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ソパール湖

 初ダンジョンは不完全燃焼に終わったが、今日はソパール湖で水遊びだ! ここでは思いっきりはしゃいで楽しい旅行にしよう。

 俺も旅行って言っちゃってる。

 まぁ、冒険は3階で終わったからな。


「で、だ。ライ〜、いい加減復活しようぜ! 今日は楽しいソパール湖遊びだろ」


「うん……」


 ライが湖の岩場の上で体操座りをしている。


「そんなに落ち込むなって」


 俺だったらもっと落ち込む自信はあると思いつつ、なんてことない風で話しかけている。


「俺ならまだしも、ライくらいの男だったら経験豊富だろうし、あれぐらいならなんてことないんじゃないのか?」


 ここぞとばかりに、普段は聞けないライのその手の話しを聞いてみる。


「経験豊富って……そんなわけないだろ〜」


「そうなのか? あれだけモテるから経験豊富だとばかり」


 へ〜、そっかそっか。


「経験がないわけじゃないけどさ。それにこの歳で経験豊富だったら怖いだろ〜」


 …………ですよね。

 経験あるんだ。そりゃそうだよ。

 ないわけないよな。

 へ〜……は~……ほ〜……聞くんじゃなかった。


「じゃあ、耳くらいなんてことないだろ」


 俺だったら、なんてことあるけど。


「それとこれとは全く違うだろ〜」


 そうですか。


「俺の知らない世界の話しだから分かんないけど、ここでそうしてても起こった事実は変わらないだろ」


「オリ……」


「次からは耳を守れよ。弱いんだから」


「ちょっ……! 言うなって!」


「あはは!」


「……もういっか〜。そうだよな~! 気を取り直して遊ぼ〜!」


「おーっ!」


 ちょっとライが元気になったようだ。


「おーっ!!」


 後ろから、リリーの元気な声が聞こえてきた。


「お、リリーとツキ。着替え終わったか」


 振り向くと、水用服のリリーとツキ。


「おお〜〜っ!! 可愛いな!」


「え、そお?」


 嬉しかったのか、リリーがくるくると回っている。

 黄色の水用服だ。

 完全に服なんだが、肩部分と脇腹が空いてるので、なんかエッチだ。

 詳しく見ると、鎖骨に両肩が見える広いネックラインで袖が付いている。ネックラインはギャザーが入っててふんわりしてる。残念ながら肩ひも付きだ。まぁ、ないとポロンしちゃうもんな。極めつけに脇腹部分は空いている。なんていったら良いんだろ。脇腹だけ空いてるんだ。おヘソと背中は守られてる。そしてスカートみたいだけど内側はパンツスタイルだ。


(本当に気持ち悪いです『黄色の水用服だ』くらいで止めておいてください)


 すみません。


「ツキちゃんも可愛いね~」


 ツキは前に俺が選んだ青色の水用服を着ている。


(私が自分で選んだのですが)


 そういう事にしておこう。


「ツキちゃんの水用服、肩紐が背中で交差してていいね~。でもそんなに背中みせちゃダメなんじゃないかな~」


「ちょっと、ライ……気持ち悪いんだけど。どっかのスケベ親父みたい」


「あはは! だよな~。俺も言った後にそう思った~」


 笑うだけで、スケベ親父から爽やか青年になった。


「着替えてた間に元気出たみたいね」


「うん、オリのおかげだね~」


「そうなの?! ありがとうね」


「俺はなんにもしてないよ」


 励ましてる感はあったと思う。俺も成長したもんだ。


「ずっと陰気くさいままだったらどうしようかと思っちゃった」


「陰気くさいはないだろ~」


「さすがに、女の私から『皆の前で耳舐められたのは最悪だと思うけど、減るもんじゃないし、むしろご褒美だと思えばいいじゃない』なんて言えないから」


 言ってる言ってる。


「リリ~、そういう所だぞ……」


「何が?」


 天真爛漫ってリリーみたいな子の事を言うのかな。


「いいから湖入ろー!」


 異世界の湖はどんな感じだろ?


 ……待てよ? 俺、前の世界で湖行った事ないな。海はあるけど。

 これじゃ、前世と異世界の湖の違いが分かんないな。


(一緒ですよ)


 そうなの?


(人などがいる世界の場合、自然の作りは大体同じなので)


 人がいない世界もあるのか?


(勿論です。生命体がいない世界はまったく違う環境ですよ。何も不思議ではないでしょう。あなたのいた世界でも宇宙の惑星毎に生命体がいるいない等があるわけですから)


 お前そんな事まで知ってるのか?


(逆になぜ知らないとお思いですか)


 お前って神様なのか?


(何を馬鹿なことを。そんなわけないでしょう。神ならばあなたと一緒にいませんよ)


 それもそうか。


(少し知識があるだけです)


 少しの感覚が違うようだ。

 でも、そういうの面白いな。今度教えてくれよ。


(気が向いたらですね)


「オリ泳げないの?」


 念話してる間、俺はツキに手の補助してもらい、キックの練習をしていた。


「平泳ぎはできるんだけど、縦泳ぎはできないんだよ」


「ツキちゃんは泳げるの?」


 コクリ。


 ツキの場合は泳ぐというより、皆の前ではバレないようにしてるけど、手も足も使わず進んでる。


「ツキちゃんはいつもオリの面倒みてて、偉いね~」


 コクリ。


 肯定すな。


「私、オリの泳ぎ見ててあげるからライと遊んで来ていいよ~」


 チラリと俺を見るツキ。


 なんだよ。行けばいいだろ。


 コクリ。


「まかせて! オリ! 私の指導は甘くないわよ!」


「え~、怖いな~」


「じゃあ、私は足を持って押してあげるから手だけで進んで~」


「お、おう!」


「行くわよ~」


 ん、これって無理じゃないか? ビート板とかあればいいだろうけど。


「ちょっ!待っ……」


 案の条、前から沈んだだけだった。


「あれ? 思ってたのと違う感じになったわね」


「身動き取れなくて死ぬかと思った」


 さすがに冒険者だけあって、リリーの力は強かった。足離してくんないし。


「大袈裟ね~。じゃあ次は水の中で目を開ける練習しましょ。ここの湖は綺麗だから目を開けても大丈夫よ!」


「いや……」


 もの凄く嫌な予感がする。


「大丈夫大丈夫。こういうのは恐怖心が邪魔をして上手くいかない場合がほとんどだから。肩の力を抜いて~……はい!!」


「ちょ、待もがっ……」


「まずは2分!」


 長いよ!


「目指せ5分!」


 無理だよ!


 俺は窒息しそうになりながら思った。


 ツキちゃん戻ってきて!


(ではまた次回)

誤字報告ありがとうございました。

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