ぁ磨いて」


MIKI、目を閉じ手の平を頬に当て


MIKI「あぁ、あの頃の私って健気~」

YASU「健気ってか、馬鹿」

MIKI「間違いない・・・」


YASU、MIKI夜空を見上げ笑い合う

 

YASU「で、一日で最高何回コンビニ行った事あんの?」

MIKI「18回」


YASU、思わず足を止め


YASU「マジかよ~!・・・でもコンビニ行くつってるって事は

手ぶらじゃ帰れねーじゃん?」


MIKI、立ち止まるYASUを見て指を鳴らし


MIKI「そ~それ!最初の方はジュースとか買って帰ってたんだけど金続かないじゃん、だから最後の方はチロル一個だけ買って帰ってた」

 

YASU、歩き出し


YASU「どんだけチロル好きなんだよー!てかバレバレ」

   

YASU、けたけた笑い出す

MIKI、YASUの肩に手を置き


MIKI「で、ある日ダッチん家行ったらチロル大人買いしててさ~

   これでコンビニ行かなくて良いだろだって、参ったわよ」

YASU「先手打たれてんじゃん!」


MIKI、うつむきアスファルトに転がる小石を蹴りながら


MIKI「バレてたんだよね~・・・・・きっと・・・・・」

YASU「100パーな」

  

笑う事で幾分MIKIのストレスは解消されたのだろう

とても穏やかな表情である

MIKI、YASUに問いかける

  

MIKI「なんでYASUはたばこ吸わないの?」


YASU親指で自分を指し


YASU「俺?」


YASU、説明してMIKIに理解してもらえるかどうか解らないが

話し始める

 

YASU「お前、小学校の時に理科の教科書で、たばこ吸ってる人の肺と吸ってない人の肺の写真が載ってたの知らね?」

   

MIKI、一気に古い記憶が蘇り、YASUの肩を何度も叩く


MIKI「有った!有った!綺麗な肺の下に事故で亡くなった人の肺って書いてあったアレでしょ!」


YASU、同じ記憶を共有してる事でテンションが上がり


YASU「そう、それ!あの汚ね~方の肺がトラウマになっちゃってたばこへの興味がまったく無くなったんだよな~」


MIKI、歩くスピードを落とし、首をひねって


MIKI「・・・・・でもさ~肺が汚くなるからが、たばこを吸わない理由なんだったら、この街で暮らしてる私らってたばこ吸って無くても肺、真っ黒だよきっと」


単純に肺が汚れているか否かの点だけで言えばMIKIの意見

はもっともである


YASU「・・・・・確かに、雨戸とか拭くとぞっとするよなこんな汚ねぇ空気吸ってんのかって・・・」


MIKI、YASUの胸に指を当て


MIKI「でしょ!だから始めようたばこ!YASUの家で吸うの

気ィ使うんだよねー」  


YASU、心の中で“気ィ使う?嘘コケ!この前来たとき俺の見てない隙に枕に煙めちゃくちゃ吐きやがって、おかげで匂いが取れずにあの枕、結局捨てたんだぞバカヤロー!”


YASU「無理、無理、第一AKIが嫌がるし」


AKIとは今、YASUが付き合っている人の名

MIKI立ち止まり頭をうな垂れて

   

MIKI「AKIか~・・・・・その存在完全に忘れてた~たばこ

駄目なの?」

 

YASU大きく頷く

MIKI、歩き出しYASUの横顔をニタつきながら見つめ


MIKI「・・・・・で、AKIとはどうなの?」

YASU「どうって?」

MIKI「順調?」

YASU「まぁ、普通」

MIKI「逢ってんの?」


YASU、遠くを見つめ


YASU「TOEICの試験あるからって最近は電話かメールで

逢っては無い・・・」

  

MIKI、腕を組み


MIKI「TOEICって・・英語力付けてAKI海外にでも行くつもり?」


YASU、笑みを浮かべ


YASU「何か考えが有んじゃねぇ?」


MIKI、組んでた腕を外しYASUの袖を勢い良く引っ張る


MIKI「ちょっちストップ!」

YASU「はぁ!?」


立ち止まる二人の左横にコンビニ

  

MIKI「たばこ買ってくるわ」

 

MIKI、小走りでコンビニの中へ


YASU、フト足元を見るとカラの缶コーヒー転がっている、缶から視線を反らしコンビニのガラス窓に張られたポスターに目を向ける、が、又足元の缶コーヒーに視線を落とす、そして舌打ちして缶コーヒーを手に取りコンビニのゴミ箱へ捨て小さな声でつぶやく


YASU「この性格、めんどくせ~」


YASUゴミ箱から離れ目の前のガードレールに腰を下ろそうとした瞬間大きな声で

  

YASU「しまった!!」


YASU駆け出してゴミ箱へ戻り今捨てた缶を取り出して

眼を凝らす


YASU「やっぱり・・・・・」


YASUの視線の先には懸賞シール、それを丁寧にはがし

缶は再びゴミ箱へ

    

YASU「危ねぇ~・・・・・」


と、つぶやくと財布を出して財布の内側にシールを貼るある

意味危ないのは、そんなYASUの行動の方である


コンビニのドアが開きMIKI、YASUに駆け寄りながら


MIKI「YASU、金貸して~」


YASU、眉をひそめ


YASU「はー!?いくら?」

MIKI「293円!」

YASU「お前7円しか持ってねぇーのかよ!」


YASU呆れ顔で財布から千円抜き、渡す

  

MIKI「ども~」


スキップしながらコンビニの中へ消えるMIKI


YASU、溜息をつき夜空を見上げるとアークトゥルス・デネボラ・スピカの“春の大三角”が輝いている、どうやら今夜の空は珍しく澄んでいるらしい・・・

こんな夜はAKIの言葉を思い出す

AKIは星は悲しいと言った・・・・・

地球から見える無数の星の幾つかは今はもう、宇宙に飲み込まれ存在していないから・・・・・

自分の心奪われた星が闇の法則に有るとしたら、胸の中に

虚無の波紋が広がり涙が溢れる、だから悲しいと・・・・・

歯の浮くような言葉を心から話すAKI

そんなAKIをYASUは誰よりも愛している・・・


YASU、ジャージのポケットから携帯を出しAKIへメールを打ち始める、そこへ近づくノー天気な声


MIKI「おまたせ~、行きまひょ~」


軽い足取りでコンビニ前の信号を渡ろうとするMIKI

しかし、歩き出そうとしないYASU

それに気付き立ち止まるMIKI、YASUを不思議そうに見つめ

 

MIKI「どうかした?」

YASU「釣り!」


MIKI、苦笑いしながらYASUに近づき


MIKI「だよね~」


MIKIポケットから582円出して渡す

YASU、露骨に不機嫌な表情を浮かべ


YASU「は?足りねぇーじゃん」


MIKI、悪びれる様子も無く


MIKI「ガルボ買ったから」


MIKI、ニッと笑い


MIKI「YASUガルボ好きっしょ」


そう言うとジャケットの内ポケットからガルボを出しYASUに

差し出す

YASU、MIKIの手の中に有るガルボを見つめ思わず顔が

ほころぶ


YASU「・・・・・ガルボ・・・・・しゃあね~な」

     

YASU、携帯をしまいガルボを受け取る

そして歩き出す二人


MIKI、たばこに火を付け、つぶやく


MIKI「・・・・・ダッチ、こっちに来るんだ・・・・・」


驚くYASU、MIKIの顔をガン見


YASU「え?!長崎から?てか、お前らまだ繋がってんの?」


MIKI、YASUに視線を合わせず


MIKI「メールだけだよ」


YASU、前を向き


YASU「まぁ、ど~でも良いけど・・・・・で、来るって何しに?・・・まさかお前に逢いに?」

  

MIKIオーバーに手を振り


MIKI「違う!違う!今行ってる仕事の研修がこっちで

有るんだって」


YASU、ガルボの封を開けながら


YASU「・・・・・逢うのか?」


MIKI、煙を勢い良く吐き


MIKI「何言ってんの?逢う訳無いじゃん!」

YASU「あっそ・・・」

    

MIKI、ガルボをほうばるYASUの顔を覗き

  

MIKI「・・・・・・・・逢わない方が良いよね?」


YASU、眉をひそめガルボをくわえたままMIKIを見て


YASU「は?・・・・・逢いてぇーの?」


MIKIうつむき


MIKI「・・・・・別に・・・・・」


MIKI、数秒間沈黙した後


MIKI「てゆーか、今は友達だし・・・逢う位別に良いのかな~ なんて、思ったりもすんだよね・・・・・」


YASU、二本目のガルボを口に入れようとするが手を止め



YASU「お前は友達と思ってるかも知んねーけど、ダッチは

どーなんだよ」

  

MIKI、たばこの火をぼんやり見つめ


MIKI「多分、ダッチも私と同じ気持ちのはず・・・」


YASU、二本目のガルボを一気に口に放り込みガリガリ

噛み砕く


YASU「いつ来るんだよ」

MIKI「来週らしいけど曜日までは聞いてない・・・・・」

YASU「やーさん、その事知ってんのか?」


MIKI、YASUの前に回りこみ

  

MIKI「知る訳無いじゃん!逢わないんだから言う必要も無い

でしょ?」

  

苦悶の表情を浮かべるMIKIさらに続ける


MIKI「ただ・・・ただよ、こっちに来るのに逢わないって・・・

ダッチにしてみたら、まだ気持ちが有るからか?って思わ

れない?」


YASU、前に立つMIKIを睨み


YASU「お前何言ってんの?ダッチがどう思おうが関係ねぇーじゃん?そう思うんだったらそう思わしときゃ良くねぇ?」


MIKI、うつむき、弱々しい声で


MIKI「うん・・・・・そう、そうなんだけど・・・・・

何か・・・気持ちが有ると思われんの嫌なんだよね・・・」

  

YASU、両手を腰に当て


YASU「お前、逢う口実必死で探してない?」


MIKI、ほんの一瞬だけ顔を上げYASUを見る


MIKI「・・・・・YASUにはそう見える?」

YASU「俺だけじゃなくて今迄の話聞いたら誰だって思うよ」

MIKI「・・・・・そっかな・・・・・」

  

しばし二人の間に沈黙が流れる

YASU、手の平で前に立つMIKIを払いのけ歩き始める

そして振り返り


YASU「で、どーすんだよ」

  

MIKIアスファルトにたばこを投げ捨て怒りに満ちた目でYASUを

睨み叫ぶ

  

MIKI「だから逢わないって言ってるじゃん!!!」

YASU「あぁ?!何キレてんの?」

MIKI「YASUうるさい!」

 

YASU、MIKIの目の前に戻り声を荒げ


YASU「はー?!」


MIKI、何度も顔を振りヒステリックに


MIKI「仮に逢ったって友達だから良いじゃん!!」


YASU、MIKIの肩を掴み


YASU「今、俺に言った事、やーさんに言えんのか?」


MIKI、言葉を失い顔を上げYASUを見る

その目は充血し今にも涙が溢れ出そう

YASU、しっかりとMIKIに視線を合わせ


YASU「・・・・・やーさんの気持ち考えてやれよ・・・」


MIKI鼻をすすり


MIKI「・・・・・言われなくたって解ってるよ」


歩き出す二人・・・

無言のまま・・・

時折、ジャケットの袖で目元をこするMIKI・・・


    


そんなシリアスな二人の前に、過剰なまでに巨大なロゴと

ド派手なネオンのドンキホーテが姿を現す




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