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俺の属性(2)

「では、オリさんの準備も整ったところで属性判定方法のご説明をさせていただきます」


 あ、説明ね。そりゃそうか。

 やる気満々だったから、なんか拍子抜けだな。


「目の前にある、こちらの『属性判定器』を使用して、オリさんの属性を確認します」


「はい」


 クリスタルの台座にガラスのドームがついている。


 この感じ……うん、スノードームみたいだな。

 ドーム部分がバスケットボールサイズだけど。

 大きい。スノーボールだったら振るの大変だな。

 でも、中に何も入ってないし、これでどうするんだろ?

 

「台座部分に触れて頂いて魔力を流すだけで判定できます。神殿の扉と同じですね」


 なるほど。


「これ何もないですけど、どうなるんですか?」


 バーバラさんが得意げに微笑む。


 どうした急に。


「何もないこのドーム内、なんと……」


 ドームを手で指し示し、俺と目を合わせる。


 なぜ勿体ぶる。


「魔力を流すと……」


 勿体ぶるね~。


「なんと、属性に対応した風景や象徴が現れるのです」


 へ~……ロマンティックだね~……。


「え?! 風景? 象徴? 色とかじゃなくて?」


「色が現れるとかはちょっとよく分かりませんが、この何もない空間に魔力を流すだけで風景や象徴が現れるのですよ。素晴らしくないですか?」


 バーバラさんが早口になった。


「素晴らしいです」


 とりあえず、同意しておいた。


「感動しますよ」


 へ~。


「一人一人、現れる風景や象徴が違うらしいのです」


「違う『らしい』?」


「そういえば、お伝えしていませんでしたね。こちらの属性判定器を使用する際は、本人または本人が同席を許可した者のみが立ち会う事ができます。ですのでオリさんが使用中は私は退室しておりますので、ご安心ください」


「え? バーバラさんいないんですか?」


「はい」


「あ、そ、そうなんだ~。俺てっきり皆に知られるものとばかり」


 チートっぽく見られるかもとか言ってた俺よ。恥ずかしい奴。


「皆に知られてしまうなんて、とんでもない」


 そうなの?


「個人情報ですから。できるだけ知られないようにした方が良いですよ」


「でも一緒に練習してたら、どうせ分かるんじゃ……」


「確かにその通りです。一緒に訓練していたり、行動していれば自然と分かる事ではありますが、全てを見せる必要はありません。神殿では魔法を使用する原理をお教えしていますが、それさえ分かるようになれば、誰もいないところで知られていない属性を練習します」


「じゃあ皆、皆が実際使える魔法を知らないんだ」


「ええ、できるだけ秘するように教育しています」


 へ~。勝手に管理されるのかと思ってた。


「すみません、話しが反れてしまいましたね」


「ごめんなさい、俺が余計な事聞いちゃったから」


「とんでもないです。何でもお聞きくださいね」


 優しい。


「そしてこちらが『風景と象徴』が現れる例をまとめた本です」


「例?」


 バーバラさんが、高級そうな革の本を開く。


「数多くの先人が自分の見たものを絵に描いて『例』として伝えてくださったのです。これのおかげでどんな風景や象徴が現れたら何の属性なのかが分かるようになりました」


「見ていいですか?」


「もちろん。というか見ながら属性判定をしますので」


 そうか。俺しか見ないんだった。


「風景ってどれくらいの風景なんですかね?」


「そうですね。この方とかは分かりやすいですよ」


 バーバラさんが革の本を慣れた手つきで捲る。


「これ焚き火ですか?」


「そうです」


 焚き火だけしかないんだが。


「火属性のみの方ですね」


 分かりやす。

 あ~、絵の下に『火属性』って書いてある。


「一種類しかない人とかいるんですね」


「一種類しかない人が多いようですよ」


 そうなんだ。


「この方は風が吹いているだけなので風属性だけですね」


「一種類しかないのに、先人はよく教えようと思いましたね」


「多くの先人は息絶える前に、情報を残してくださいます」


 死ぬ前じゃん。


「『実は一種類だったんだよね』なんて笑いながら、描いたりするそうですよ」


 人間味あるな~。


「属性は一種類でも、魔法の使い方は一種類ではありませんから」


 なるほど。


「この方とかは雷雨なので、雷属性と水属性ですね」


「へ~」


「この方は湖と森林なので、水属性と木属性ですね」


「わぁ、綺麗~」


 湖の湖面はキラキラしているように描いてある。というかご丁寧に補足で文字も書いてある『キラキラしてる』って。


「え、こっちはこれで『木属性と重力属性』なんですか?」


 次の例を見ると、立派な木が1本生えているが根本が露わでさらに浮いている絵だった。


「例があるから分かりますけど、なかったら分かりませんよね」


 バーバラさんがくすくすと笑っている。


「ですよね」


 自由度高すぎだろ。


「二種類の方が多いですが、三種類の方もいるようです」


「一番多い人で何種類なんですかね」 


「この本では『五種類』が最高ですが、例がないだけでそれ以上の方もいるかもしれませんね」


「五種類ですか」


「一番後ろに載ってますよ」


「バーバラさん、さすが詳しいですね」


「こちらは画集としても見てて楽しいので、私だけではなく皆さん好んで読まれますよ」


 確かに楽しい。


「こちらが五種類ですね」


「お~……へったくそ」


「ぷっ……すみません」


 バーバラさんが可愛く吹いた。


「あ、つい。俺こそごめんなさい」


「いえ、確かに上手いとは言えませんね」


 くすくす笑っている。


 ん、可愛い。

 バーバラさんは綺麗なんだけど笑うと可愛い成分が強くなるな。


 その下手な絵には『木の家、井戸、畑、太陽、音符』が描いてあり、補足で『音楽が流れてる』と書いてあった。


「お~……これで『木属性、水属性、土属性、光属性、音属性』か。なるほど」


「一体、どんな魔法使いだったんでしょうね」


「絵が下手だから余計に謎ですね」


 二人で笑いながら、想像を膨らました。


「それにしてもこの測定器すごいですね」


「はるか昔からあるそうですよ」


 その割には綺麗だな。


「この測定器はこちらの神殿では5台しかない貴重なものなのです」


 1台じゃないんだ。5台ってそこそこあるよな。

 しかもその1台、図書館の棚の下にしまっておいて良いのか?

 なんて事はもちろん言わない。


「では、オリさん。そろそろ私は退室しますね。オリさんのありのままの魔力を流してください」


「あ! はい!」


 そうだった! 属性判定するんだった。


「私は受付に戻っておりますので、判定終了後は棚の下に戻しておいてください」


 軽。


 バーバラさんが微笑みながら部屋を出て行った。


「貴重なもの感ないな~」


(長かったですね)


「ごめんごめん。ここ誰もいないし、出てきて大丈夫だろ」


「そうですね」


 ミニサイズの透明じゃないツキが出て来た。


「一目置かれませんでしたね」


「ちょっと拍子抜けだったけど、まぁそれはそれで良かったよ」


 実際問題、全属性持ちだってバレてたら面倒くさくなってたからな。

 その場のノリでバレても良いとか思ったらダメだな。


「そうですね」


「じゃあ、やりますか~」


「ではまた次回」

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