文化祭か出し物
群光学園で体育祭の次にやってくる大きなイベントと言えば、文化祭だ。
高校最後の文化祭、我がクラスも何をやるか話し合いになった。
中には行ったこともないくせにキャバクラとか言い出した猛者もいたが、単にクラスメイトにドン引きされただけで、笑いも起きず、彼は見事、自分の黒歴史に今日の発言を記す羽目になってしまった。
結局、みんなの話し合いの結果、メイドカフェに決まった。
メイド服はコスプレ用にすでに持ってる女子が用意してくれる分と、不足分はみんなでお金を出し合ってネットで何着か買うことにした。
オレはクラスの分に加えて、部長として漫画部の出し物の方も準備しなくてはならない。
漫画部はすでにラノベ部の部長、雨宮瑞葉と話し合って、文化祭もコラボすることにした。
ラノベ部の書いた短編ホラーに、我ら漫画部が絵を描いて、お客さんには順路に従って回ってもらい、最後に仕掛けをして驚かすという、ちょっとしたお化け屋敷みたいなものに決めた。
その為に今日からしばらくは、阿舞野さんと秘密裏に内容をプレイしている漫画部代表作の製作は中断して、文化祭の準備をしなければならない。
衣川美南美、嵯峨元康、稲羽ふわりの四人で手分けして作業をする。
「ふわりちゃん、うまっ!」
美南美が手を止め声を上げた。
オレもふわりちゃんの方へ目を向ける。
ふわりちゃんはゾンビとなったナースの絵を描いているが、確かにゾンビに迫力がある。
「いえ。そんなことないです」
ふわりちゃんは謙遜した。
「でも読んで想像だけでここまで描けないぜ?」
嵯峨も感心する。
「わたし、実はホラー映画が好きで、スプラッター系とかもよく観るので」
なるほど、確かに血の描写とかリアルだ。
とはいうものの高校の文化祭なので、あまりR18に引っかかるようなグロいものは先生からストップがかけられそうだ。
その辺はふわりちゃんにも注意してもらおう。
そんな感じで、その日も順調に部活が終わり、学園生活の一日を終えた。
美南美と嵯峨が帰った後、部室に施錠をしてから職員室に鍵を返却したオレが、エントランスで上履きから靴に履き替えていると、柱の陰からふわりちゃんが、物音立てず名前のとおりふわりと静かに現れた。
「あれ、ふわりちゃん、まだ残ってたんだ」
オレは言った。
「あ、はい……」
ふわりちゃんが何やら言いたそうにモジモジしている。
オレがその怪しげなふわりちゃんの動きを見て首を傾げていると、彼女が口を開いた。
「あの、先輩、少しだけ一緒に帰りませんか?」




