ふわりにたずねよ
ラノベ部の雨宮瑞葉部長から頂いた原稿を携えて漫画部の部室へと向かった。
室内には他のメンバーが集まっていた。
その中にしっかりと前髪を上げて、目を隠さずに見せているふわりちゃんがいる。
「お疲れさまです」
オレの顔を見るなり、ふわりちゃんをはじめ、衣川美南美と嵯峨元康の三人が挨拶する。
「これ、ありがとう。美味しかったよ」
ふわりちゃんに弁当箱を返した。
「えっ、なになに、どういうこと!?」
その様子を見た美南美が目を丸くする。
「マジ!? えっ、えっ? ふわりちゃん、由良に弁当作ってあげたのかよ?」
嵯峨も驚いている。
二人は顔を見合わせていた。
「あの、いえ、お口に合ったのならよかったです……」
ふわりちゃんは頭をペコリと下げて俯きながら弁当箱を受け取った。
あれ? なんかふわりちゃんの耳が赤いような。
「あの……、作ってもらって何だけど、なんで急に弁当を作ってくれたのかな?」
オレは今日彼女に聞くべき、一番メインの質問をしてみた。
そう、いきなり彼女が弁当を作ってきてくれたことは、嵯峨や美南美同様、オレも驚いているのだ。
「……いえ、別に深い意味はなく、先輩が阿舞野さんを紹介してくれたおかげで、わたし、自分に自信がついたのでそのお礼に……」
ふわりちゃんは俯いて弁当箱を見つめながら答えた。
ふわりちゃんは頬まで赤くなっている。
「そんな。お礼なんていいのに。むしろオレよりも阿舞野さんのおかげだよ。でもふわりちゃんに自信がついて魅力が増したのなら、オレも阿舞野さんに会わせた甲斐があるよ。阿舞野さんにもそのこと伝えとく」
「はい……」
オレは二人を会わせたことに対して余計なお世話だったんじゃないかと不安だったので、これを聞いて安心したし嬉しかった。
オレは椅子に座り漫画部の活動を始めることにする。
「あの、先輩!」
ふわりちゃんが突然声をかけてきた。
「なに?」
「……いえ、部活頑張りましょう」
「そうだな」
そう言って、ふわりちゃんは弁当箱を鞄にしまうと、目の前の原稿に取り掛かった。
「へぇ、急にふわりちゃんが変わったからおかしいなと思ってたんだけど、なるほど、由良部長が関わっていたのかぁ」
そう言って美南美がニヤニヤしながらオレを肘で小突いてくる。
「オレと言うよりオレのクラスメイトが関わってるんだよ」
オレは答えた。
「またまた、このこの!」
嵯峨も引き攣った笑顔でオレを肘で突いてくる。
嵯峨の方が力が強く、少々痛かった。




