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びくつきふわりの真っ赤な真実

 放課後。


 漫画部の活動始動。


 新入部員の稲羽いなばふわりちゃんには、漫画の背景を担当してもらっている。


 彼女はオレが頼んだ背景をもくもくと無言で描いていた。


 それにしても今日の昼休み、屋上で見たふわりちゃんの美少女っぷり。


 それを野暮ったい髪型で隠しているのはあまりにもったいない。


「……あのふわりちゃん」


 オレは声をかけた。


 オレの呼びかけに彼女は何事かとぽかんと口を開けてこちらを見た。


「絵を描くのに長い前髪って鬱陶しくない?」


 オレは聞いてみた。


「大丈夫です」


 小さい男の子のような声で即答される。


 まあ、何かこだわりがあって前髪を伸ばしてるなら、そう答えるだろう。


「ふわりちゃん、前髪あげても可愛いのにもったいない」


 オレはつい屋上で見たふわりちゃんの顔を思い出して、口にしてしまった。


「へぇ、部長、ふわりちゃんの前髪上げた顔見たことあるんですか?」


 オレの発言にふわりちゃんの隣に座っている衣川美南美きぬかわみなみが食いつく。


「いやっ、ええ、まぁ……」


 余計なこと言っちゃったかな?


「ちょっとわたしにもあげてる顔見せてよ、ね?」


 そう言って美南美は興味津々で、ふわりちゃんの額に手を当て、髪を上げた。


「きゃっ!」


 ふわりちゃんが小さく悲鳴をあげる。


「うおっ!」


 それと同時に漫画部員の嵯峨さがも驚きの声をあげた。


「ヤッバ! カッワ!」


 ふわりちゃんの可愛いさに美南美も驚いていた。


 ふわりちゃんは慌てて前髪を下ろす。


「ふわりちゃん、前髪上げると可愛いじゃん! なんで下ろしてるの?」


 嵯峨がデリカシーなく直球で彼女に疑問をぶつけた。


 とは言え、オレも気になることだ。


「えっと、それは……、あの、わたし……」


 うんうん、あの、わたしの続きは……?


「あの、あの……、視線恐怖症なんですっ……!」


「視線恐怖症!?」


 オレは思わず復唱する。


「そうなんです……。あの、小学生のとき演劇をやったんですけど、そのときにやらかしてしまって……」


「何があったの?」


 オレは尋ねる。


「わたしの番がきて舞台にあがったときなんですけど、客席の方に視線を向けたら、見に来てる人達が一斉にわたしに注目してるのに気づいちゃって。そしたら、わたし一気に緊張して、頭が真っ白で台詞が出てこなくなって……。ひたすら焦ってしまって、それで泣き出してその場にしゃがみ込んじゃったんです。劇を中断させちゃうし、みんなにも迷惑かけるしで……。それからわたし、人と直接目を合わせるのが怖くなってて、それで髪で視線を遮れば少しは安心するから……」


 少々涙声になるふわりちゃん。


 なるほど、そうだったのか。


 彼女の髪のカーテンに、そのようなトラウマが隠されていたとは。


 可哀想なことを思い出させたかな?


 でもなんとか克服させてあげたい。


 何か良い方法はないだろうか……、とつい思い巡らしてしまうオレだった。

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