合同パーティー
「じゃあオークあたり行こうか~」
「え?」
「ん~?」
「俺とツキまだゴブリンを相手にしてるんだけど……」
「じゃあ、オークあたりだな~」
ライが優しい笑みで、さっきからオークを進めてくる。
「せめてキラーラビットとか……」
「じゃあ、オークにしておくな~」
おうふ。
「5人もいるんだから大丈夫だって!
それにオリは魔法放ったあとは私たちの後ろにいればいいし!」
リリーは今日も元気だ。
後ろにいるってのも嫌なんだよな。
ゆっくり、のんびりやりたいんだけど。
グチグチ言っててもしょうがないか……
「じゃあ、オーク行くか!」
自らを奮い立たせるように大声を出してみる!
「おう! じゃあ3体くらいにしておこう」
「待て待て待て」
「どした?」
きょとん。じゃない。いい顔してんな。
「1体じゃないのか?」
「5人いるんだぞ。大丈夫だって!」
漫画とかだと、それでやられてしまうパーティーのようだ。
パーティー名もスターライトだし。
星屑になりそうだ。
「今回はフェスもいるし、大丈夫だって!」
「そうですよ、安心してくださいポリポリ」
ここ、ギルドなんですけど。
音めっちゃ聞こえてるんですけど。
なぜ常に、たくあんぬ食べてんだ。
「じゃあ、受付してくるね~」
リリーが駆け出して行った。
「走ったら怒られるぞ……」
ぼやく俺。
「やっとオリ達と一緒に行けるから嬉しいんだよ〜」
「何がそんなに嬉しいんだか」
「そりゃオリが好きなんだろうな~」
「ひぇあ?」
変な声でた。
「ははは。友達としてだよ〜。
俺もオリとツキちゃん大好きだから」
怖。
なんでそんな事をさらっと言えるんだ。
いや、分かってる分かってる。
俺がおかしい。
この辺りが合わない。
言わなくてよくない? って思ってしまう。
言われると構えてしまう俺がいる。
なんなんだろう。これ。
ありがたく受け取ればいいのに。
俺だって、みんなのこと好きだけど。言えない。
この差はなんなんだろう。
(人それぞれですよ)
分かってるんだけど。
俺、マジで前世からややこしいな。
(それも悪くないと思いますが)
変わりたいんだけどな〜。
傍から見たら黙ってにらめっこしてる俺とツキ。
「どうした~、ツキちゃん?
オーク怖いかな?
怖かったら俺の後ろにいればいいからな~」
ひえっ! 聞いてるこっちがドキドキする。
ツキが怒ってなきゃいいけど。
ちらりとツキを見てみる。
コクリ。
うなずくんかーい。
「じゃあ手つないで行こっか~」
わぁ! 子供じゃないんだから。ツキ怒るぞ。
コクリ。
つなぐんか~い。
なんだこれ。
「ツキ、子供じゃないんだからやめろよ」
手を繋ぎながら、ライの後ろに隠れるツキ。
隠れながら、こちらを見てニヤリと笑っている。
なんっだコイツ!
「いいじゃんか~、仲良し仲良し。
オリも繋ぐか~?」
コクリ。
「ってするかよ!」
「どうした~。オリが怖いな~?」
コクリ。
「もう“コクリ”はお腹いっぱいだよ!」
にやにやするツキ。
腹立つ顔してんな〜。
「お待たせ~」
ばたばたと、リリーが走って戻ってきた。
「何々? なんか楽しそうだね~。
あっ! ライのくせにツキちゃんと手繋いでる!」
「いいだろ~」
「私も私も!」
3人で輪になって手を繋いでいる。
なんなのこの人たち。
ツキの受けっぷりもなんなの。
無口キャラのくせにコミュ力高いな羨ましい。
俺だって、コミュ力高くなりたいよ。
今度見習ってみよう。
ん? 手がくすぐったい。
【 頑張 】
俺の左手が俺を応援していた。
いや、鑑定とかして欲しい時だけでいいから。
「じゃあ、行くか~!」
「オリの魔法楽しみ!」
◇
「あっ! いたよいたよ」
オークが1体いた。
なんという豚顔。
この世界の豚はどんな気持ちなんだろうか。
(今度話してみたらいいではないですか。豚の中にも高確率で前世の記憶がある豚がいますよ)
聞きたくなかった。
(言ったではないですか、動物系は前世の記憶持ちが多いと)
あのさ……
モンスターも前世の記憶持ちいるの?
(稀にしかいませんね)
たまにいるんだ。
(はい。そういったモンスターは奥地でひっそり暮らしていますよ。悪いモンスターもいれば良いモンスターもいます。これは生きとし生けるものならば必ずあることです。モンスターの多くは前世で罪をおかした者が多いので、心置きなくがっつりやっちゃって大丈夫ですよ。その方が早く選択の場所へ行けますし)
ツキがウインクしてくる。
やめなさい。
片方、半目になってるから。下手くそか。
ツキが口をむぅっとしている。
俺も負けじとイーッとして応戦する。
「ほらほらお二人さ〜ん、オークいるから危ないよ〜
「ごめんごめん」
「どんな感じで行く?」
「俺も魔法してみるけどお手本でフェスの魔法が見たい!」
「私ですか?」
「それいい! よし! フェス! 行っけぇー!」
リリーが大きな声を出す。
当然のように、オークがこちらに気づいた。
「ぶおおおおぉおおっ」
ぶーぶーじゃないんだ。
そりゃそうか。
「あっ! 気づいちゃった!」
「気付いちゃった! ではないですよ」
言いながら、フェスが持っていた杖を上へと掲げる。
っどおぉおおおおおん!
オークが消し炭になった瞬間、魔石がボトリと落ちた。
「嘘だろ……」
「こんな感じです」
「かっ! すっ! 凄いカッコイイーーー!」
「ふふっ……それほどでも……ありますね」
うん。
「さっきまで、たくあんぬ食べてた人とは思えない」
「たくあんぬ、あってこそ。ですよ」
ちょっと何言ってるか分かんない。
「ではまた次回」




