プロローグ 1
プロローグを我慢して読んで頂ければ各章を楽しんでもらえる筈です
田島「ヤクザの住んでるマンションと犯罪者の住んでるマンション住むとしたらどっちに住む?」
田島 李胡(たじま りこ 23歳)はカセットコンロの火を調節しながら問いかける
白菜を入れる手を止めたYASU
(川端 友康“かわばた ともやす”22歳)呆れながら
YASU「出たよ、田島得意のもしも話?何?」
顔を上げた田島、頬を膨らましながらYASUを睨む
田島「だからヤクザの住んでるマンションと犯罪者の
住んでるマンションどっちに住むって聞いてるの!」
答えるのがダルイ為、YASU後ろに振り向き
MIKIに話を振る
YASU「MIKI、田島が何か言ってるよ。」
ソファーの肘掛に足を乗せ眼を凝らし真剣にペティキュアを
塗るMIKI(朝日 美紀“あさひ みき”22歳)手を止め、大きく息を吐き
MIKI「絶対ヤクザのマンションしょ」
田島「何で?」
MIKI、田島に視線を向け
MIKI「どっちも嫌だけどさ~、ヤクザって基本縦社会の中で
生きてるから人間的部分が多少残ってる気がするけど、
犯罪者って人としての臨界越えてっぽくね?
だからヤクザの方がましかな・・・YASU~悪いけど
乾かしたいからドライヤー貸して~」
YASU「はぁ?!」
YASU豆腐を入れる手を止め、ため息をつきながら
立ち上がりクローゼットからドライヤーを出し
乱暴にMIKIに手渡す
MIKI「なにイラついてんの?」
YASU、MIKIに視線を合わせず豆腐の入った皿を取り
YASU「鍋の調理に集中したいの俺は!」
田島「で、YASUは?」
YASU、豆腐の入った皿を静かに置き田島を見つめ
YASU「お前、俺の話し聞いてた?鍋に集中したいって言ってるじゃん・・・」
田島、YASUの言葉に黙りこくり、泣きそうな顔でうつむく
MIKI、ソファー横に有るコンセントにドライヤーのコード
を差し込みながら
MIKI「あ~あ、YASU良いの?田島泣いちゃうよ~」
YASU、よどんだオーラを放つ田島を見つめ
YASU「・・・・・ごめんなさい」
田島、激しく顔を振り
田島「YASUは悪くない!私が悪い・・・ごめんなさい」
YASU心の中で“めんどくせ~”と思いつつ
YASU「・・・俺だったら犯罪者が居るマンションかな」
MIKI、ドライヤーを止め
MIKI「嘘!絶対有り得無いんすけど!」
田島、さっきまでの暗い表情は何処へやら、目を輝かせ
田島「何で?」
YASU、田島の切り替えの早さに若干引くが
YASU「犯罪者って特定の者に対して攻撃するイメージが
有るけどヤクザってそのマンション全体に影響及ぼしそうじゃん。」
田島「影響って?」
YASU、天井を見つめ少し考えた後
YASU「例えば真夜中にフルボリュームで長淵聴くとか・・・」
YASUの発言に壁にもたれドラゴンボールを読んでいた
KAMIYA(神谷 詩音“かみや しおん”21歳)本を閉じYASUを睨み声を荒げる
KAMIYA「長渕の何処が悪ィーんだよ!」
YASU再び心の中で“ここにも居たよめんどくせ~の・・・”
と思いつつKAMIYAに視線を向けなだめる様に
YASU「長渕はあくまで例えで、俺が言いたいのはヤクザって人の迷惑顧みなさそうだって事!
だから俺は犯罪者のマンションに住む・・・田島、悪い、火少し弱くして」
田島、火を調整しながら
田島「KAMIYAはどっち?」
KAMIYAドラゴンボールを読みながら
KAMIYA「俺、そうゆう仮定の話、興味ないから・・・」
YASU、しめじを入れながら
YASU「つまんね~奴・・・」
KAMIYA、ドラゴンボールのページをめくりながら
KAMIYA「自分が経験した事、目にした事以外、俺信じないから」
ペティキュアも乾いた為MIKIはそのまま
ソファーに寝転がり天井を見つめKAMIYAに問いかける
MIKI「じゃあ、KAMIYAって神様とかも信じないの?」
KAMIYA、吹き出し
KAMIYA「信じるわけねーじゃん」
MIKI「だよね~」
KAMIYA、ドラゴンボールを閉じ、顔を上げ
KAMIYA「ただ死後の世界は在るけどな・・・」
意外なKAMIYAの発言に一同唖然
田島「どうゆう事?」
KAMIYA、ドラゴンボールを胸に抱き片膝を立て話し始める
KAMIYA「小学2年の時、水風船を人に投げる遊びが流行った事があってさ」
YASU、一旦鍋の蓋を閉めて、くすくす笑い
YASU「やった、やった俺んとこは水に絵の具溶かして投げてたな」
KAMIYA、若干身を乗り出し
KAMIYA「俺の地域はしょんべんの水割りがトレンドでさ!」
MIKI、その言葉をさえぎる様に
MIKI「やめてよ!マジ吐くから!」
KAMIYA、四つんばいでテーブルに近づき鍋の蓋を開け
KAMIYA「丁度こんな感じの色なんだよ」
MIKI、思いっきり両手でソファーを叩き
MIKI「もう無理!私その鍋、絶対食べないからね!」
田島、興味津々の眼差しをKAMIYAに向け
田島「それで?」
KAMIYA「んで、ベランダから投げては、しゃがんで
遊んでた訳」
MIKI本当にムカついたらしく眉間にしわを寄せ
目を閉じている
KAMIYA「俺のマンション真下がガレージで、道を挟んで公園が有んだけど、その日、当時担任だった五右衛門が道歩いてんの発見してさ~、普段は近距離しか投げ無いんだけど、どうしても当てたくて、おもっきり振りかぶって投げたら俺ごとベランダからダイビングしちゃって・・・」
田島、両の手の平で口元を押さえ
田島「やだ!死んだじゃん・・・」
KAMIYA、親指で自分を指差し
KAMIYA「・・・・・・・イヤ・・・俺の事だから・・・」
田島「!」
田島、頬を赤らめうつむく
YASU、KAMIYAを見つめ
YASU「お前の家、何階?」
KAMIYA「5階」
YASU「良く助かったよな」
KAMIYA、四つんばいのまま後ろに下がり元居た場所に戻る
KAMIYA「真下に防護ネットが有ってそこに落ちたらしい・・・」
田島、首をかしげ
田島「らしい・・・って事は記憶無いの?」
KAMIYA「落ちた瞬間、一度記憶が無くなって、気がつくと真っ白の空間に俺、立ってんだよ」
田島「病院とかじゃなくて?」
KAMIYA、オーバーに手を振り
KAMIYA「違う、違う、とにかく真っ白い空間、丁度ドラゴンボールの時間と精神の部屋みたいな」
MIKI、呆れた声で
MIKI「マニアックな表現止めてくんない」
YASU、後ろのソファーに肘を乗せ
YASU「それってあの世的な感じ?」
KAMIYA 、田島の後ろにある冷蔵庫を見て
KAMIYA「喉渇いた田島ビール取って」
田島、話が中断され不機嫌な表情を見せるが、上半身を
ひねり後ろの冷蔵庫からビールを取る
その様子を見ていたYASU
YASU「田島、又お前どっか痛てぇーの?」
田島「え!」
田島ビールを手にしたままYASUを見て固まる
田島「・・・何で?」
YASU「いや・・・後ろ向いた時痛そうな顔してた様に
見えたから・・・」
KAMIYA、立ち上がり田島に近づきながら
KAMIYA「肉離れだったらテーピングしてやろうか?」
KAMIYAの言葉に MIKI、目を開け上半身を起こし
MIKI「そーだ!KAMIYA、首痛いから後でヨロシク!」
KAMIYA「おう!」
田島、ビールをKAMIYAに渡し
田島「ちょっと腕引っ掻いちゃっただけだから・・・・・」
KAMIYAビールの栓を開け
KAMIYA「お前、常どっか痛めてるよな~大丈夫かよ?」
田島、右手で後頭部を掻きながら
田島「私トロいから・・・・・そんな事より続き!」
KAMIYA所定の位置に戻り腰を下ろす
KAMIYA「んで、ぼーっと立ってたんだけど、何となく後ろに人の気配感じてさ、振り向いたらジジィが立ってんのよ」
MIKI、ソファーの隅に身を寄せて
MIKI「それ、めちゃめちゃ怖いじゃん!」
KAMIYA、興奮気味に
KAMIYA「超怖ぇーよ!真っ白の空間に見知らぬジジィだぜ」
YASU「服とか着てんの?」
KAMIYA「THE和服って感じで・・・で、俺の顔じ~っと見てさ」
YASU、MIKI、田島、KAMIYAに集中
KAMIYA「洗濯機を買うならドラム式にしろって・・・」
しばし沈黙が流れ
YASU「ジジィの口からドラム式って・・・シュール過ぎんだろ」
KAMIYA、ゆっくり頷き
KAMIYA「んで、ハっと思ったら病院のベッド・・・・・」
MIKI、縮めていた体をダラリと崩し
MIKI「なんだ・・・ただの夢じゃん」
KAMIYA目を閉じ
KAMIYA「そん時は俺もそー思ったんだけど・・・」
田島「だけど?」
KAMIYA「事故の2年後、法事で母親の実家に生まれて始めて行く事になってさ、んで仏間に通されたのよ」
KAMIYA両手を高く上げ部屋の壁に手の平で何かを埋
め込むようなジェスチャーをして
KAMIYA「ジジィ!ババァ!ジジィ!ババァ!ジジィ!ババァ!ジジィ!ババァ!仏間の壁の上に
歴代神谷家オールスターが飾られててさ・・・
何とその中の一人があん時のジジィだったんだよ」
MIKI再び身を縮め自分の二の腕を交互にさすりながら
MIKI「やばい・・・マジ鳥肌なんだけど」
KAMIYAビールを一口飲み
KAMIYA「てな事で、あの事件以来、死後の世界は有るって信じるように成った訳」
NON「・・・で、買ったの?」
一同、携帯を打ち続けるNON(野島 倫“のじま りん 22歳)に目を向ける




