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同伴者探し

「クリスだけじゃ危ないから、俺達が休みの日に探そう。な?」


「いえ、一刻でも早くシオンを探したいのです。

 オリ兄様、止めないで下さい」


 クリスがシオンを探しに行くといって聞かない。


「分かるけど、クリスはまだ小さいんだ。なのに一人だけで街をうろうろしてたら何が起こってもおかしくないんだぞ」


「私なら大丈夫です」


「クリスちゃんみたいな可愛い子が一人で歩いてたら、誘拐されちゃうよ〜」


「ライ君! 可愛いだなんて、そんな……ことあります?」


 クリスはライがお気に入りのようだ。


「あるよ〜。だから危ないよ〜」


「私はそこらの人間よりは強い自信があります」


「そこらの人間じゃない強い奴だっているんだぞ」


「お願いです。オリ兄様!」


 クリスが俺の足に縋りついてくる。

 隣で見ていた、クウガまで縋りついてきた。


「こらこら。やめなさい、やめなさい」


 力強チカラつんよ

 こういうのはどこで覚えてくるんだ。

 前世で覚えたのか?


「オリ兄様! 後生ですから!」


「こんなことしても許可できないし。ほら、クウガが真似するだろ」


「ごしょ〜、ごしょ〜」


「クウガ。何でもお姉ちゃんの真似しちゃダメだぞ」


「ついて行ってあげたいけど、俺もリリーも冒険者稼業しないわけに行かないからな~」


 この辺りの街は治安は良い方だが、子供の一人歩きはさすがに危険すぎる。


(クリスとクウガの方があなたがたよりも強いですけどね)


 え?


(普通に二人と戦ったら、あなたもライもリリーもフェスも余裕で皆負けますよ)


 なんですって?


(子供といえど、ドラゴニュートですからね。クリスの言う通りこの辺りの人間なら、敵わないかと)


 そんな強いの?


(はい。あなた方が弱いともいいますが)


 えー……。


 いや、でもダメだ。

 どれだけ強かろうが『見た目は子供、頭脳は大人、力はドラゴン』でも一人歩きは許容できない。

 だからと言って、シオン君を探すのを止めるのもな~……。


「いつからオリは幼子にその様な真似をさせるような人間になったのですか?」


 ツキと念話していて、放置してしまっていたが、クリスもクウガもまだ俺に縋りついていた。


「新しい遊びだとしても感心しませんね」


「フェス!!」


「なんですか? 私はあなたの足に縋りつくなんてごめんですからね」


 俺だってごめんだ。


「サラ様ならいいですけど」


 サラだってごめんだと思うよ。

 待てよ、あいつなら泣いて縋りつかれてても、ずんずん歩いて平気でコオラ片手にをピーザを食べてそうだ。

 いや、泣いて縋る相手の顔を踏みつけて笑っててもおかしくない。


「フェス!!」


「そんな大きな声を出さなくても聞こえてますよ。なんですか?」


「今、暇か?!」


「私に暇な時など1秒もありません」


 ですよね! 言うと思った。


「この子達、生き別れの弟を探しに行きたいんだけど、同伴者がいないんだよ」


「そうなのですか、それは大変ですね」


「だろ!」


「はい」


「……」


「頼むよ!」


「何がですか?」


 あー、そうだった、そうだった。

 フェスってそうだった。


「フェス、一緒に探してあげてくれないか?」


「私ですか?」


「そう!」


「私の勘違いでなければ、つい先ほど暇な時は1秒もないとお伝えしましたが」


「だな!」


「はい」


「もう1秒以上、俺に時間くれてるじゃん」


「まぁ、そうですね」


「だからもっと時間くれ!」


「オリの割になかなか良いアプローチをしますね」


 自分でもそう思った。

 『オリの割に』は余計だとも思ったけどね。


 フェスとクリスが目を合わせている。

 今にもクリスがフェスの足に縋りつきそうだ。


「初めてお目にかかります。私の名前はクリス。こちらは弟の」


「クウガです!」


 お~『です』が言えるようになってるな。

 小さい子は日々成長するね。


「あれ? 二人ともフェスとは初めてだっけ?」


「はい」「あい!」


「初めまして、私の名はフェス・ティバール。幼いのにしっかり挨拶ができるのですね」


「ありがとうございます。フェス様」


「私の事はフェスと呼んでください」


「では私の事はクリス、弟の事はクウガとお呼びください」


 コクリ。


 なぜか頷き合う二人。


 なんか気が合いそうだな、この二人。


「初めてお会いしたばかりで、大変不躾なお願いで恐縮なのですが! 行き別れた弟を探す為! 何卒! 何卒! フェスのお時間を私たちにいただけないでしょうか!」


 また光の速さで土下座してる。

 クウガもまた土下座してるし。


「おいお前ら……」


「顔をあげなさい」


 すぐさま顔をあげるクリス。

 クウガはそのままだ。


「クウガも顔をあげなさい」


 クウガはクリスの方を見てから、顔をあげた。


「簡単に頭を下げてはなりません」


「簡単にではありません! 真剣に頭を下げているのです!」


 鋭い眼光で目を合わせる二人。


 あれ? 気が合いそうじゃない?


「お願いします! お金ならいくらでもお渡ししますから!」


 光の速さで寝下座をする。

 遅れてクウガも寝下座する。


 もう1セットなんだね。


「あなたたち……」


 う~ん、今のはフェスの地雷っぽいけどな。


「おい弟子ぃ。ガキに寝下座させる趣味なんかあんのか?」


 サラが来た。


「サラ様!」


「うるせーんだよ。お前が新作たくあんぬをどうしても食べてほしいって言うから時間作ってやったのによ。たくあんぬを持ってきもしないで何してんだ」


「申し訳ございません! すぐに!」


「たくあんぬはいいからよ。何してんだって聞いてんだよ」


 サラがフェスを睨みつけ、フェスは蛇に睨まれた蛙のようになっている。顔の良い蛙だな。


 この感じ、もしかしたらサラが善良ムーブをしてくれるかも。


(するわけないでしょう)


 する流れ来てない?


(来てません。この子はこの手の事に介入することはありません)


 来てないか~。でもさ、この間は助けてくれたじゃん。


(私がお願いしたからです)


 そうですか。

 じゃあ、またお願いしてくれよ。


(もうダメです)


 なんで?


(私も本来介入すべきではありません。ましてやフェスの行動を指示する事になるなら余計にです)


「このクリスとクウガという幼子の弟が生き別れているとの事で同伴をお願いされていました」


「それで寝下座させてんのかよ、いい趣味してんな」


「違います! 私達が勝手に――」


 クリスが顔と体を上げると、サラとクリスが驚いた顔をする。


「お前……」


「あなた様は……」


「こんな所で何してんだ?」「守り人様!」


 守り人? ってなんだ? サラの事か?


「知り合いなのか?」「お知り合いなのですか?!」


「あ~……面倒くさそうな所に来たかコレ」


 ツキを見るサラ。


 サラからの視線を無視するツキ。


 どうなってるんだ?


(ではまた次回)

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