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俺の属性(3)

「よし、じゃあ魔力流すぞ」


「どうぞ」


「……」


「早く流してください」


「えへへぇ。ちょっと緊張してる」


「二度と『えへへぇ』は言わないでください」


「ごめんごめん。やっぱりさ、こういう判定系は異世界ものでは必ずと言っていい程あるわけよ」


「それで?」


「めっちゃわくわくしてる」


「にやにやにやにやしてますよ」


「うへへぇ」


「わざとですね」


「うん」


「早くしてください」


「俺ってさ。全属性使えるんだろ」


「はい」


「どんなのが出ると思う?」


「目の前にあるのだから予想したってしょうがないでしょう」


「え~、こういうのが楽しいんじゃないか」


「こればかりは私でも予想つきません」


「そうなの?」


「私も楽しみにしてますから、早くしてください」


 そうかそうか、ツキも楽しみにしてくれてたんだな。


「では、行きます」


 俺はわくわくする気持ちを落ち着かせながら、魔力を流した。


「え?」


「これは……」


 俺も驚いたが、さすがのツキも驚いているようだ。


「神殿だよな」


「神殿ですね」


 ツキが出したような神殿がドームの中に出来ていた。


「あれ? ツキ神殿以外もあるな。これ、トースター島のモヤシ像じゃないか?」


「そうですね。ですが、顔はあなたですよ」


「え?! あっ、本当だ! あはは! 似てるな! あれ? でもさ、こっちお前じゃないか?」


「私ですか?」


「あれあれ」


「何を勝手に人の顔を出してるんですか」


「知らないよ、出そうと思って神殿出したわけじゃないんだから」


「それに似ていません」


「どう見てもそっくりだろ!」


「あなたには私があの様に見えているという事ですか」


「うん。やっぱりさ、自分で思ってる顔と写真で見る顔って違うじゃん。写真が現実というか。第三者から見てお前はあの顔なんだよ」


「納得できません」


「まぁまぁ。それよりも神殿だよ。ツキ神殿とモヤシ像神殿と柱ばっかりのザ・神殿が出てるわけだけど、何でだろ」


 そう、ツキから教えてもらった神殿が現れたのだ。


「正しい答えは分かりませんが、大方処理能力を超えているのでしょう」


「パンクしてるって事?」


「そうですね」


「言いたくないですが、あなたは特別なので不思議ではありません。……そのにやけ面を今すぐやめて下さい」


「あ、笑ってた?」


「ここでなければ殴ってました」


「俺が笑うと殴ろうとするのやめてくれない?」


「すみません、気持ち悪くて」


「おい」


「さて、遊びはこれくらいにして図書館にでも行きますか」


「遊びて」


「こんなもの、子供のおもちゃですよ」


「おいおい、大事な判定器をこんなもの扱いしたら怒られるぞ」


「よく考えられてはいますが、子供向けだと思いますよ」


「確かに、判定器なのにとっつきやすいよな」


「作った者もまさかこんなに大事にしてもらえるとは思ってもみなかったでしょうね」


「まさか知り合いじゃないだろうな」


「知り合いじゃないですよ」


 本当かよ。


「そもそもあなたの場合、全属性が使えると分かっていたのですから遊びでしょう」


「せっかくだからお前もやってみれば?」


「壊れますよ」


「え?」


「あなたで処理能力不足なのですよ。私の魔力なんて流したら壊れます」


「そんなに?」


「壊れて怒られてもいいなら流しますが」


「さ~て、図書館行こうか」


  ◇


 何から読もう。


(やはり、超初心者用からですね)


 俺、魔法使えるけど。


(この世界の魔法使いが初期にどういった教育を受けるのか知っておいた方が良いですよ)


 なるほど。


(たいした内容でなければ、すぐに違うの本を読めば良いですし)


 お前速読できる?


(できますが、やりません)


 なんで?


(つまらないからです)


 俺はできないから分からないけど、そういうもんなんだ。


(例えるなら、動画を二倍速で見て楽しいと思うか、いまいちと思うかくらいの話です)


 分かりやすい。

 俺二倍速って苦手なんだよな。


(二倍速でも楽しめる方ももちろんいますけどね。好みの問題です)


 気が合うな。


(そうですね。同じペースで読み進められるので良かったですね)


 そうだな。


(そもそも、なぜそんな事聞いたのですか?)


 お前は早く読めるのに、俺のせいで待たせたら嫌だなと思って。


(変な所で気を使いますね)


 なんか待たせるの嫌なんだよな。


(あなたが待ちたくない派だからですね)


 そうそう。自分が嫌な事は人も嫌だと思っちゃうんだよな。


(そんな事はないですけどね)


 分かってんだけどね。


「それにしても超初心者用ってどこにあるんだ?」


(あそこに図書館の案内板があるようですよ)


 クリスタルの板に案内図がある。


「おお~、助かる」


 どれどれ。


「普通の本もあるんだな」


(半分以上は普通の本ですね)


「そりゃそうか」


(魔法の本じゃない方が面白いかもしれませんよ)


「そもそも街に図書館なんてあったか?」


(聞いた事ありませんね)


「本も読んだ記憶そんなないし……あ、フェスの部屋には沢山あったな」


(山積みでしたね)


「神殿図書館の本は持ち出し禁止だから、買ったのかな? お金かかってそ~だな」


(あなた本に興味ないでしょう)


「興味ないことはないよ。今度フェスに何か借りようかな?」


(ここで読めばいいではないですか)


「こんな所で読めないよ。疲れそう」


(オリ)


 本を読んでいる何人かから見られていた。


「やべ、口に出てた」


 油断した。独り言が多い人になってた。


(心の中で思う時と口に出す時の違いは何なのですか)


 無意識だから分かんないよ。


(私は一緒にいない事になっているのですから気をつけて下さいね)


 はいはい。


(はいは一回)


 はい。


「サラの部屋も結構本も落ちてたよな」


 他にも色々散乱してたけど。


(伝えたそばから声に出てます)


 おっと。

 何はともあれ、魔法の本だな。


(はじめての魔法コーナーがいいのでは?)


 分かりやすいコーナーがあるもんだね。


(ではまた次回)

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