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ミニツキ

「ちょっと肩乗ってみてくんない?」


「嫌です」


「お願いお願い」


「嫌だと言っているでしょう」


「ちょっとだけ、ちょっとだけだから」


「いい加減にしてください」


「どうしたら肩乗ってくれるんだよ」


「どうしたらとかではないのです。あなたが何をしたところで乗らないのです」


「逆に何がそんなに嫌なのかが分からない」


「強く望まれると、叶えたくなくなります」


「そういうのがあるのは分かるけど、さすがに肩乗るくらいはいいだろ。難しい事何も言ってないぞ」


「あなたが興奮するから嫌なんです」


「人を変態みたいに」


「変態みたいな目になるのが、目に見えてます」


「ならないよ。ちょっと愛でるだけ」


「気持ち悪い」


「普段可愛くないのに、小さくなると可愛いって褒めてるのに」


 ツキがこめかみを押さえている。


「頭痛か?」


「突然頭が痛くなりまして」


「じゃあ今日神殿行くのやめておくか?」


「その頭痛じゃないので大丈夫です」


「そんなんあるのか?」


「あなたのせいですよ」


「なんで俺のせいなんだよ」


「頭を抱えるレベルという事です」


「やっぱ寝てた方がよくない?」


「だからあなたは童貞だったのですよ」


 うるせー。


「今の流れで童貞一切関係ないだろ」


「もうこの話はやめましょう」


「そうだな、訳が分からなくなるから話しを戻そう」


 俺達は神殿図書館で本を見る予定なのだが、ツキが鞄にいると本が見えない。という事でどこにツキがいる事にするか話し合っている最中だった。


「俺の胸、谷間とかないぞ」


「胸の中に入るなんて一言も言っていませんよね」


「この手の話ではよくあるだろ。大抵胸に収まってる」


「普通ポケットですよね」


「じゃあ、ポケットでいいだろ」


「入り心地も悪そうですし、布のたわみでバレそうです」


「じゃあもうないよ。胸だめ、胸ポケだめって。俺さすがにズボンの中とか無りぶっっ」


 ツキの右ストレートが俺の左頬を打つ。


「ずびばぜんでじた」


「まったく、セクハラもいい加減にしてください」


 そんなつもりはなかったんです。

 せめて手加減してください。


「してるではないですか」


 ツキが俺の頬を回復しながら、飄々とした顔で言う。


 あれで?


「頭ありますよ」


 手加減してなきゃ頭なくなるわけね。


「なくなるとか怖すぎ……あ!」


「どうしました?」


「透明とかにはなれないのか?」


 小さくなれるんだから、できるんじゃないのか?


「ああ、その手がありましたね。できますよ」


 できるんかい。


「言ってみたものの、凄いな」


「どうですか?」


 ツキがあっという間に見えなくなった。


「うおーーー! 見えない! どこにいるんだ?」


「先ほどと同じ場所にいますよ」


「マジか!」


 さっき、ツキがいた場所に手を伸ばす。


「うわ! いるいる!」


 ツキの顔があったので、撫でまわしてみた。


「すごいすごい! ここ頭だろ」


 勢いでぐしゃぐしゃにしているが、気にしない。


「ここ、ほっぺだろ」


 痛くない程度にむにむにする。


「ははは! やわらか! ……ぎゃっ!!」


 ツキに噛まれた。


「噛む事ないだろ!!」


 ツキが現れた。


「あなたが人の口の中に手を入れようとするからでしょーが」


「おお、ごめん。見えなかったから」


「いい加減にしてください」


「ぷっ……髪ボサボサだぞ」


「誰のせいだと?」


 このままだと俺の頭がなくなりそうだ。


「この噛み跡……よく手が千切れなかったな」


「大袈裟な」


 などと言いながら、回復してくれる。


「これぞ飴と鞭だな」


「鞭と鞭にしましょうか」


 回復ありがとうございます。


「俺も透明になれるのか? 強くなれば」


「なれますよ」


 おお! 男の子の夢が……


「使わせませんが」


 え?


「如何わしい事に使おうとしたら、阻止しますから」


「俺がそんな如何わしい事に使うわけないだろ! 馬鹿にすんなよ!」


 半目になるのやめてくれる?


「冗談はさておき」


 何が冗談なんだろう。


「透明になれても案としては出てこなかったので、さすがですね」


 そう?


「伊達にエロ本を読んでませんね」


 ツキちゃんエロ本言うのやめて。


「女の子がそんな事言うんじゃありません」


「失言でした」


「では小さくなって、透明になりますか」


「小さくなる必要あるか?」


「さすがに通常サイズだと気配でバレます」


「お前なら気配くらい消せそうだけど」


「もちろん消せますが、その場合あなたも分からなくなりますよ」


 なるほど。


「小さくなって下さい」


「では」


 ツキがシュルシュルと小さくなる。


「おお~」


 可愛い。


「それ本当にやめてください」


 なんだ、照れてんのか


「可愛い所あるな」


「わざと言ってますね」


「そんな事わざと言うかよ」


「続いて、透明に」


 おお~。見えなくなった。


「どこにいる?」


「少々お待ちを」


 瞬間、俺の肩に重みを感じる。


「どうですか? 待望の肩ツキですよ」


 おお~~!!


「って、見えないから意味ないんだけど」


「あなたのお願いは『肩に乗って欲しい』ですから。叶えて差し上げましたよ」


「あのさ」


「なんですか?」


「耳持つのやめてくれる?」


 耳たぶはつり革ではありません。


「ちょうど良かったもので」


「痛い痛い」


 むにむにすな。


「耳には沢山のツボがありますからね。ここが痛いという事は『目の疲れ』ですね」


 この間『アイヤー』を使ったからか。


「おお~。耳ツボ合ってるな。痛い痛い」


「こうすると目の疲れが解消されますよ」


 それはご丁寧に。


「もういいよ。見えないのに触られてるって変な感じだから」


「私で感じないでください」


「その『感じ』じゃないから安心して」


「冗談です」


 つまんない。


「勉強しておきます」


 精進して下さい。


「問題も解消した事だし、これで行くか~」


「図書館までは鞄の中でゆっくりさせて頂きます」


 どうぞどうぞ。


「ではまた次回」

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