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旅のはじまり(小旅行)

「ソパール湖へいざゆかん! 今回は2泊3日の小旅行です!」


 旅行って言っちゃてる。


「旅の準備はできてますか!」


「はい!」


 え、返事俺だけ?


「ツキちゃん、しおりは持ちましたか?」


 コクリ。


「おやつは300ギゼルまでですよ!」


「たくあんぬはおやつに入りますでしょうか?」


「入りません!」


「ほっ……」


「じゃあ、行こっか~」


 ノリ軽。


「ツキ、しおり見せて」


「いいですね! 早速しおりを確認する! そういうの大事ですよ! 作った甲斐がありますよ!」


 リリー張り切ってるな。


「どうやって行くんだ? あ、ちゃんと書いてある」

 

『6時の馬車に乗る』

『12時到着後、昼食』


「マジか?! 遠!」


 俺、移動嫌いなんだよな~。


(そんなことを思っているから前世でどこにも行ってないのですよ)


 そうですね。


  ◇◇


「到着!!」


「なんかあっという間だったな」


「あれだけ話してればね~。よくリリーに付き合えるよ~」


「楽しいと移動も平気なんだな」


「分かるー!」


「友達と一緒だと楽しいよね~」


 友達。これが友達かぁ。

 うん、旅行一緒に行くくらいだからな。

 うんうん、友達だよな。


 ツキさん、にやにやするのやめて。


「さてと~、お昼ごは~ん。リリー、どこで食べる予定~?」


「えっとね~。お食事処ソパール屋。湖中央店ね。ソパール湖の周りに5店舗ある有名店みたい」


「へ~。いいね~」


 ぐぅぅ。


「ツキ、俺を指差すんじゃない」


 お前だろ。


「やだぁ! オリってば!」


 まぁ、いいけど。


「お腹減ったから、早く行こ~」


 おお、フェスが杖に乗ってる。


  ◇


「たくあんぬがあるではないですか~。良い店ですね~」


「まだ味分かんないだろ」


「たくあんぬをメニューに加えているという心意気が良いのですよ」


 あっそ。


「ソパール名物、ざるそばーるセットだって。天ぷらエービがついてるわね」


 なんで、そばなんだよ。

 ソパールとそばーるで上手い事かけたつもりかよ。


「ソパール名物、かけそばーるセットですか。こちらはうーなぎ付のようです」


「どれにする?!」


「やっぱり名物じゃないか?」


「煮込みうーどん」


「ツキちゃん、凄いね~。この暑いのに~。俺もそれにしよ~、大盛で~」


「では私はカーレライスとたくあんぬで」


「じゃあ、私は刺身定食のデザート付にしよ」


 なんで刺身だけ、普通に刺身なんだろうか。

 そして、誰も名物を頼まない。


「じゃあ、俺はざるそばーるセット」


 俺だけでも名物を食べよう。


  ◇


「いらっしゃせーぇっ! ライフラビット亭へようこそ~!!」


 おお、語尾上がるタイプね。


「こんにちはー! 予約したスフィナです」


「『リリー・スフィナ様』ですね。本日は当ライフラビット亭へお越しくださり誠にありがとうございます。 5名様、2部屋で2泊3日のご予約承っております」


「はーい、そうでーす!」


「305、306号室をお取りしております。鍵がこちらになりますので、外出の際は必ずお持ちください」


「はーい」


「当ライフラビット亭には3匹のキラーラビットがおります。子供の頃から人に育てられており、殺意のない、とても愛らしいキラーラビットです。こちらでは『ライフラビット』と呼んでおります。

 当宿屋のマスコットキャラクターになりますので、退治しないでくださいね。放し飼いになっておりますので、見かけましたら是非撫でてあげてください」


「はーい!」


 モンスター飼っちゃってんだ。すごいな。


「すごい可愛いって評判だったから、この宿屋にしたんだよ!」


「人になつかせるなんて凄いな~」


「なついていたとしても、モンスターはモンスターですよ。それを飼うというのは、いかがなものかと思いますね」


「まぁ、まぁ。フェスはライフラビットいても見ないフリしててよ!」


「じゃあ、荷物置いてロビーに集合しようか~」


「はい、鍵~」


「ありがとう」


 二部屋だったよな。 部屋割りってどうなるんだ?


(しおりに書いてありますよ)


 おお、しおりがしおりしてるな。


 ツキにしおりを見せてもらう。


 ああ、パーティー毎なんだ。男女別とかになると思ったけど、そんな感じなわけね。着替えとかどうするんだろ。

 まぁ、考えても仕方ないか。


  ◇


「おっ! ツインベットだ~。ここの宿屋、安いって言ってたけどそんな感じ全然ないよな! 綺麗だし」


 思わず、ベットにダイブしてしまう。


 ドゴッ!


「~~~っ!」


「ふかふかそうに見えても、敷布の下は板ですから痛いですよ」


「ダイブする前に言ってくれる?」


「言おうと思ったら飛んでました」


 そうでした。


「顎真っ赤ですよ」


「顎打った」


「見せてください」


 ツキに顎クイされる。


 やだ、照れちゃう。


「ふざけるなら回復しませんよ」


 ごめんなさい。


 ツキが俺の顎をスッと優しく撫でる。


「気持ち悪いので目を瞑るのやめてもらえますか」


「すご! 痛くない!

 今日はツキが優しいぞ! どうした」


「顎が腫れあがった人の隣にはいたくありませんので」


 そうですね。


「これからは考えて行動してください。

 本格的なダンジョン攻略や冒険者家業など、油断するとすぐにあの世ですよ」


「出戻りだな」


「あの世を実家みたいに言わないでください」

 死んだら終わりですからね」


「ツキはあの世まで付き添ってくれるのか?」


「するわけないでしょう」


「え? そうなの?」


「私は既に受肉した身。

 あなたが死んだ後もこの生ある限り生きて行きますよ」


「え~…、そうなんだ。なんかショック」


「ならば、長生きすればいいだけでしょう」


「そうだな! 俺の方が長生きするよう頑張る!

 目指せチートだ!!」


「はいはい。

 では皆が待っているので行きましょう」


「おう! まずはダンジョン攻略だ!!」


「ではまた次回」

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