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第一印象大体当たる

 お前の知り合いか?


 顔に脂肪がないタイプの30歳前後?

 カマキリみたいな顔の男がこちらを見ていた。

 目つき悪……。

 う~ん、カマキリに怒られるな。

 悪いけど、俺こういう顔の人……

 第一印象で嫌いというか……

 嫌いな顔……というか、雰囲気が嫌い。

 中身も知らないのにすみません。


(知り合いなわけないでしょう)


 だよな。ツキが知ってるなら俺も知ってるハズだし。


「聞いているのか?

 安物を買うなら、自分のを安物にしたまえよ」


 知り合いでもないのに、なんで話しかけて来るんだコイツ。


「君はどのダガーがいいんだい?」


 ツキに猫なで声で話しかけている。


 おえ、気持ち悪。


「……」


「お兄さんが選んであげようか?」


「ああ、店員さんですか?」


「君は私のどこを見て店員だと思うんだ。そんなわけないだろう」


 すんごい喧嘩腰。

 なんなの? 嫌いだな~。


「あは……じゃあ俺ら別のところ見に行くんで。

 な、ツキ。予定通り先に回復薬見に行こう」


 コクリ。


 人をやり過ごす時にする、必殺スマイルを浮かべてその場を去る。

 服屋の店員さんが近づいてきて、ささっと去る時のアレだ。


「待ちなさい。君一人だけで行ってこればいいだろう」


 去れなかった。全然必殺じゃなかった。


「はい?」


「僕が彼女と武器を見ているから、君は一人で回復薬を見に行けば良い」


 なんでだよ。

 なんでそうなる。

 なんだコイツ。

 腹立つ顔しやがって。

 ……顔は関係ないか。


「ちょっと言ってる意味が分からないんですけど」


 揉め事にはしたくないので、ひきつった笑顔になりながら聞いてみる。


「君は馬鹿か? 彼女には僕が武器を選んであげるから、君は一人で回復薬でも野菜でもなんでも見に行って、買ってきたらいいだろうって事だよ」


 揉めそう~。このままだと揉めそう~。


「あの、俺の連れなんで。どこのどなたか知らない人と一緒にいさせられませんよ」


「君の連れかどうかなんて関係ない。僕は彼女の為に、君よりも良い物を選ぶ自信がある」


 知らんがな。

 関係ないわけねーだろ。

 その子ね、小石で岩に穴空けるんだよ。

 知らねーだろーが。


「せっかく一緒に来たのに、バラバラに買い物するって……ねぇ? せっかく楽しみに来てるわけですから」


「君は冒険者ショップに楽しみに来ているのか。

 ここにあるものはお遊び気分で買うものではない。

 命を預けてもいい商品を選ぶ所だ」


 野菜もあるし、ホットトドックもある。

 命を預ける以外の商品いくらでもあるだろうが。


「お遊び気分じゃないですけど」


 もう、なんなんだよ。


「早く、君はどこでも好きなところにお遊び気分で行けばいいじゃないか。適当に選んだ商品で適当にひどい目にあえばいいさ」


 ひどい。

 なんで初対面の奴にこんな事言われなくちゃならんのだ。

 イライラしてきた。


「なんだ。腹でも立ったのかい。でも君はさっきこの子に同じ事をしたんだからね」


「おじさん」


「おじ……おじさんじゃないよ~。

 お兄さんだよ~。

 どうしたのかな~?」


「空気読んで」


「空気? 空気は吸うんだよ~」


「周り見て」


 周りの人が不審者を見る目でカマキリおじさんを見ていた。


「なっ! 何見てるんだ! 見世物じゃないぞ!!」


 普通に考えたら16歳の少年少女に、気持ち悪いカマキリおじさんがこんなウザ絡みしてたら白い目で見られるよな。


「ちっ! 人が親切にしてやってるのに」


 悪態をついて、去って行った……


 せっかく3時間も歩いて、ここまで来たのに。

 こんな嫌な気分にさせられるとは……

 なんか泣きそう。

 吐きそう。むかついて、吐きそう。吐かないけど。


「すーはー、すーはー」


 気持ちを落ち着かせよう。


 イライライライラ……


 くそっ! もっと色々言ってやれば良かった。

 いつも後でアレを言えば良かった、コレを言えば良かったってなるんだよ。

 なんでその時、言えないんだ俺は。


「言わなくていいですよ。

 あれくらいでいいんです。

 同じ土俵に立ったら負けですよ」


「は~~……どうする? 結局ダガー何買う?

 お前の好きなやつで良いよ」


「その安物でいいですよ」


「嫌がってたじゃん」


「あの男が選ぶものより、そのダガーの方が何倍も良いです。可愛いですしね」


 そうして、ダガーを構えて見せる。


「ふーん、いいじゃん。やっぱ似合ってる」


「私に似合わないものはありませんが」


 そうですか。


「じゃあ、それ買おう」


「あなたはいいんですか?」


「俺か~。あ、これにしようかな。

 『初心者でも安心!メンテナンスパック』」


「いいんじゃないですか」


「お、これも買うか! 手裏剣!」


「手裏剣買ってどうするんですか?」


「ほら、いざという時にさ」


「小石があれば十分でしょう」


 あなたはね。


「買ってリリーに教えて貰おう」


「お好きにどうぞ。アイテムボックスにも入れられますしね」


「お~。ナイスアイデアだな。5枚くらいあればいいか」


「安物にしてくださいよ」


「はい」


「次こそ薬関連を買に行きますか」


「なんかさ……

 俺、さっきのでどっと疲れた……」


「それで?」

 

「ホットトドック食べに行かないか?」


「食べに行くのはいいですが、ホットトドックで良いのですか? もうお昼なので昼食だと軽すぎでは?」


「ホットトドックで良いよ。昼軽めにしてさ、夜がっつり食べよーぜ」


「いいですよ。では、行きましょうか。

 ソフトクリームもあるようですよ」


 どう見ても、ツキがわくわくしている。


「してますが何か? 前から食べたかったのです」


「ふ~ん」


「何にやにやしてるんですか」


「別に」


「もうイライラしてないようで何よりです」


 本当だ。

 俺、イライラしてたのお腹減ってたのかもな。

 我ながらなんて単純なんだ。


「てかさ、なんでソフトフリームだけソフトクリームなんだろうな」


「さぁ?」


「俺、ミックスにしよう」


「ではまた次回」

第一印象って大体当たりますよね。


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