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ソパールダンジョン 1F

「ここがダンジョン!」


「ようこそ、ソパールダンジョンへ」


 ソパールダンジョンは洞窟みたいな入口で『ザ・ダンジョン』といった感じなんだが、洞窟の横に受付があった。運動会とかで使われているような感じのテントが3つくらい並んでる。


「ここで受付して入るよ~」


「お金とかかかる感じ?」


「かからないわよ」


「ダンジョンに入るパーティーを登録しておくんだよ~」


「戻らないと救助に来てくれるわ」


「へ~。戻らないパーティーとかいるのか?」


「滅多にいないみたい」


「初心者用だからさすがにね~」


「そんなもんなんだ」


「そんなもんだよ~」


「でも油断しちゃダメだよ。戻らない事はないけど、ケガする事はあるからね」


「了解」


「ちなみに登録しておくと、ダンジョン内でドロップした品を買い取りしてくれるわよ」


「登録してないと、買い取りしてくれないからね~」


「街で買い取りできないのか?」


「してくれるけど、同じ買い取り額なのよね。どうせ同じなら、荷物は軽い方がいいでしょ」


「なるほど。登録しないメリットがまるでないな」


「そうだよ~。大体どこのダンジョンでもそうだから、忘れないでね~」


「了解」


 ◇


「ダンジョンへの第1歩を踏み出すぜ!!」


「後ろつかえてるから早くね~」


「はい」


 行くぜ!!


 スタスタ歩いてだけど。


「入ったーー!!」


「おめでとう~」


 洞窟の真ん中にはベルトパーテーションが置いてある。

 入口と出口を分けるためのだな。ちゃんとしてるわ。


「この看板なんだ?

 『ソパールダンジョン1Fは

  ベチョライムが出現します』」


「この1Fはベチョライムがでるのよ」


 書いてあるままの説明ありがとう。


「あいつだよ~」


「あのべちょっとした奴?」


「そうそう」


「べちょっとしたスライムなんだよ~」


「だからベチョライム?」


「単純よね」


「ネーミングセンスが悪すぎですね」


 コクリ。


(誰かさんと似たタイプのセンスです)


 うるせー。


「分かりやすくていい名前だと思うぞ」


「オリとは合わないようです」


 フェスとは名前の好みが合わなかったようだ。


 トスッ。


 え?


 なんて話をしていたら、ツキがナイフでベチョライムを倒していた。

 なんでナイフなんだよ。ダガー使わんかい。


「ツキちゃん、すご~い!」


「あらっ! ツキちゃん早業ー」


「ツキさん、流れるようなナイフ捌きですね」


 3人がツキに拍手を送っていた。


「おい、なんで…」


「核」


 うん、分かるけど。


「そうなのよ! ベチョライムは核を攻撃すると、すぐヤレちゃうの」


「あの様に正確に狙えるとは……美しい」


「なんでツキが記念すべき一発目をやっちゃうんだよ!」


「いいじゃない、別に。順番なんて関係ないわよ。それにツキちゃんだって、記念すべき一発目なんだから」


 くそー! お前は順番なんて、どうでもいいタイプのくせに。


 案の定、ライの後ろでにやにやしている。


 コイツッ!


「いるよ」


 ツキが指を指す。


 あ、ベチョライム。


 ブスッ。


 ベチョライムがいたので、剣を突き刺し倒した。


 弱。


 あ、なんか出た。


「おめでとうございます。記念すべきベチョライムの初ドロップ」


「おお、やった。なんだコレ?」


 倒したベチョライムの所に透明な液体が蓋のない瓶に入って落ちていた。

 科学で使う試験管の蓋がないバージョンみたいだ。


「ベチョライム液ね。使い道が多岐に渡るから、何本でも買い取ってもらえるわよ」


「何に使えるんだ?」


「繊維だけを溶かすから、布製品に使われた物をリサイクルするのに便利みたい」


「ふ~ん。布鞄の鉄を取り出すとかかな?」


「そんな感じね。あと、娼館の特殊なプレイとかで使われるみたい」


「はい?」


「娼館の特殊なプレイとかで使われるみたい」


 うん、聞こえてたよ。


「な、な、な……」


「変わってるわよね。どんなプレイなんだか、想像もつかないわ」


「ええ~……」


 恐ろしいほど、普通に説明しているリリー。

 これが水着のイラストで照れて走って逃げた女の子か?


 ライを見てみる。


 首を横に振って『聞かないでくれ』と言っているようだ。


「ええ~……」


「娼館で使うとなれば、女性の衣服を溶かすとかでしょうか。布だけを溶かし、人体に影響がないわけですから」


 フェスが涼しい顔をして、用途を話している。


 コイツも何言ってんだ。


「なるほどね。そんな事して楽しいのかしら?」


 やめて。女の子がそんな話してはいけません。


「私には理解できませんが」


 理解できないけど、説明はできるわけね。

 確実に用途は合ってるよ。

 あと、楽しいと思うよ。


(映像で想像するのはやめて下さい)


 え?


(あまりに生々しいので、さすがに困ります)


 え?


(二度目のあなたになる前の、少年オリはその手の知識がないので、可愛いものでしたが。知識だけは豊富にある、大人…老人まで生きた者の想像力はさすがに……やめてほしいものです)


 嘘だ、嘘だ……

 俺が今、思わず一瞬想像した映像が見えてたの?


(はい)


 膝から崩れ落ちる俺。

 かつてない程、苦悩する。


「あああ……俺を殺してくれ」


「ど、どうしたのオリ?」


「お年頃なので、娼館という言葉に驚いてしまったのでしょう」


「嘘?! ごめんね! オリには刺激が強すぎたね」


(この中の誰よりも刺激の強い想像をしてましたけどね)


「ううう……」


 泣きたい。


(涙は出てませんが)


 うるせー。

 そもそも、そういうこと言わないでくれよ。


(せっかくダンジョンに来たのに、そんな事ばかり考えられてはたまったものではありませんので)


 考えないよ!……たぶん。


「まぁ、まぁ。女の子のリリーが言ったら、男の子はショック受けちゃうから。そういう事はもう言っちゃだめだよ~」


「そうよね! もう言わないからね。私も前に用途を聞いただけだから。よく分かってなかったの」


「リリーのせいじゃないから。気にしないでくれ」


「じゃあ、改めてダンジョン攻略しよ~」


「おおー……」


 俺の声に力はないのであった。


「ではまた次回」

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