ソパールダンジョン 3F
「さてと〜、次はどんなモンスターだ〜?」
3階は白と黒の市松模様の壁に黒い床という、なんともスタイリッシュな造りになっていた。
お決まりの看板は他の階と一緒で木に文字が書いてある。
合ってないことこの上ない。
まぁ、合わせる事なんてできないか。
この壁と床、何でできてんだ? 大理石かな?
考えたって分かるわけないから、看板読も。
「『この階は宝箱があります。
良いのが入っていたら、当たりです。
(注)落ちないように、気をつけて』
なんだこれ?」
「なんと! ここはモンスターが出ない階なのです!」
「宝箱に何か入ってれば良いけど、ハズレだと2階に落ちちゃうんだよ〜。これがまた面倒くさくてね〜」
「この階はスルーしちゃう冒険者が結構いるわね」
「スターライトはどうしたんだ?」
「ウチはフェスがいたから余裕だったよ〜」
「ああ、浮けるもんな」
……待てよ。俺も浮けるじゃん。ちょっとだけだけど。
ここは落ちなきゃいいんだから。
「オリ達はどうする〜?」
「今ならゴールドキラービー倒したばっかりだから、落ちてもそんなに面倒くさくないし、宝箱狙いに行くのもアリよ」
「俺、ここ余裕かも」
「言うわね〜」
また浮けるか、分からないけど。
浮ければ余裕なハズ。
「そういえばオリも大丈夫ですね」
「なんで、なんで〜」
「見ていれば分かりますよ。進みましょう」
「なんだここ。落ちるトラップだけじゃないのか」
ところどころ床がない所があり、そして壁から槍が出ている。
といっても、出てるだけで動いてないから邪魔なだけなんだけど。
「そうだよ〜。それも気をつけてね〜」
「看板に書いてなかったぞ」
「こんな一目瞭然のトラップなんかの事まで書いてたらキリがないわよ」
確かに。あの看板も親切で出してくれてるだけだもんな。
「贅沢言っちゃダメだな」
「そこ、床3枚ないので気をつけてて下さい」
杖の後ろにツキを乗せた、フェスがアドバイスしてくれる。
「ツキはそこで何してんだよ」
プイッじゃない。
「ツキさんを杖に誘ったのは私です」
杖に誘ったってなんだよ、聞いたことねーぞ。
「あっそ」
俺はフェス達を見なかった事にして、3枚も床のない場所を見た。
3枚先は1枚しか床がなく、その先は2枚ない。
大きく正確にジャンプしてすぐさま、ジャンプだな。
ライとリリーは慣れたもんで、さっさとクリアして先に進んでいる。
「早」
フェスとツキが隣で俺を見ている。
「……横で見守るのやめてくれる?」
床がないところを攻略しようとしてるのに、床がない所でぷかぷかされると気が散ってしょうがない。あと、近いから。
「見るならせめて、離れてくれよ」
「それは失礼しました。前にいますね」
俺も浮いてみようかな?
いや、まずは肉体で攻略してこそだよな。
「よし! 行くぞ!」
「頑張って下さい」
ホップ! ステップ! ジャン〜プ!
「っと〜! オリ選手やりました〜」
フェスとツキが拍手してくれる。
「ありがとう」
「では、そこら中こんな感じなので気をつけて進んでくださいね」
言い残し、フェスとツキはすーっと前へ進んでいった。
目の前には穴だらけの床があった。
「うわ。あそこの槍、絶妙に邪魔」
まぁ、さっきの感じだと余裕で行けそう。
それにしても前世でも運動神経は結構良かったけど、今世の俺の身体能力凄いわ。体が軽いこと。軽いこと。どんな動きでもできそうというか。
あ……残念な事を思い出してしまった。
普通、運動神経良いとモテるハズなのに、全然モテなかった過去を。
キャーキャー言われる奴と言われない奴の差はなんなんだ? 顔か? 態度? もっと元気にとか?
考えたってしょうがないか……。
今は目の前の床と障害物に集中しよう。そんな事を考えている場合ではない。
「よっ! とっ! はっ!」
けんけんぱをしている気分だ。
「さっ! さっ! さっ」
い〜ろ〜は〜に〜こんぺとう〜♪
なんか、子供の頃の遊びを思い出した。
「オリー! 宝箱あったわよー!」
順調に進んでいると、リリーが手を振っていた。
「マジー? すぐ行くー!」
「ゆっくりで良いよ~」
フェスとツキも杖から降りて待っていた。
「何々? 宝箱あったの?」
「あれあれ!」
ザ・宝箱だ!! もはや宝箱が宝みたいなもんだ。
ああいう箱って買ったら高いしな。
宝箱は床に置かれている。そして宝箱の正面にも床があるが、それ以外宝箱の周りに床はない。
宝箱正面の床とこちらの床の間は4枚分床がないから、そこそこのジャンプをしなければならず、勢いあまると宝箱の後ろへ行って落ちる。ここはピタッと止まる必要がある。
「あの状態で、正面の床がなくなったら絶対落ちるわな」
「そうなのよ。しかも宝箱ごと落ちるから掴まるところもないのよね」
「不思議な事に落ちた先に宝箱はないんだよな~」
それは不思議だな。モンスターが倒した後に消えるのと同じ感じか?
「で?! どうするのオリ?」
「そうだな~。余裕で行けるとは言ったものの、さすがに1回は普通にチャレンジしたいよな」
「?」
オリとリリーが不思議そうな顔をしている。
「とりあえず、正攻法で行ってみる」
「よし! 行っけー!」
「行きます!ほっ……」
床4枚分くらいのジャンプはなんて事ない。
「はいぃぃい! オリ選手10点満点!」
ピタッと止まる事ができた。
「良かったね~」
「確かにこの階は余裕みたいね」
「何の問題もありませんでしたね」
「問題はここからよ。宝があるかないかは運次第なんだから」
「よ~し、開けるぞ~……。
ん? これって鍵かかってる?」
「かかってないわよ」
「開け方知らないんじゃないかな~?」
「ああ、そっちね。パッチンってなってる所を上に上げたら、上げてない方を押せるようになるから。押しながら、今度は上に上げた方を右か左にスライドさせたら開くわよ」
「面倒くさ」
「宝箱は大体これだから」
「むしろ知らない事に驚きです」
「そういうのはツキが担当だから……」
「なんでもツキちゃんだね~」
「ツキちゃんいなかったらどうすんのよ」
「ずっと一緒にいるんだからいいだろ別に。そんな事はいいから、今度こそ開けるぞ~」
「ちょっと聞いた今の……」
「普通の顔して凄いこと言うね~」
「「「「あっ……」」」」
落ちた。
「ではまた次回」
『いろはにこんぺいとう』という遊びがそんな名前とは知りませんでした。
なんでこんぺいとう?




