楽しい食事会(2)
「これはおいしい。ルイズ君にお勧めしてもらって来て良かったです」
ルイズ君の表情が一気に明るくなる。
「下見はバッチリいたしました」
「ありがとう、たまには外に出てみるものですね」
ルイズ君嬉しそ~。
良かったね~。
「何を見ている」
え?
「こちらを見るんじゃない」
え~……。
「ルイズ君、せっかくの楽しい食事会ですよ」
「失礼いたしました。心の声がもれていたようです。申し訳ないジナルさん」
心の声は心の中にあるから、心の声なんだぞ。
「フェスとオリの知り合いって言ってましたけど、どんな知り合いなんですか?」
リリー、そんな事を聞くんじゃありません。
「私達は普段、神殿にいるのですよ」
言うんだ。
それ言っていいのか?
それくらいは言っていいのかな?
フェスが驚いた顔をしている。
やっぱ言っちゃダメなのかな?
「ああ~、フェスもオリも神殿に行ってるもんな~」
ライはのん気でいいな。
「アース様、部外者に言っては……」
「フェス君とオリ君のお友達なんだからいいでしょう。それにこれくらいはなんの問題もありません」
にこにこしているけど圧が凄い。
「しかし」
「ルイズ君」
うは! 笑ってない。
「失礼いたしました」
「ほら、おいしいから食べなさい」
すぐににこにこ顔に戻った。
緩急が凄い。ルイズ君も大変だな。
……そんな事なさそうだった。
それすらも嬉しいんだね。
「もしかして、アースさんって偉い人なんですか?」
「当たり前の事を聞かないでください」
当たり前なのは神殿関係者だけだろ。
「ルイズ君」
「失礼いたしました」
これ何回やるんだよ。
「偉いかどうかと聞かれると、そこそこ偉いかもしれませんね」
本当格好良いな。
神官服だと優しそうで神秘的な美って感じするけど、普通の服だとめっちゃ格好良い。
う~ん、羨ましい! 俺だってその顔がいい!!
「やっぱりー! なんかただ者じゃない感じしますもん」
「カッコイイよね~。今まで見た事もないくらいカッコイイですよ~」
「そうですか? 良く言われますけど、自分では分かりませんね」
「絶対カッコイイですよ! 知的な大人の人って感じします!」
「眼鏡のおかげかな」
「違いますよ~」
なんか平和な三人だな。
「とても楽しいけど、そろそろ皆さんを紹介して欲しいな~」
「あ! そうですよね! 楽しすぎて忘れてました! 私はリリー・スフィナって言います」
「ライ・クリスタルです~。今日はお言葉に甘えて、ご馳走になりま~す」
「……」
ひぃ、ツキとサラは無視かよ。
「あ、こっちは俺とパーティーを組んでる、ツキ・ソーイって言います」
ペコリ。
良かった。ペコリはしてくれた。
ペコリはしてくれたって何だろうね。
「こっちはサラ・ノエル。ここにいる皆、同じシェアハウスに住んでるですよー」
「……」
うん、ペコリするわけないよね。
分かってた、分かってた。
「それは楽しそうでいいですね。私も住んでみたいな~」
「アース様!」
「ルイズ君、大きな声を出さないでね~」
「失礼いたしました」
こっちの3人は地獄みたいだな。
フェスはこの状況でも、サラにご飯をあげてるし。
サラも無言でむしゃむしゃ食べてるし。
メンタル強すぎだろ。
「フェス君はまた珍しい事をしているね~」
「弟子入りしました」
「弟子入り?」
「尊敬する方に出会いましたので、お側におります」
「ははは! それは凄い。フェス君にそんな人ができるなんて。それで弟子入りできたのもまた凄い」
「……」
サラが神官長をしら~っとした目で見ている。
神官長は真っすぐな目でサラを見ている。
怖い怖い。なんか怖いんですけど。
「は~、腹一杯になったからもう帰ろっかな」
確かにもりもり食べてたな。
「それでは私も一緒に帰ります」
「おや、もう帰ってしまうのですか? これからデザートが来ますよ? それに、もっとお話したいです」
「私はお話したくないでーす」
「そうですか、残念です……ですが無理に引き留めてはいけませんね。気をつけてお帰りください」
「ごち~」
「フェス君、また今度話そうね」
「お先に失礼します」
「なんって失礼な人だ。髪もボッサボサだし。ありえない。あんな人の弟子になる人の気がしれません」
うん、本当に髪はボサボサだけど、その言い方はない。
「ルイズ君、いい加減にしなさい」
「も、申し訳ございません!」
やーい、怒られてやんの。
……睨まれた。
「嫌われてしまったかな~」
「アース様を嫌う人間などいません!」
「そうですよ! サラちゃんは自由なタイプなんで、本当に満腹になっただけですよ!」
「髪ボッサボサだけど、素直な良い子ですよ~」
皆、髪はボサボサだと思ってるんだな。
「なら良いのですが。とても興味深い方なので、また今度お食事でもしたいですね」
「え?! サラちゃんに興味あるんですか?」
「言い方が悪かったですね。フェス君とオリ君と仲の良い皆さんに興味があるので、またお食事会とかしたいですね」
「是非是非!」
「そうだ! 良かったら、今度神殿に遊びに来ますか?」
「えーーっ! いいんですか?!」
「ダメです!!」
「ルイズ君、ダメかな?」
「ぐぅ……」
神官長のおねだり顔エグ。
「だ、ダメです。さすがにダ……メです!」
「ダメかぁ」
神官長、今度はしょんぼり顔。
これわざとやってるよな。
「し、神殿でなくても、食事会はどこでもできるでしょう」
ルイズ君が、いつもなら鼻の上にあるハズの眼鏡をクイッとしようとしてスカっている。
分かりやすく動揺してるな~。
「ルイズ君、冗談ですよ」
神官長がにこにこ笑っている。
小悪魔とはこういう人の事をいうのか。
いや、もう悪魔だな。
「か、からかわないでください!!」
「ごめんごめん」
仲良いな。
「ツキさんは静かですね」
今度はツキに向かってにこにこしている。
「どこかでお会いした事ありますか?」
ツキが首を振る。
「どこかですれ違った事ありますか?」
神官長の目を見るツキ。
神官長はにこにこしている。
表情が読めない。
「あはは! アースさん、さすがにすれ違ったのは分かりませんよ!」
「そうだね~」
全くもってその通り。
「そういえば、普通はそうでしたね」
普通は?
「神殿にいると、私の場合はなかなか人とすれ違いませんし、そもそも知っている者ばかりなので」
「そっか~。アースさん神殿にいるんだもんな~」
「でもツキちゃん、神殿に行った事ないから絶対違いますよ」
「ツキさん、神殿に来た事ありませんか?」
ひぃっ。
にこにこしながら聞いている。
首を振るツキ。
「そうですか、では私の勘違いですね。それに、こんなに可愛い子だったら忘れるわけないですし」
う~ん、常人なら5回は惚れてそう。
「あ~、デザート来たよ~」
「おお! おいしそうだなあ!!」
場の雰囲気を変えようと張り切ってみる。
お前ももうちょっと、上手い事やってくれよ。
(嫌です)
だと思ったよ。
(ではまた次回)




