ソパールダンジョン 2F(ボス部屋)
キラービーの蜂蜜と針が沢山入手できてほくほくだ。
「この蜂蜜おいしいのかな?」
「パーンに塗ると絶品よ。この蜂蜜は全部売らずに家で食べる冒険者が多いわね。当たり前だけど、店で買うと高くなるから」
なるほど。
「前に取ったのはすぐ食べちゃったからな~。もっと手元に残しておけば良かったね~」
そんな会話をしながら、向かってくるキラービーを倒す俺達。
雑談しながら、倒せる敵ってのもどうなんだ。
やっぱりまだ2Fだから、かなり弱いんだな。
「2Fのボス部屋が見えましたよ」
「おお! 金色に光ってる!」
「なんか豪華よね。最上階にありそうな色してる」
「ボスはいるかな~?」
「ここのボスは何なんだ?」
「ゴールドキラービーよ」
「だから金色に光ってるのかな?」
「そうなんじゃない?」
「ボスのイメージカラーとはこれいかに」
「またいないんじゃないだろうな」
「ボスがいない場合は光らない、とかしてくれたら分かりやすいんだけどね~」
「3人は戦った事あるのか?」
「ここのダンジョンは全階踏破してボスも経験済よ」
「頼もし~」
「大概どの冒険者も経験するから」
「では入りましょう」
「おう!」
今回も光の眩しさに目を瞑りながら前へ進む。
「やったわね! いたわよ!」
「でかーーーー!!」
目を開けると、そこには人間の大人と変わらないサイズのゴールドキラービーがいた。
「その名のとおり過ぎる!」
「ギッラギラのゴールドだよね~」
「よーし! じゃあ、オリ行っちゃってー!」
「き、気持ち悪っ! 顔が! 顔が蜂すぎる!」
「蜂だからね~」
そうだね。
「わぁ! 向かってきた!」
当たり前か。敵なんだから。
「よし! 迎え撃ったらぁ!」
ギィンッ!
「何ぃっ!」
渾身の一撃がゴールドキラービーの体に通らない。
「硬!」
「そうそう、硬いのよね~」
「オリ~、行ける行ける~」
俺以外の全員がボス部屋の端でこちらを見ている。
「なんでツキまでそこで見てるんだよ!」
プイッ! じゃない。
ゴールドキラービーは、体が大きくて重いのに飛んでいるせいで、動きは早くない。
もう、その6本足で歩いた方が早いだろうに。カサカサと、蜘蛛のようにさ。
うん、考えただけで気持ち悪かった。頑張って4枚の羽でブブブブ飛んでてくれ。
とりあえず、ゴールドキラービーの後ろに回り込み、背中側を斬ってみるが、やはり刃は通らない。
「かったい!」
だいたいこの手の敵は目とか胴体とかの間あたりが弱点だと思う。
なんて、考えていたら蜂が俺の方を向き、おしりからニュッと金色の針を出してきた。
えぐい……そこも金色なのかよ。
「太い太い太い」
「毒あるから気をつけろよ~」
あっち側はのん気だね。
今にもゴザを広げてピクニックしそうだよ。
毒は効かないらしいからいいんだけど、あんなんで刺されたら痛いじゃすまないぞ。
確か蜂の目は『単眼3つ』と『複眼2つ』があるんだよな。
そうなると、目の数が多いからあんまり弱点っぽくない。
あと目じゃなかった場合、面倒くさいから、とりあえず胸部と腹部の間あたり狙ってみるか。
また蜂の後ろに回りこみ蜂の胸部と腹部の間を思いっきり……
「一文字斬りだろっ」
決まった……と言いたかったが、刃は全然通らなかった。むしろ挟まった。
「げっ……。マジかよ」
「ヘイヘイ! 挟まってるよぅ!」
リリーに言われなくても分かってるよ。
うへ、抜けない。
なんとか、胴体から剣を取ろうとしていたら、ゴールドキラービーがこちらに振り向こうとしたので、その向きと逆方向に力を入れて、剣を抜いた。
「危な~」
「胴体じゃないって事はやっぱり目か。どっちだ?」
さすがにゴールドキラービーの真正面から目を狙うと距離が近すぎて危険だ。
魔法使うか? そんな感じでもないよな。なんせ魔法を使えない冒険者が楽に倒せる相手なんだから。
……待てよ。そういえばツキがキラービーを倒す時、脳天からぶっ刺してたな。
あれって、弱点狙ってたのか? 丁度あの場所は単眼がある位置だし。
それっぽいな。というかそれしかなさそうだ。
「よっしゃ行くぞ!」
俺はゴールドキラービーから距離をとり、そこからダッシュしてハイジャンプ! そしてゴールドキラービーの単眼へ!!
「おらぁ!」
剣をぶっ刺す!!
俺の顔にゴールドキラービーの体液がビチャッとかかる。
「うへぇ…ぶっ!! 汚ねっ」
ゴールドキラービは倒れ、その姿を消した。
なんで体液は消えないんですかね。
「おめでとう~」
「やったわね! ボス討伐!」
「なかなか良いジャンプでした」
コクリ。
誰も俺の顔を拭いてはくれない。当たり前か。
自分の袖で顔を拭きながら、ドロップアイテムが落ちてないか見る。
「ドロップアイテムは出なかったわね」
「ゴールドキラービーは金塊を落とすから残念だったね~」
マジか。
「結構稼ぎになるのよね」
「まぁ、倒せただけ良いでしょう」
「剣が挟まった時はどうなるかと思ったけど」
「ははは、確かに綺麗に挟まってたな~」
「オリのあの顔ったら」
「あはは!」
「「「「?!」」」」」
ツキが急に声を出して笑った。
慌てて口を抑えている。
「ツキちゃん珍しいね~。オリが活躍して嬉しかったんだね~」
「やだ! 可愛い! オリ頑張ってたもんね! よかったね!」
「なんと無邪気な。オリには勿体ない笑顔ですね」
いや、俺の焦った顔思い出して笑っただけだろ。
(油断しました)
別に普段から普通に笑えよ。
ツキがフェスの後ろに隠れる。
「照れてる! ツキちゃんが照れてるわよ」
「照れなくても良いよ~。可愛かったよ~」
フェスが後ろに隠れていたツキをふわりと抱きしめ隠している。
「皆さん、そっとしてあげてください」
なんだコレ。ツキに全部持っていかれた。
「なんでもいいから、3F行こうぜ」
「あ、そうね! どんどん行こうー!」
「ではまた次回」
やっとちゃんと戦闘した気がします。




