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彼女の歌を聴け

 突然、突拍子もないことを言い出した阿舞野あぶのさん。


「そ、そんな。わたし、配信なんて無理です」


 両手を振って断るふわりちゃん。


 人前に出ることがトラウマになっているふわりちゃんに自分の配信への出演を誘うとは。


 彼女に対してショック療法でもやるつもりなのだろうか、阿舞野さんは。


「ふわりちゃん、得意なことある?」


「得意なこと…‥ですか?」


「歌とかダンスとか」


「いえ、どれも自信ないです」


「うーん……」


 阿舞野さんは何やら考え込んだ。


「そうだ、今から三人でカラオケ行かない?」


「カラオケ?」


 オレはそもそも歌うことが得意ではないので、カラオケへは数えるほどしか行ったことがない。


「あの、わたし……、カラオケって行ったことないんです」


 ふわりちゃんはカラオケ自体行ったことがないようだ。


「じゃあ、なおさら初めてのことを経験してみようよ! さあ、レッツゴー!」


 阿舞野さんは右腕を高くあげ、笑顔でトレーを持って立ち上がった。


 もう行く確定なのか。


 でも歌わなくても、阿舞野さんの歌声を聴いてるだけでも、じゅうぶん時間が充実しそう。


 ふわりちゃんがどうか心配だけど。


 しかしふわりちゃんは、特に嫌がる素振りもなく、カラオケへと付いてきた。


 カラオケ店は阿舞野さんがよく利用するお店に行くことにした。


 慣れた様子で受付を済ませる。


 歌の練習に一人カラオケでもよく利用するそうだ。


「部屋番は203だね」


 阿舞野さんについて行き、指定された部屋へと入った。


「ふわりちゃん、好きな音楽は?」


 ソファーに座るなり阿舞野さんが尋ねる。


「わたしは基本アニソンしか聴かないので……」


「へぇ、それ、いいじゃん! ゆらっちは?」


 オレもアニソンかアイドルソングぐらいしか聴かない。


「オレもふわりちゃんと似たようなもん……」


「好きな歌があるっていいよねー。さてと、じゃあカラオケに誘ったアタシが最初に歌っていい?」


 どうぞどうぞと、オレとふわりちゃんは阿舞野さんにマイクを勧める。


 彼女が選んだのはSNSで流行ってる歌。


 やっぱり上手い。


 声が伸びやかで、音程もあって、リズム感がある。


 なにより歌うのが好きだというのが伝わってくる。


 オレの描いた漫画はどうなんだろう?


 読んだ相手に描くのが好きだということが伝わってるのだろうか。


 阿舞野さんが歌い終わり、オレとふわりちゃんは拍手をした。


「ありがとー。次、ふわりちゃん歌う?」


「いえ、わたしは……」


「アニソン好きなんでしょ? それを思いっきり歌うと気持ちいいよ」


 阿舞野さんに促され、ふわりちゃんは、おそるおそるといった感じで、人気アニメの主題歌を選択した。


 最初は緊張してる様子だったが、曲の途中でだんだんリズムに乗ってきて、声も大きくなりノリノリで歌い始めた。


 っていうか、ふわりちゃん、思ってたより歌上手い。


 これでカラオケ初めてとは意外だ。


 気分が乗ると、潜在能力を発揮するタイプみたい。


 熱唱が終わると、ふわりちゃんは肩で息をしていた。


「ふわりちゃん、めっちゃ歌上手いじゃん! これなら配信いけるレベルだよ! カラオケ初めてって意外だね」


「そんな。ただ、家で一人でよく歌ってますけど……」


「よし、配信はアニソン歌ってみた系の内容にしよう! 日程とか相談したいから連絡先教えて?」


「え、あ、はい」


 ふわりちゃんが自分のスマホを取り出した。


 二人は連絡先を交換した。

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