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いま、家にゆきます

 スマホを見ると、SNSにメッセージが届いている。


 珍しいこともあるものだ。


 なぜならオレは友達が少ないので、滅多にメッセージが来ることはない。


 差出人は……、阿舞野あぶのさんだ。


《部活終わるのちょっと遅くなりそう》

《ごめん》

《校門とこで待ってて!》


 三分割されてメッセージが届いていた。


 そうだ。確か今日、阿舞野さんに絵を描くテクニックを教える約束してたんだ。


 まさかあの話、からかってるんじゃなくて本気だったのか。


 危うく、何も考えずにふだん通りに一人で帰るところだった。


 約束の校門のところで足を止めスマホを眺めていたとき、背後から「ゆらっち〜!」って、オレを呼ぶ声が聞こえた。


 振り向くと、ポニーテールをなびかせて走ってくる阿舞野さんの姿があった。


「ごめん、待たせた〜?」


 阿舞野さんは息を切らせながら言った。


「いや、ちょうどオレも来たとこだから」


「マジ? それならよかったけど。自分から誘っといて遅刻なんて、シャレになんないし」


 阿舞野さんは安心したような顔を見せた。


 阿舞野さんが人気なのは、外見が良いだけじゃなく、こうやって気遣いできる性格だからって言うのもあるかも。


「ところで、どこで絵を教えよう? ファミレスとか? それに教える道具も持ってきてないし……」


 オレは訊く。


 突然のことだった為に、阿舞野さんの分の道具を用意していない。


 自宅まで取りに行けばあるけど……。


 それに、今日オレはあまりお金を持って来ていなかった。


 漫画を描く為の費用にお小遣いは使いたいので、無駄遣いはしたくないのだ。


「ファミレスかー。でもいまアタシお金無いんだよねー」


「オレも」


 二人の意見が一致する。


「それじゃあさ、ゆらっちの家はどう? ゆらっちがOKなら、道具もあるしお金もかからないし、そこが一番良いと思うけど?」


 えっ!?


 そんなに親しくなったわけでもない男子の家にいきなり来るの!?


 これが阿舞野さんの世界ではあたりまえのことなんだろうか??


 いや、きっと阿舞野さんが変わってるだけだ……と思う。


「か、母さんがいるけど……だ、大丈夫?」


 なんかよくわからないことを聞いてしまう。


「それはアタシの質問でしょ〜? ゆらっちこそお母さんは何も言わない?」


「う、うん」


「よーし、それじゃ、レッツゴー!」


 ポンと阿舞野さんに背中を叩かれ、オレは彼女と二人で自宅へと向かうことになった。

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