アイテムボックス
「で? アイテムボックスって何ですか?」
「見えない鞄……みたいな」
「何それ、すっごい。うわ、このカラアーゲーおいっし!」
「随分前に差し上げたたくあんぬ出してましたよね」
「あー……保存状態が最高に良い鞄……みたいな」
「それは凄いな〜。あ~、このポーテトしんなりしちゃったな〜」
「魔石正義施人のせいで、おいしい時逃しちゃったわね」
「リリーのせいだろ〜」
「はあぁぁ? 何で私のせいなのよー!」
「本当に魔法なのですか?」
「ん、んん……そう思う……よ。あ、このネーギマ上手いぞフェス」
「いつから使えるようになったのですか?」
「いつだったかな〜。確かフェスにたくあんぬ貰って……美味しい状態で持ち歩きたいな〜って思った時だったかな?」
あまりにバレバレな嘘をついてしまった。
「オリ……そんなに私のたくあんぬを大事思って下さるなんて」
う……感激している。なんという罪悪感。
「良かったね〜、フェス。あ、ピーザ来た来た。食べよ食べよ」
「私のたくあんぬミックスはまだですかね」
お、アイテムボックスの話し逸れたっぽい?
「ツキちゃんは綺麗に焼き魚食べられて凄いね〜」
おお、確かに綺麗だな。
魚も喜んでるぞ。
「しかし、魔法というのなら魔力を消費するはず。それだけオリの魔力量が多いのでしょうか?」
逸れてなかった。
「いや、俺の魔力量は火魔法ちょっとやっただけでなくなるから」
魔法じゃないから、魔力を消費しないとはいえない。
「私もアイテムボックスがほしいです。あまり行きたくありませんが神殿にでも行きますかね。あの~、私のたくあんぬミックスはまだですか?!」
そういえば、神殿図書館行きたいんだった。
行かないけど。
「オリ、一緒に行きましょう」
「また今度な」
「なぜですか。あ! たくあんぬミックスこちらです」
フェスが手をスリスリして、待望のたくあんぬミックスが置かれるのを待っている。
「神殿はこの間行ったばっかりだし、早く強くなりたいしさ」
「フェス一人で行けばいいじゃない。あまーっ! このたくあんぬ甘すぎ!」
「あっ! 私より先に食べないでください!」
「割り勘なんだから、皆のものですぅ」
「フェス~。こっちは辛いぞ~」
「ライまで先に食べないでください!」
◇
「では、私一人で神殿に行って来ます」
「いってらっしゃ~い」
「オリ、今なら一緒に行けますよ」
「いってらっしゃい。皆さんによろしく言っておいて」
「分かりました……」
肩を落としながらフェスは神殿へ向かった。
この1週間というものずっと神殿へのお誘いがすごかった。行かないって言ってるのに叔父さんに見てもらいたいとか言って。フェスも神殿にはなかなか行かないみたいな事言ってたけど、行くってことはよっぽどアイテムボックスが気にいったんだろうな。
「あれば便利ですからね」
「俺もアイテムボックスだけは心の底から欲しい能力だったからな」
「強い望みだと反映されやすいですからね」
「その割には容量なさすぎだけど」
「沢山詰めて拡張してください」
「何詰めよう? なんやかんや詰めてたから、バレーボールくらいのサイズくらいにはなったけど」
ギツギツに入れるのも結構大変なのだ。
「袋の中にアイテムを入れて、その周りに土とか入れておけば良いのでは?」
「そういう感じになるか……」
アイテムボックスの中に袋ってのもおかしな話だな。
「面倒ですね」
「誰のせいだよ」
「あなたのせいでしょうね」
「なんで俺なんだよ」
「大方アイテムボックスは欲しいけど、その能力に疑問を感じていたとかでしょうね」
「どういう事だってばよ」
「その話し方やめてください」
すみません。
「容量無制限とか時間停止とか、便利すぎる機能はどうなんだ。とか思ってたという事ですよ。楽しすぎ。とか」
あー……思い当たるぅ。
「確かに容量無制限とかチートすぎるとは思ってたな」
「あなたはなんだかんだ、楽する事に罪悪感を抱いているのか、楽する事を良いと思ってないのか、楽する事を楽に考えないというか……
素直そうで素直じゃないタイプというか。
単純なようで単純じゃないというか。
なんかもう本当に面倒なタイプなんですよね」
うるせー!
「図星ですよね」
はい。
「俺、面倒くさがりなのに面倒な人間ってどんなんだよって感じだな」
「面倒な人間が面倒くさがりになるんですよ」
なになになに? どういう事?
「分からないならいいです。何でも教えてもらえると思わないでくださいね」
そうですね。
「でもこれ時間停止はついてるよな」
「それは当たり前の機能くらい思ってたんでしょうね」
なるほど。
「望めば色々付与されると思いますよ」
「例えば?」
「知りませんよ。自分で考えてください」
「あっ!あれとかは? 念じれば、違うところのアイテムを入れたり、好きな所で出せたりとか! なんかで見たぞ」
「それは便利ですね。頑張ってできるようにしてください」
「他にはどんなのがいいかな?」
「知りませんよ。自分で考えてください」
「一緒に考えてくれよ~」
「なぜですか?」
「ええ?」
「私がなぜ、あなたの能力を一緒に考えねばならないのですか」
「アイデア出しあった方がいいアイデアが生まれるから?」
「自分の能力に人の考えを入れるものではありません。商品を開発しているのではないのですよ。あなたの“能力”の話なのです。それに関して他人の介添えを必要としてはいけません」
「何がダメなんだよ」
「分かりませんか?」
うん。
「あなたの場合は特殊ですからね。通常、自分の能力を自分で考えて叶うなんて事はありませんし」
そうそう。
「例えば、人には叶えたい夢があります。ない人もいます。
あってもなくてもどちらでも自由です。
あんな風になりたい、こんな風になりたい。などと。
その夢を他人に考えてもらうなんて事ありますか?
あなたの夢はこれでいいんじゃない。とか。
あなたにはこの夢が合ってる。とか。
あなたにはその夢は合わない。とか
人の夢に口を出す事なんてありますか?
私はそんな奴にはなりたくありません。
あなたが私に求めているのはそういう事ですよ」
確かに人の夢にごちゃごちゃいう奴、嫌だよな。
自分の夢を考えて欲しいって思っちゃう奴もどうかと思うし……俺だな。
「ごめん」
「分かればよいのです。せっかく自由な発想が可能な世界にきたのですから、小さい事に囚われず、大胆に生きてください」
「そうだな! じゃあ、買い物でも行くか!!」
「ではまた次回」
食べ物名、伸ばせばいいと思ってる問題。




