はじめての案件受注決め
「なんだかんだバタバタしてて、できてなかった案件受注! やるぜ!」
モンスター退治もいいけど、個別の案件を受注してこその冒険者だぜ!
「初めてのおつかいですね」
言い方。
「まぁ、確かに最初はおつかいみたいな案件しかできないけどな」
しかし、最初は誰でもおつかいから始まり成長していくもんだ。
おつかいなくして、人生は始まらないと言っても過言ではない。
「過言ですね」
うん。
「『過言ではない』はさ、言ってみたいワードランキング230位以内に入ってるから」
「言う程、言ってみたいワードなわけではなさそうなのが伝わってきました」
「過言ではない事を過言にしていくぞ」
「どうぞご勝手に」
相手してよ。
「アホな事言ってないで、どうするんですか?」
「ん~、どうしようかな~? せっかくなら強くもなれる案件がいいな」
「そんな案件、ランク5にあるわけないでしょう」
「だよな~。ツキなんかやりたいのあるか?」
「迷子の犬猫探し以外なら何でも良いですよ」
「なんでそれはダメなんだよ」
「犬猫ならばよほどの事情がないかぎり、自力で家に戻れますよ。なのに戻ってないという事は……」
「なんだよ、戻れるけど戻るつもりないとか言いたいのか?」
「そこまでは言いませんが。動物として生まれたからには自力でどうにかしろ。という気持ちもあるのかもしれません」
ふ~ん。なかなか厳しいね。
「こんなの厳しい内に入りません」
「まぁ、迷子の犬猫探しの場合は、犬猫の為というよりは探してる側の気持ちを楽にする為だからな」
「それもそうですね。あなたが迷子の犬猫探しが良いならそれで良いですよ」
正直、迷子の犬猫探しは全然興味ない。
「お前がやりたくなさそうだから興味があっただけで、そもそも犬猫探しは選ばないよ」
「あなたの事なので『漫画とかでよくあるおつかい案件来たー!』とか言うのかなって思ってました」
「逆逆。むしろよくあるパターンすぎて俺はいいってなる」
「あなたが何を好むのかよく分かりませんね」
「俺も」
とりあえず、今は俺の手の中にあるギルド案件冊子を見よう。
「見てみろよ。選ぶ選ばないの前に、今日の迷子案件全くないわ」
解決済ばっかり。
「よくもまぁ、毎日迷子が発生して、毎日すぐさま解決するもんだね」
ギルド来てる暇あったら、自分達で探し出せそうなもんだけど。
「人気案件なんですね」
危険もないし、報酬もそこそこいいしな。
「そういえば、索敵魔法使ったら一発だよな」
荒稼ぎできそうだ。
「犬猫は敵じゃないですよ」
そうだな。
「あれ? 索敵魔法使えない?」
「敵じゃないので」
あっ、そんな~?
「じゃあ、探索魔法使えるようになれば探せるんじゃないか」
「まぁ、そうですね」
「探索魔法か~」
漠然としてるから、今んとこイメージ湧かないな。
「そもそも犬猫探ししないのでしょう」
そうでした。
「何すっかな~。記念すべき初案件だからな~」
それにしてもこの毎日発行される冊子よ。
「案件多過ぎじゃないか?」
「それは当たり前ですよ」
「なんで?」
「あなたのいた世界には様々な職や店がありましたが、この世界ではありません」
なるほどね。
「言われてみればそうだな。仕事の種類全然ない」
「娯楽も少ないですしね」
色街はあるけど。
「それだけはどの世界にもありますね」
そうなんだ。
「三大欲求の一つですからね」
そうですね。
「残念ながら、まだ16歳だから入れませんよ」
何も言っていませんよ。
「いつになったら性欲が高まるんでしょうね」
やめろやめろ。
「俺だって高まってる時くらいあるぞ」
「知ってます」
やめて。
「ライフはゼロよ」
「まだ生きてますよ」
知ってるよ。
「そろそろこの手の話に慣れないと」
「俺だって男同士なら別になんともないわ」
……なんともなくはないか。
……男同士でも苦手でした。
「ほほう」
「お前一応、女の子だろ」
「ほほう」
見た目だけだけど。
ドスッ。
おでこに手刀を入れられた。
「ぐふぅ、割れるっ……」
あまりの痛さに転がる俺。
なぜ、おでこ……
「脳天には届きませんでした」
おでこで良かったかどうかも分からない。
「冊子、落としましたよ」
お前のおかげでな。
「回復魔法を使える機会を与えたのではないですか」
それはどうもありがとう。
自分で回復魔法をかける。
「おお~、痛くない」
すごいな。
「温かくなるんだな」
なんか気持ちいい。
「まるで自慰行為のように言うのはやめてください」
お前に言われるまで1mmもそんなつもりは毛頭なかったよ。
「お前マジでどうかしてる」
恥じらいというものはないのか。
「恥ずべき事だと思ってないので」
「頼むから、ライとかフェスの前で言うなよ」
「言いませんよ、空気読んでますから」
空気読むんなら、普通に話してくれる?
「相手が求める事をしているだけです」
「あの二人が無口キャラを好んでるって事か?」
「まぁ、そうですね」
「で、俺が性の話を好んでるってか?」
「あなたの場合はからかっているだけです」
やめろやめろ。
「この手の話が好きなクセに」
嫌いじゃないけど、女の子とは嫌だ。
「また今度からかってあげますよ」
いい性格してるわ。
「ありがとうございます」
褒めてない。
「ほら~、また話しがそれただろうが。案件決めようってばさ」
「ではまた次回」




