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放尿

作者: うえなし

一瞬の体験だった。


特別棟の男子トイレに入ると、三つの便器が並んでおり、それらの正面の窓が開け放たれていた。

夏を表す濃い緑たちが第一体育館の屋根を覆っている。強い風のせいで葉が裏返っていて、雨に打たれると淡い緑に輝くことを知った。


便器の前に立って放尿をはじめると、一段と風が強まり、私の意識は強く窓の外へ誘われた。


気がつくと用は済んでおり、その間の私の何もかもは緑や風に奪われていた。

このような体験は、私にとって何ら不思議ではなかった。

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