NON5
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黄昏を背に武庫湖駅へ向うGM3
MIKI携帯を耳に当て
MIKI「うん、5、6分で着く・・・うん・・・じゃあネ」
MIKI携帯を切り胸ポケットへ直すと同時に
理恵、MIKIの袖を引っ張る
理恵「YASUって奴?」
MIKI軽く頷く
理恵「もう着いてんの?」
MIKI「西口バスロータリーに居るって」
理恵、鞄を背に回し疑わしい口調で
理恵「ロータリー?・・・何かヤバくない?」
MIKI「はぁ?」
理恵、オグリンの肩を抱き
理恵「もしYASUって奴の近くに車が止まってたら
行くの辞めようね」
オグリン不思議そうな顔で理恵を見つめ
オグリン「何で?」
理恵、眉を潜めオグリンの耳元で囁く
理恵「拉致られるから!」
オグリン立ち止まり泣きそうな顔で叫ぶ
オグリン「拉致とか無理―!!」
MIKIとっさにオグリンの口を手で覆い
MIKI「声がデカイ!てか誰だって拉致無理だから!」
オグリン、口を塞ぐMIKIの手を払いのけ
オグリン「MIKIの手クッサ!!」
オグリン両手で何度も鼻の周りを拭き
オグリン「チワワの耳の穴の臭いがする!」
MIKI、自分の手の平を嗅ぎながら
MIKI「説明は具体的だけど全く想像できない・・・」
理恵、MIKIに近づき一緒に嗅ぐ
理恵「・・・無臭なんだけど・・・オグリンの鼻の中が
臭いんじゃないの?」
オグリン「そんな事無い!」
オグリンそう言うと両手で鼻を覆い深呼吸する
オグリン「・・・・・・」
理恵「どうよ」
オグリン覆っていた両手を外し
オグリン「拉致は無理だけど・・・とにかく
待ち合わせ場所に早く行こ」
スタスタ歩き出すオグリン
理恵、悲しげな眼差しでその背中を見つめながら
MIKIにつぶやく
理恵「MIKI~・・・オグリンの事一生守ってあげようね」
MIKI「うん」
MIKI、理恵同時に駆け出しオグリンの背中に呼びかける
MIKI、理恵「待って~、オグリ~ン!」
武庫湖商店街を抜け西口バスロータリーが視界に入る
GM3足を止め遠巻きにYASUの姿を探す
理恵両手を額にかざしロータリー周辺に眼を凝らしながら
MIKIに尋ねる
理恵「ね~、キショそーな奴探せば良いんだよね~?」
MIKI探すのを中断し理恵を睨む
MIKI「あんたさー、さっきから無礼じゃネ?」
理恵「・・・・・・」
MIKI「YASUの事何にも知らないくせに、
拉致るとかキショいとか!」
理恵「・・・・・」
MIKI「無視?・・・オイ!」
理恵「・・・・・やばい・・・・・」
MIKI「はぁ?」
理恵、額にかざした手をゆっくり下げMIKIに視線を向け
理恵「神が創りし奇跡が居る・・・・・マジやばい・・・」
MIKI「何処?」
理恵小刻みに震える指先である一点を示す
MIKIその指先をたどり見つめる
原付バイクにまたがりハーゲンダッツの店を見ながら
談笑する男・・・ダッチである
理恵、頬を赤く染め両手を胸の前で組み祈るように
理恵「あれがYASUであります様に・・・・・」
その願いにお応え出来ないMIKIつぶやく
MIKI「残念ながらYASUじゃない・・・・・」
理恵「ファーック!!!」
テンションだだ下がりの理恵その場にしゃがみ込む
MIKI「ただ・・・・・」
理恵だるそうに顔を上げ
理恵「はぁ?何?」
MIKI「奇跡の隣に居るのがYASU」
理恵、復活!勢い良く立ち上がり
理恵「嘘!!まじ?!んじゃ連れじゃん!ザぁ~ス!!」
理恵、後ろで結んでいた髪を解き両手でほぐし髪型を整え
学生服のネクタイを取りシャツの第1第2ボタンを外す
そして鞄の中から香水を出し耳の後ろと手首に吹きかけ
理恵「ヤバイ・・・ヤバイマジで・・・マジヤバイ・・・」
コンパクトミラーを出し顔を入念にチェック
ミラーを直すと、大きく深呼吸して
理恵「ウシ!行こ!」
MIKIの肩を叩く
MIKI、YASUとダッチを見つめながら、やる気満々の理恵に
MIKI「車止まってるけど良いの?」
確かにYASUとダッチの脇に白のライトバンが
停車している・・・が、理恵、手を何度も振り
理恵「アレは大丈夫!細川製麺所って書いてるから!」
MIKI「はぁ!?でも車じゃん!拉致られんじゃないの?」
理恵、戸惑いの表情をMIKIに向け
理恵「え?・・・・・まぁ・・・最悪アリかな・・・・・」
MIKI、理恵の変わり身の早さに呆れながら
MIKI「ねぇ、オグリ~ン理恵あんな事言ってるけど、どーする?」
オグリンからの返事が無い
MIKI振り返るがそこにオグリンの姿が無い
MIKI「あれ?オグリンは?」
理恵も振り返り
理恵「はぁ?」
二人で周辺を見渡しオグリンを探す
理恵、商店街の入り口に有る喫茶店に目を止め
理恵「アレじゃね?」
喫茶店の花壇の前に腰を下ろし小刻みに手を
動かしているオグリン発見
MIKI、理恵、近づきながら
MIKI「何をしてるか聞くのが怖い・・・」
理恵「確かに・・・」
後方に立つ二人にまったく気付いていないオグリン
必死で花壇の土に枝をブスブス差し込んでいる
理恵、中腰になり背中に優しく問いかける
理恵「何してるの?」
オグリン振り返り笑みを浮かべ
オグリン「蟻つぶしてるの」
MIKI「!」
理恵「!」
オグリン花壇に生えている松の木の枝を折って
理恵に差し出し
オグリン「殺る?」
MIKIと理恵の背中に冷たい汗が一筋流れる
理恵こめかみを押さえ
理恵「この子の行く末がマジで心配・・・」
MIKI「同感・・・」
理恵、オグリンの脇の下に手を回し強引に立ち上がらせ
理恵「ホラ、行くよ!」
オグリン顔を激しく振り
オグリン「ダメー!!まだ女王つぶしてない!!」
MIKI、もう片方の腋に手を回し
MIKI「明日、明日、明日爆竹で全滅させよ」
オグリン泣きそうな顔で
オグリン「爆竹なんて、そんなの可愛そう!」
MIKI、オグリンをじっと見つめ
MIKI「あんたの命に対する判断基準が解らない・・・」
MIKIと理恵に抱えられ強引に花壇から引き離される
オグリン名残惜しそうに花壇を見つめている
理恵、鼻息を荒げ黙々とダッチが居る場所へ歩を進める
理恵「ヤバイ・・・近づくほどにヤバイ・・・」
理恵スカートポケットからリップを出しグリグリと
塗り唇テッカテカにしてMIKIにつぶやく
理恵「私、マジだから・・・」
MIKI呆れ顔で頷き
MIKI「はい、はい、ご自由に」
近づくGMに全く気付いていないYASUとダッチ・・・
ダッチ、キレ気味にYASUに反論
ダッチ「お前だけだって!」
YASU「嫌、みんなそー!」
ダッチまたがっている原付のハンドルを何度も叩き
ダッチ「ぜってー違ェーよ!」
YASU苦笑いを浮かべ何気に商店街側に目を向けると
こちらへ歩いて来る異様な3人組・・・MIKI達で有る
YASU軽く手を挙げ
YASU「お~!」




