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お化け屋敷

 あ、あ……


「アカネさん?!」


 なんで受付のアカネさんがいるんだよ。


「ツキ、驚かす言い方すんなよ」


 あ〜……無駄にビックリした。恥ずかし。


「ビビってましたね」


「ビビってねーし」


 ツキが肩を揺らして笑っている。


「俺の醜態で笑いすぎ」


「失礼しました。あまりに滑稽で」


 おい。


「あ、そういえばアカネさんはどうしてここに?」


「誰がアカネぢゃ」


 え? アカネって呼んでって言ってたよな?


「おばあさん、どうしてここに?」


「誰がおばあさんじゃ」


 え?


「ワシはおじいちゃんぢゃ」


「ええっ?! え? え? あるぇ?」


 思わず、ツキを見る。


 しらっとした顔しやがって。


「アカネはワシの姉ぢゃ」


「お姉さん?」


「双子ぢゃ」


 あ〜〜〜、なるほど。


「なんだ、そうだったんですね。ビックリした〜」


「ワシの事は『アオト』と呼んでくれ。おじいさんじゃ老けたみたいぢゃ」


 うん、姉弟だね。


「では、アオトさんはどうしてここに?」


「ワシ地縛霊ぢゃから、ここから離れられんのぢゃ」


「え?」


 今なんて言った?


「地縛……なんですか? よく聞こえなくて」


「ワシ地縛霊」


「えええええええええ〜〜っ!」


「じばっ! 地縛霊って……」


「ワシ死んでるんぢゃ」


 嘘だろ。


「緊縛の間違いじゃ……」


「それだとワシただの変態ぢゃ」


「あなたは一体何を言っているのですか」


 ツキに冷めた目で見られる。


「ごめん。動揺した」


「どんな動揺の仕方ですか。リリー達がいなくて良かったですね」


 そうですね。


「幽霊って事ですか?」


「そうぢゃ」


「うわーーーー! 幽霊!!」


 …………。


 なんか俺だけ騒いでて恥ずかしいな。


「今更幽霊に驚くこともないでしょう」


 そうでした。

 なんせ1回死んでるからな。


「1回ではありませんが」


「何?」


「いえ別に」


「アオトさんは、なんで地縛霊に?」


「ここが好きぢゃからぢゃ」


「そうですか……」


 こんな汚い廃墟が?


「昔は綺麗ぢゃったんぢゃ」


 考えた事が顔に出てたようだ。


「でも、もう誰もいないし来ないんですよね」


 あと、汚いし。


「でも思い出があるんぢゃ」


 なるほど。


「あの柱の影でニアちゃんとまぐわったり、誰も来ないあの角でスピアちゃんとまぐわったり、ソフィーちゃんとちゅっちゅっしたり。どれもこれも良い思い出ばかりなんぢゃ」


 ……。


「目を閉じると、今も鮮明に蘇るわい。ワシは蘇らんが」


 …………。


「ワシは蘇らんが」


 聞こえてるよ。


「ワシ、性欲強いタイプでぢゃな~」


 聞いてないよ。


「おじいさんのそんな情報いらないです」


 全く聞きたくない。


「まぐわった内容は言えんぞ。ワシの大事な思い出ぢゃから」


 だから、聞いてないよ。


「じゃあ僕らダンジョン攻略したいんで失礼しまーす」


 時間の無駄だった。


「とりあえず、この階ざっと見て回るか」


「そうですね」


「何もなさそうだけど、一応な」


「そういや、兄ちゃんら冒険者か~」


「外から見るより広く感じるな」


「そうですね」


「このダンジョンもいつからか人が来んくなってのぅ。可愛い子も来んくなって、アオト寂しいんぢゃ」


「ダンジョンっていうより、お屋敷って感じだよな」


「ワシのこと無視せんでくれぇ」


「僕ら下ネタには興味ないので」


「そうだったのですか?」


 ツキちゃん、面倒くさくなるから今はやめて。


「下ネタなんて言うとらん。恋バナぢゃ」


「はーい。いつまでも思い出に浸って地縛っててくださーい」


「なんて、冷たいんぢゃ。老い先なくなった地縛霊のおじいちゃんが不憫だと思わんのか」


 思いません。


「ダンジョンに家具があるって不思議だな」


「朽ちてますけどね」


「案外あの家具を洗って売った方が儲かるかもな」


「それもそうですね。売ってみたら良いのでは?」


「外に出したら消えるとかじゃないのか?」


「ワシに構ってくれい」


「それにしても、モンスターいないな」


「なんでかワシが教えたろうか?」


「2階へ行きますか?」


「そうだな。なにもなさそうだし」


「まぐわった内容言うからワシに構ってくれい」


 教えてくれないから無視してると思ってたんかい。


「違います。そういう話を聞きたくないんで、無視してたんです」


「なんでぢゃ? 普通聞きたいぢゃろ」


「どこの普通ですか」


「ワシの普通」


 お前の普通かい。


「アオトさんと同じ考えの人もいると思いますけど、そうじゃない人もいて、それが俺です」


「ぢゃあ、まぐわった話しとかしんから、ワシと話してくれぃ」


「何をそんなに話したいんですか」


「何って事もないんぢゃが、せっかくアカネ以外の生きてる人間ぢゃからのう」


「アカネさん来るんですか?」


「アカネはワシの為にあの家に住んどるからのう」


 死んでても普通に会って話してるって不思議だな。


「アオトさんは本当にここから出られないんですか?」


「地縛霊ぢゃからのう」


「試してみた事はあるんですか?」


「ない」


 ないんかい。


「試してみたらどうですか?」


「成仏したらどうするんぢゃ」


「それはそれで良い事なのでは?」


「生きてた頃の思い出を忘れたくないんぢゃ」


「なら、まぁいいですけど」


 俺、関係ないし。


「じゃあ、僕ら2階行くんで」


「ワシ2階には行けんのぢゃよな~」


 なぜ、ちらちら見てくるんだ。


「さすが地縛霊ですね」


「そうかの~」


 なぜ照れる。


「ここのモンスターはワシがいるから出んのぢゃけど、2階は出るから気ぃ付けてな」


「1階のモンスターってアオトさんがいるから出て来ないんですか?」


「ワシが怖いんぢゃろうなぁ、地縛霊ぢゃから」


 ふ~ん。そんなもんなんだ。よく分かんないけど。


「どんなモンスターだろうなぁ、ツキ」


「行ってみたら分かるでしょう」


 ですね。


「ぢゃあ、ワシ待っちょるな」


 待たんでいい。


「ではまた次回」

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