表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/222

意気込み

「あー…なんだ? あー……知り合いだよ。知り合い。だよな小さいの」


 明らかにサラがクリスに『はい』と言えと威圧している。


「は、はい」


「お前ん、今大変そうだもんな」


「守り人様は何かご存じなのですか?!」


「は? ……知らね」


 軽やかに口笛を吹くサラ。


 知ってそ~。 


「守り人様って何々何?! サラちゃんって守り人様なの?!」


 リリーが空気を読まず、身を乗り出してきた。


「サラちゃん? 守り人様は『サラ』様というお名前なのですか?」


「おうよ! サラ・ノエル! とは私の事よ!!」


 大声で自らの名前を名乗り、嬉しそうにツキをちらちら見ている。

 ツキはといえば、ガン無視だ。


「お名前を初めて知りました」


「最近、決めたか……ごふごふん」


 誤魔化し方下手くそかよ。


「で、守り人様って何?!」


「守り人様とは――」


「おおっと! 何だっけ、同伴者募集中なんだっけ?  ははは! 同伴って、キャバクラみたいだな」


 こいつは何を言ってるんだ、子供の前で。


「「「「キャバラクラ……?」」」」


 あ、この世界の人が知るわけないか。


「キャバクラが何かは存じませんが、大人の方と一緒に弟を探したいのです」


 あー、子供がキャバクラって言っちゃった。

 良い子は真似しちゃダメなのに。


「キャバクラってのはな~……」


「おい、説明しようとするな」


 キャバクラを知らない皆の視線が痛い。


「それも、そうだな」


「サラちゃんが忙しそうだから、もしかしてフェスの時間が空いてたりすれば、クリスちゃんの同伴可能かなって思ってフェスにお願いしてた所なの」


「おー、そうだな。弟子ぃ、行ってやれ」


 サラが顎をクイッとしてフェスに行けと命じている。


「サラ様?」


 フェスが困惑している。


「こんな小さい子が困ってんだ。誰かは知らないが、コイツの気が済むまで付き合ってやれ」


 嘘下手くそか。

 ついさっき、知り合いって言ってただろうが。


「サラ様がそうおっしゃるのであれば、承知しました」


「よし! 弟子! 良い返事だ~」


 サラがフェスの頭をぐしゃぐしゃにする。

 犬じゃないんだから……。


 フェスが良い笑顔で微笑んでいる。こんなのでも嬉しいのか。健気。


「クリス、あなたの気が済むまで弟探しを見つけ出すお手伝いしましょう」


 キリッとしてるけど、フェスよサラのせいで頭ボサボサだからな。

 あの師匠にこの弟子ありだな。


「ありがとうございます! ありがとうございます!」


「あざます~! あざます~!」


 クリスが拝んでいる。

 そしてお約束どおり、クウガも拝んでいる。


 フェスが左胸に右手を当てて恍惚としている。

 『承った』ポーズらしい。なんだそりゃ。


「サラもありがとうな、助かったよ」


「お前の為じゃねーから礼なんていらねーよ。頑張るのは弟子だしな。あと、色々面倒くせーから、こうしておけば楽なんだよ」


 ははは、と笑いながら去っていった。


「良かったね~、クリス」


「ライ君! 本当に良かったです!」


 クリスがぴょんと飛び、ライの腕の中におさまる。


 何その軽やかな飛び込みと受け止め方、めっちゃ仲いいじゃん。


「良かったね~、クウガちゃん」


「うん!」


 クウガがリリーの太ももに顔をぐりぐりする。


 それは違うだろ。そして代われ。


 ……ツキに薄目で見られた。


「フェス、本当に助かるよ」


「サラ様に指示されたとはいえ、一度引き受けたからには、このフェス。必ずや弟さんが見つかるまでクリスと一緒に探しだします」


 またしても恍惚と『承った』ポーズをしている。


 そのポーズはよく分からないが、やる気になったフェスは頼もしいな。


「とりあえず、このたくあんぬをサラ様に渡してきます」


 そしてパタパタと走っていった。


「ごめんなクリス。なんか俺、結局何もできてないな」


「何をおっしゃいますか! 謝るなんてやめてくださいオリ兄様!」


 ライの腕の中からフォローの言葉を言ってくれるクリス。


「ごめんいらな~い」


 リリーの太ももからクリスの言葉に続くクウガ。


 うん、少しだけ複雑な気分がするのはなんでだろう。

 兎にも角にもクウガには場所を代わってほしい。


(何はともあれ、良かったですね)


 本当に良かった。

 それにしても守り人様ってなんだ。


(あなたには関係ない話ですよ)


 突き放すね~。


(実際そうですから)


 気が向いたら教えてくれる?


(どうでしょうね)


 はぐらかすね~。


(知りたいなら、あの子に聞いてください)


 サラが教えてくれるわけないだろ。


(そうですね)


 ◇


「準備完了しました! オリ兄様行って参ります!!」


「ます!」


「はい、行ってらっしゃい」


 結局、シェアハウスにクウガ一人を残すわけにはいかないという事とクウガも強いという事から3人でシオン君探しに行くことになった。


「ところで、アイテムボックスが使えるのになんで二人ともリュック背負ってるんだ?」


「意気込みです!」


 ふ~ん、ちょっとよく分からない。


「まぁ、重くなったらアイテムボックスに入れればいいもんな」


「はい!」「あい!」


「では行って参ります」


「フェス、よろしくな~」


 頼りにしてるぞ。


 3人は元気に旅立って行った。


「夕方には帰ってきますよ」


「意気込みだよ」


「ふ~ん、ちょっとよく分かりません」


 真似すんな。


「では我々も冒険者稼業に勤しみますか」


「だな! 稼ぐのもそうだけど、強くなんなきゃな」


「パパ、頑張ってください」


「誰がパパだ」


 まずは好きな子と結婚してからだな。


「あなたも旅立ってくださいよ」


「夕方には帰ってくるぞ」


「意気込みですよ」


 うん、大事だね。


「ではまた次回」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ