軽食屋
「買ったな~。二人のアイテムボックスに入るか?」
「余裕です」
「です!」
「どれくらい入るんだ?」
「どれだけでも入ります」
「ます!」
「え?」
「「?」」
「制限ないの?」
「はい。オリ兄様はあるのですか?」
はい。
「俺は少しづつ大きくしていくタイプでして……」
「変わってますね」
そうなの?
「私たち、ドラゴニュートは『0か100』なんです」
「0か100?」
「アイテムボックスが使えるか、使えないかだけで、使える場合はどれだけでも入ります」
「そうなんだ……」
チートじゃん。
「その為、アイテムボックスが使える者は限られています」
「へ~、どんな人が使えるんだ?」
「血統です」
「この世界はだいたいそれだな」
「この世界?」
口が滑ったー!
「もう一人の弟、シオン君もアイテムボックス使えるのか?」
「はい。所持金もありますし、賢い子なので無事でさえいればなんとかなると思います」
「シオン君も探さないとな」
「はい」
「そういえば、シオン君ってどんな子なんだ?」
クリスがレッドドラゴン。
クウガがブルードラゴンだから……
シオン君はグリーンドラゴンかな?
「……シオンは……ホワイトドラドンなのです」
なにぃ!!
「格好良いな!」
「え?」
クリスが驚いた顔をしている。
「あ! そのっ! ……二人が格好悪いとかそういうんじゃないぞ」
つい、興奮してしまった。
「……オリ兄様は本当に変わっていますね」
「そうか?」
「ホワイトドラゴンといえば、災いを呼ぶドラゴンとして忌み嫌われているのに」
「そうなの?! なんで?! 格好良いじゃん!」
「ぷっ……」
「え? 笑う所か?」
「いえ、シオンが聞いたら喜ぶと思って――」
うわ、また泣き出した。
「すみません、嬉しくて。私こんなに泣き虫じゃないんですけど、オリ兄様が変な事ばっかり言うから」
「俺のせいかー……」
「ふふ……冗談です。オリ兄様は私に嬉しい事ばかりしてくださいます」
「ええ……そんな事ないけど」
ホワイトドラゴンとか格好良い以外の感想ないんだけど。
「人間体になると、ドラゴンの時の色に影響されます。シオンの特徴は白なのですが、目立ちすぎるので、髪色を変えていると思います」
なるほど。
「先ほども言いましたが、賢い子なので探しにくいと思います」
「クリスよりも賢いのか?」
「私は賢いわけではないので……」
前世の記憶があるのと、賢いのは別って事か。
まぁ、確かに前世の記憶があっても俺は――
(頭が良いわけではありませんからね)
おい。
「シオン君にも早く会ってみたいな」
「はい! オリ兄様に紹介したいです」
見つかるまでは、無事を祈るばかりだな。
「よし! じゃあ、次は日用品だな」
「はい!」
「あい!」
うん! 元気でよろしい!
◇
「ちょ、ちょっと休憩しよ」
「まだ見て回りたいです」
「うんうん、いいぞ~。二人の気のすむまで見て回ろうな~。でも休憩してからな~」
元気なのはとっても良いが、俺の体力がついていかない。
なんで買い物ってのは、こんなに体力を奪われるのか……。
「情けない」
うるせー。
「あの軽食屋に入ろうぜ」
◇
(あなたがここに入ろうと言ったのですからね)
分かってるよ。
「わ~、可愛いです!」
クリスが嬉しそうにきょろきょろしている。
「そうだなー、良かったなー」
「ぼくはパーンケーキが食べたいです!!」
クウガが早速メニューから食べたいものを選んでいる。
「おう、食え食え~……」
まさか、この世界にこの手の店があるとは。
「女性ばっかりのお店ですね!」
「そうだな~」
男は俺だけ……消えたい。
店内は女の子が大好きそうな内装、可愛いらしい食べ物で埋め尽くされていた。
「私はこのワッショイにします」
前の世界でいうワッフルね。
「イチーゴパフェ」
ツキはイチゴパフェね。
ツキのくせに可愛いもん食べようとしやがって。
(なにか?)
「じゃあ、俺はコオヒーにする」
「ありません」
え?
「コオヒーは置いてません」
店員にすげなく言われた。
そんな馬鹿な。
さすがにそれは置いてて良いだろ。
女の子だってコオヒー飲むだろ。
(コンセプトにないのでしょう)
あっそ。
慌てて、メニューを見た。
「じゃあ、メーロンソオダーで」
「かしこまりました」
◇
「わ~、可愛いです!」
クリスが嬉しそうにクリームがふんだんに乗りまくった上、季節のフルーツがごてごてと置いてあるワッフルに目をキラキラさせていた。
「そうだなー、良かったなー」
「パーンケーキ! パーンケーキ!」
クウガはキラーラビットの顔が可愛く描かれたパーンケーキに夢中になっている。
パーンケーキにモンスターの顔ってのもなかなかのセンスだな。
ツキのイチーゴパフェもピンクで盛り盛りに飾られている。
「おお~、ツキ。なかなかイチーゴパフェ似合うじゃないか~。可愛いな~。ほら食ってみろよ~。ほっぺにクリームつけたりなんかしてさ~」
せっかくなので、ツキをからかってやる。
「あいっ!」
なんて言ってたらクウガがツキの頬にクリームをつけた。
げぇっ!
「こらっ! クウガ! 食べ物をそんな風にしてはいけません!」
「はい……」
「なんだ、クウガは『あい』とか『うん』以外の返事もできるんだな~。あはは~」
とりあえず、ツキの方は見ないようにした。
「メーロンソオダーお待たせしました~」
俺のメーロンソオダーも盛り盛りに飾られていた。
きっつ……周りの目が気になる。誰も見てないけど。
「オリ」
「何?」
ツキの方を見た瞬間、ツキにメーロンソオダーのクリームを鼻の上につけられた。
「おい……」
(つけたまま、食べてくださいよ)
「ちょ……」
(つけたまま、食べてくださいよ)
はい。
クリスが戸惑いながら俺達を見ていたが、俺もツキもクリームをつけたまま食べた。
クウガは瞬く間にパーンケーキを食べておかわりをしていた。
(ではまた次回)




