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ハンプレンドルダンジョン

「ハンプレンドルにダンジョンがあるなんて聞いた事ないわよ」


「知ってたらオリに話してるしね~」


「サラから借りたこの本に載ってたんだよ」


「発売日いつ?」


「う~ん、載ってないな」


「普通、発売日載ってるんだけどな~?」


「ってことは最近の本じゃないって事かな?」


 サラが持ってた本だからありえる。


「本自体は古くないし、むしろ綺麗だから発売されたばっかりって感じもするけどね」


「それだと最近見つかったダンジョンなのかな?」


「近いし、行ってみればいいんじゃないかな~」


 確かに。


「いつ行く?!」


 リリーが行く気満々だ。


「早速、明日行ってこようと思って」


「明日?!」


「残念~。明日だと予定入っちゃってたな〜」


「じゃあ、お先にツキと一緒に行って来るな」


「明日じゃなきゃ、行けるんだけどな〜」


 リリーがちらちらとこちらを見てくる。


「こ~ら。目線を送るんじゃありません~」


「ライ~」


「今度一緒に行けばいいだろ〜」


「分かったわよ。報告楽しみにしてるね」


「任せろ」


「ところで、フェスはどこにいるの? せっかく聞いた事ないダンジョンの話してるのに」


「フェスならサラさんの部屋にいるってさ~」


「なんでよ?」


「サラの弟子になった」


「弟子?! フェスが?!」


「うん」


 そりゃ、驚くよな。


「何それ! おもしろ!」


 面白いんだ。


「なんの弟子なの?」


 リリーが興味津々で聞いてくる。


「肩もみ師?」


「はぁ?」


 まぁ、そうなるよな。


「実際なんの弟子なのかは分からないけど」


「サラさんがこっちにいる時は側についてるんだって〜」


「青天の霹靂ね」


 その言葉この世界にもあるのか。


「サラさんがいない時はたくあんぬを作ったり、気が向いたら冒険者稼業するって言ってたよ~」


「今までと一緒ね」


 確かに。


「サラさんの部屋で何やってるか、見てみたいわね」


「いかがわしい想像するなよ~」


「やめてよ、オリじゃないんだから。そんな事考えるわけないでしょ」


「おい」


「あはは! 冗談よ!」


「あはは〜」


 平和だな~。


  ◇◇


「この廃墟みたいなのが、ダンジョンなのか?」


 早速やってきました。

 ハンプレンドルの街はずれにあるダンジョン。

 その名も『ハンプレンドルダンジョン』

 ちなみに本に書いてあった。

 

 目の前には木造2階建てのお化け屋敷。


「お化け屋敷ではないでしょう。朽ちかけているだけで」


「これもう朽ちてるだろ」


「看板ありますよ」


 え?


 扉の右側にボロッボロの看板があった。


「ハンプレ……ルダンジョンへよう…そ」


 かろうじて読める。


「ここ、もうやってないんじゃないか?」


「お店じゃないんですから。ダンジョンにやってるもやってないもないでしょう」


 まぁ、そうか。


「ソパールダンジョンみたいに受付もないしさ」


 そもそも鍵とかかかってるのか?


 扉が開くか試してみる。


「開いた……」


「では入りますか」


「これ勝手に入っていいのか?」


「ようこそって書いてあるので、いいのではないでしょうか」


「そうだけどさ。普通のお宅でも犬の置き物が『ウエルカム』って持ってるけど、勝手に入っちゃダメだろ」


「それと一緒にしますか」


「ゲームじゃないんだからさ。人の家、施設に勝手に入ったら不法侵入になるぞ」


「では帰りますか」


「ちょっと建物の周り確認してみようぜ」


 ハンプレンドルダンジョンの建物の周りは鬱蒼とした森だった。


「つい建物に目が行っちゃったけど、よくよく考えたらあそこがダンジョンなわけないよな」


 ダンジョンの受付の名残とみた。


「おい、こんなところに家があるぞ」


 建物の裏に木漏れ日が差す家と畑があった。


「あきらかに誰か住んでるよな」


 生き生きとした野菜が畑で作られている。


「誰か住んでいるなら、ダンジョンについて聞いてみては?」


「そうだな。いるかな?」


「煙突から煙が出ていますから、いるでしょう」


「あ、本当だ。俺抜けてんな」


「通常運転です」


 ですね。


 家は古いがきちんと手入れが行き届いており、表のお化け屋敷のような廃墟感はなかった。


「やっぱ、人が住んでると家って傷まないよな」


「人がいないと風が流れませんし、掃除もされませんから」


「ノックしたらサラが出て来るって事はないだろうな」


「ないとは言い切れません」


 なんでもアリっぽいもんな。


「いいや、ノックしてみよう」


「お前さんら誰じゃ?」


 今まさにノックしようとしていた手はドアを叩く事はなかった。

 なぜなら後ろに農具を携えたおじいさんがいたから。


「あ、こんにちはー」


 ペコリ。


 ツキも通常運転だ。


「はい、こんにちは。で、誰じゃ」


「僕ら冒険者なんですけど、最近この辺りがダンジョンだったって知りまして」


「ダンジョン?」


「はい」


「は~……何十年ぶりじゃ、ここに人が来たのは」


 そんな昔から誰も来てないのか。


「それでこの家の前の建物がダンジョンの受付なのかなって思ったんですけど、廃墟みたいになってて。おじいさん何かご存じですか?」


「お前さん名前は?」


「僕ですか? オリ・ジナルって言います」


「オリ君は一つ大きな勘違いをしているぞい」


 やっぱりここはダンジョンじゃないのか?


「勘違いというと?」


「それはそれはとんでもない勘違いじゃ」


 なんだろ?


「知りたいか?」


 なんか怖いな。


「はい」


 ごくり。


「ワシはおばあちゃんじゃ」


「ではまた次回」

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